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ファッション|2026.05.13

俳優・窪塚洋介が語る、不透明な時代を「面白がって」生き抜くヒント

俳優、表現者、ゴルフウェアや無農薬日本酒のプロデュースなど幅広く活動する窪塚洋介氏。芸能生活30年を振り返った自伝『人生を“縁”で導く生存術』が、2026年3月に発売された。愛飲するジンの蒸留所を舞台に、関心事である腸活やゴルフ、そして「縁」を大切に人生を面白がる、彼の自然体な“いま”に耳を傾けた。

原稿:平井有太 写真:井手康郎 ヘアメイク:佐藤修司

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俳優であり、表現者として唯一無二の道を歩み続ける窪塚洋介が、新刊『人生を“縁”で導く生存術』(NORTH VILLAGE、2026)を携え語る“いま”。

その言葉を受け止める場に選んだのは、彼が愛飲するクラフトジンを生み出す深川蒸留所。土地の文化/歴史/香りを封じ込めたような一杯を片手に、何種かのジンを味わいながら、リズミカルに言葉が紡がれていく。

レゲエDeeJay「卍 LINE」としては活動休止中ながら、近年は「身土不二(しんどふじ)」という言葉を個展タイトルに掲げるなど、暮らしと身体、土地との関係を見つめ直す窪塚氏。この日の話題は、あくまで自然体で向き合うゴルフや、日々のコンディションを整える“腸活”といった関心事まで、多岐に及んだ。

蒸留所は深川/清澄白河界隈では知られた存在である人気ショップ・リカシツやBar NICOの関係者で運営され、いずれも軽やかに再生可能エネルギーで稼働している場所でもある。

アパレル界のエシカル化に向けて邁進するShift C。ご縁に導かれるように、紡がれる言葉とジンの香りの中、氏の語る“生存術”に耳を傾けた。

『人生を“縁”で導く生存術』¥1,980(税込)NORTH VILLAGE

あの時の自分が死ぬほど欲していた「普通に人と会う」「普通に人前に出る」ということ

ーまずご著書、刊行おめでとうございます。

読んでみて、まず何より、うまく練られ、つくられている印象を受けました。超お忙しいだろうに「一冊書き上げたのか」と思ったら、その、なんと言いますか「パンチラインの塊」と言いますか。 

窪塚 (版元の)ノースビレッジとはもう、かれこれ6冊ぐらいつくっていて、気心が知れている仲間だし、オレの人となりも知ってくれています。

その中で、去年「大縁会」という30周年の集大成的なイベントを開催したので、最初は「大縁会」という本を出したい、と言ったんです。でもタイトルが『大縁会』だと、本の置かれる場所が「タレント本」という括りになっちゃうということで。

ーなるほど。

窪塚 それなら「縁」という言葉で、何らか「もうちょっと掘り下げられないか」ということで、このタイトルになりました。でも内容は概ね、30周年記念にあたっての記念本という位置付けです。 

ー窪塚さんはやっぱり、今の自分の立ち位置というか、いろいろあってここまでこれたのは「縁のおかげ」という感覚なんでしょうか。

窪塚 やっぱり大きいですね。 大きい要素の一つであり、とはいえ自分自身の、何かが「好き」というエネルギーは爆発的にデカいけど、それを一歩踏み出したところにあるのが縁だなと。 

ー自分が好きなものにプラスして、出会った人、かけられた声とか、そういうものに反応してきた。

窪塚 そうですね。導かれるままに歩いて、導かれ損なって落っこちたり、ジャマイカに到着してたり、いろいろなことがありました。ハリウッドに行ったことも、たった一つの出会いや、たった一作だったり、そういうことがオレをここまで導いてきてくれたというのがある。 ただ、やっぱり灯台の灯っていうか、羅針盤としては、自分の「好き」というのがすごく指針にはなっています。

窪塚洋介(俳優・アーティスト)1979年生まれ、神奈川県横須賀市出身。1995年に俳優デビュー。映画『GO』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を史上最年少で受賞。マーティン・スコセッシ監督作『沈黙 -サイレンス-』など国内外の話題作に出演。モデル、音楽活動、執筆、陶芸や墨画の創作など、枠に捉われない表現を追求。ゴルフアパレルブランドや日本酒のプロデュースにも注力している。

ー例えばジャマイカに行ったのは、激しい道とはいえ、ポジティブな方向だったと受け取れます。でも同時に、縁が導いてくれたのはいいことばかりでもなく、大変なこともあったと想像します。「え、オレこれを乗り越えなきゃいけないの」というような。

窪塚 そうですね。

一番乗り越えなきゃいけなかったのは、やっぱり転落事故。あれを乗り越えるのに12年かかってるんで、自分の中でも相当なダメージでした。

精神的にもフラットになれなくて、人と会うのに、いつもサングラスをしていました。 

ーそこを聞かれたら、なんて答えよう、とか…。

窪塚 聞かれてもないのに「いや、あれ実は自殺じゃなくて」ということを冒頭で話さないといけないような気になって。話してもフラットにならないのはわかっているのに、そういうことを言いたくなっていて、全然フラットに人と会えないっていう。

それが嫌だから、また自分を隠すみたいにサングラスかけて。

ーでも「あれがあったからこそ」という側面もあるわけですよね。

窪塚 今となっては、落っこちて本当に良かったと思える。

要は、12年間乗り越えなきゃいけない、乗り越え難い壁だったものが、今や自分を守る最強の壁になっているので。 

ーそれは、言い方を変えれば、最も辛い経験が、大変な時こそ最も頼りになる知見を教えてくれたんじゃないかという。

窪塚 本当にそうです。

「あれに比べりゃ」というのもあるし、昨日も取材8本、オフィシャルインタビュー、SNS用の宣伝動画を本撮って、舞台挨拶もあったんですけど。

ーやり過ぎですね(笑)。

窪塚 もうクッタクタだったんだけど、でも「あの時の自分が死ぬほど欲していた『普通に人と会う』とか、『普通に人前に出る』ということができる」場所なので、苦ではないんです。もちろん、体力的に大変というのはあるけど。

ー世の中のいろいろな辛い経験をしている人たちに「今後、それが糧になるから」ということを言いたい気持ちもありますか。

窪塚 本当に、「ピンチはチャンスだ」っていうのを、もう、こんなに胸を張って伝えたいという気分になってるっていう。

そういう言葉を掘り下げるとめっちゃあって、「雨降って地固まる」とか「No Rain, No Rainbow」とか、それを伝えてくれてた言葉はたくさんあるなと。ただ、肚落ちしてこなかったけど、実際そうなってみると、その言葉の持ってる深さとか、希望とか、凄まじいものがあるなと思います。 

言葉の力というものを、やはり大きな力に変えてきたタイプだと思う。こんなにも自分を導いてくれる道具になるのだから

ー最近は、日本そのものが苦労の時代に入ってきている気すらします。

今まで経済的に強くて人口も増えてきたけど、もう頭打ちで、何をやっても上手くいかないし、広がらないし、かたや他の国はどんどん成長している。 

窪塚 それには、2ウェイの見方があるなと思っていて。

いわゆるテレビの中で流れてる社会と、自分が所属してる社会というか、自分が見ている世界が、同じものを見てるけど全然違うベクトルで見てたりとかして、「その両方が必要だな」と感じています。

不満を言い出したらきりがないし、望みを挙げてもきりがない。でもそのバランスというか、その狭間で自分らしく今を生きて、楽しんでいる。そして何より「面白がってる」というところを、すごく意識していますね。 

ーそれはさっき仰った壁を乗り越えられたからかもしれませんが、いつからそのように、少しでも俯瞰できるようになった、何らかきっかけはあったんでしょうか。

違う見え方ができて、その見え方で世の中を見ると「楽になるな」という。

窪塚 言葉の力というものを、やはり大きな力に変えてきたタイプだと思うんです。 それこそ、子どもの頃で言ったらブルーハーツの曲とか、3代目魚武濱田成夫の詩だったり、当時まだ肚落ちはしてないんだけど、自分にとって「直感的に正しい」みたいな、そういう言葉たちにも導かれて。だから自分にとって「言葉」は、「縁」と同じくらい大事なんです。

ーそれは、ずっと世の中にあった言葉かもしれないし、何らか自分に降りてきて自ら発した言葉かもしれない。

窪塚 そうです。造語みたいなことも含め、「自分の力になって、支えたり、導いてくれる道具になりうる」っていう。

おふくろは言葉がすごく好きなんですよ。

子どもの頃から、おふくろが本を読んでいる姿を見てきました。当時、シドニー・シェルダンの推理小説とか、いろいろ。「本を読む」ということが日常というか、生きることの中に入っているという感じでした。

それで自分も本が好きになったと思うし、読むようになった。未だに「その言葉の使い方違う」と言われます。「『おもんばかる』じゃないから。『おもんぱかる』だから」みたいなことを、今も言われてるっていう。 

ーでもそれがあると、レゲエDeeJayとしても武器になりそうです。

窪塚 音楽的な才能は自分でもないと思っていて、歌も上手くないし、それでも「リリックで勝負してるんだ」っていう感覚が、10年間ずっとありました。

ハモれないし、違うキーで入っちゃったりもするし、似たような曲つくっちゃったりとか、そういう部分もあるけれど、ただ「誰にも譲らない」と思ってたのはリリックというところだったと思います。

ーヒップホップが代表的かもしれませんが、レゲエでも「リアル」という価値観が重要かなと思います。頭の隅で「おまえは本当リアルなのか」と、ずっと誰かに怒られているというか。 

窪塚 はい、わかります。

元気じゃないと聴けない音楽だったし、それがやっぱり怪我した後、しんどかったんですよ。なんかもう「だっせーな、オレ」ってなってて、「パッとしねえ」「うだつが上がんねえな」「情けねえ」みたいな、そういう風に自分のことを見てたので、そんな状態で聴くには、なかなかハードな音楽でした。 

ーでも、側から見ていて、一番厳しいところにわざわざ自分から身を投じていくというか、ある意味で相当なドM気質にも見えたといいますか。

窪塚 そんなこともないんだけど、そこに身を置かないと、自分の「実力が上がらない」という意識だったと思います。それこそ「精神と時の部屋(©ドラゴンボール)」みたいな感覚で。

「これ乗り越えたら10年分になるだろう」みたいな、そういうような感じで、飛び込んだような気もします。

ムカつくこと、書きたいことはむちゃくちゃある。本当はこの2倍はある。そこから相当学んできたから

ーでも結果、挫けずに継続されて。

窪塚 それこそ、本当に縁ですよね。

ーご自分がダサいとか、実際こうやって窪塚さんの言葉を直接聞いてれば理解できますが、普通の方の立場からしてみたら、大変なこともあったかもしれないけど、きらびやかな世界で、演技も活躍されている印象が強いと思います。

窪塚 「順風満帆だったんでしょう」って、思っている人もいるかもしれませんが、この本を読んでもらえたら「ああ、全然そうじゃなかったんだ」っていうのは、すごくわかってもらえると思うんです。なんとなく同世代の人たちは、例えば「GO」とか「IWGP(池袋ウエストゲートパーク)」って言った時に、当時の自分の姿を重ね合わせて思い出せるんじゃないでしょうか。その時に、もしオレのことを当時から気にかけてくれていた人がいたとしたら、「あれ、思ってたのと違うな」って、きっと驚くんじゃないかと思うんです。

ーこれを読んでる人たちが「オレ、ダサいな」と思ってしまった時に、抜け出せなくて、本当に大変なこともあると思うんです。そこにアドバイスというか、抜け出すために「こういうコツがあるよ」みたいなことはありますか。

窪塚 やっぱり、比べるとキツいから。

ーそれは日本人特有なのか、人間はつい、どうしても他と比べてしまう。

窪塚 そこは一つ、すごく大きい部分かもしれないですよね。つい他人と比べてしまって、「あいつより稼いでない」とか、子どもの頃だったら「足が遅い」「イケてない」なんて思ってしまう。でも、そもそも「あいつのこと、どれだけわかってんの?」という話もあるし、それってもったいないですよね。

どうしても時間の無駄になっちゃうというか。それが自分を鼓舞する「励み」になるならいいけど、それで落ち込んじゃうくらいなら、そんなことを考えない方がずっといいと思う。

ー本の中でも、何かですごいナめられて、でもナめられてナンボだみたいな話があったと思います。

窪塚 ムカつきますけどね。

ーそのムカつく力の、転換のさせ方というか。

窪塚 こう「今に見とけよ」みたいなのは、すごく思っていました。でもそれも、落っこちる前のことですが。仕事的にはイケてるけど、「リアルじゃねえ」みたいに言われたり。そこはもちろんひがみ、やっかみもあったと思うけど。

でも細かいことも含めると、めちゃくちゃ書きたいこといっぱいあるんですよ。だから、すごい端折ってるんだけど、それらも入れると月刊少年ジャンプぐらいになっちゃう。

本当に、今回書かなかったことがこの2倍ある感じです。それこそ、そういうところで学んでることも相当あるので、またそれはもうちょっと先でいいかなと。

ーとにかく「ナめられる」ということは、一番大きな力にもなりうる。

窪塚 しっかり転換できれば、そうですよね。

最近あのちゃんと知り合って、本をもらったんです。『哲学なんていらない哲学』(KADOKAWA、2025)という自伝で、読んだら、1ページ目の第一章に「復讐」と書いてあって。「僕をいじめた、バカにしたやつら全員に復讐をする」みたいな。

めっちゃいじめられっ子だったみたいで、同じクラスの女の子にぶん投げられたりとか、シャーペンで腕刺されたりとかするぐらいの、ガチガチの子だったみたいで。

でも、その復讐の仕方がすごくかっこよくて、「誰も傷つけない」と。直接的な暴力じゃなくて「あ、こいつ友達だったんだよね」て、僕をいじめてたやつに言わせるんだっていう。「オレ知っているよ、あいつと友だちだったんだよね」って言わせるみたいな、なんか「あ、かっこいいな」と思って。それこそ「うまく転換したな」って。 

ーいじめてた彼女たちにとっても、ポジティブなのかもしれません。

窪塚 相当しんどいじゃないですか。でも、ガキの頃のその感じを抜けて、失わずに腐らずに、あそこまでの国民的な「タレントになる」っていう稀有なことをやってのけた。でもその転換は、気合と根性で本当は全員ができることかなと思っていて。あのちゃんの場合は、友だちもいなかったみたいだから、そこは「縁」でもないわけで。

ーそうですね。

窪塚 だから本当に、一番大事なのは、その「自分自身」っていうところ。そこにプラスして、オレの場合は、今回の本で書いている縁や、言葉があったり。それだって「オレにとっては」ですけど。一人ひとり異なる要素(転換する力になるもの)があるということなのかな、と

彼女の本を読んで、そう思いました。

ーここは繰り返しになっちゃいますが、辛い経験こそ「大きいチャンス」ということですよね。 

窪塚 本当にそう思います。一種のインビテーションみたいな。そう、より良い未来へのインビテーション。 

それはネガティブな出来事でもいいし、感情でもいいけど、一見悪魔の顔してやってくるけど、実は仮面を脱いだら「天使でした」っていう風に、「自分がそうできればいいんじゃないかな」と思います。 

「腸活」は2020年から6年、一生続けていくと思います

ー今回のインタビューのテーマは、そもそも一番の母体は再生可能エネルギーの会社なので、サステナブルとか持続可能性ということがありまして。

窪塚 うんうん。

ーつまり、どのように人生を持続可能にできるのか。そういう部分に今の話が、実は繋がっていくと思っていて。 

窪塚 そうですよね。 それはリサイクルとか、つまり「循環」ですよね。

今、世の中にある悪いもの、ゴミ、不要なものや不必要なものを、みんな電力的な発想で変えていく。「じゃあ、僕はこういう風に変える」「 私はこういう風にする」みたいな、その原点にある発想とも、同じなのかもしれないですよね。

ーちゃんと、みんな電力について理解くださっていて、ありがたいです。

窪塚 いやいや、そんな知った口はきけないんですけど。

ーそうなると「腸活」は、どこからの着想でしたか?あれも、実は領域が似ていて、再エネの話も掘り下げていくと、最終的には微生物あたりにたどり着きます。

窪塚 2020年に、コロナのタイミングで諸々がストップしたじゃないですか。あの時に、地元の先輩が「面白い本があるから読んでみなよ」と言って、『発酵道』(スタジオK、2010)という本をくれたんです。

それが、寺田本家という、千葉の香取にある酒蔵のご先代が書かれた本で、、

ーえ、ちょうど先日、寺田本家が主催する「お蔵フェスタ2026」には、行ってきました。寺田本家さんはみんな電力を使ってくださっていて、それは自然酒繋がりで、福島の仁井田本家さんも同じくなんですが。

窪塚 なるほど!

とにかくその本が、すべてのきっかけでした。書き手の寺田さんは作家やプロの方ではないので、本の中で何度も同じことが出てくるんです。でもだからこそ、「発酵」「微生物」とか、キーワードがすごくわかりやすくて、入門編としてめっちゃよかった。「むすひ」というお酒も大好きです。

だから、本当に感謝してます。

とはいえ、腸活について真面目に100はやってないんですが…今でもファストフードを食べることもあるし。

ー(笑)

窪塚 タバコも吸うし、深酒もする。

だけど「だからこそ、伝えられる層があるから、腸活の良さを伝え続けてほしい」と、誰にというわけじゃなく言われて。

それでいつの間にか講演会に呼ばれて、腸活の話とかして、10分ぐらいした時に「オレ誰?」ってなるんです、自分で(笑)。「こんな人だったっけ?」「俳優ですよね?」みたいな。 


ーそんな感じだからこそ、そこに希望を見出している人も多い。

窪塚 ただ、おかげでお釣りがくるぐらい健康だし「え、そんなに飲んでるのに、元気なの?」 という感じの扱いになっていて。肌も年齢にしては綺麗なほうだし、健康なのも説得力があるから「そのまま語ってくれ」と言われたりしますね。

ー腸が結局脳みそで、腸がしっかり働いていれば、肉体的な健康だけじゃなくて、精神も全部保たれる。

窪塚 うんうん。さらに、運も良くなるし。そこは「本当?」って疑問に思われるかもしれないけど、本当にそうなんですよ。

腸が性格を司っているから、その性格が行動に結びつくじゃないですか。それで結局、行動が未来をつくるから、つまり「運命を司っている」と言えるんですよね。

だから、イラってなった時に「ブーッ!」ってクラクション鳴らす人の未来と、そうでない人。鳴らしちゃう人の未来は、相手がたまたま怖い人でぶっ飛ばされちゃったっていうのと、なんとか落ち着いてやり過ごせた人の、そういう未来が全然違う(笑)。 

ー違う道が、一つ一つの選択によって変わってくる。

窪塚 結局人生は、一瞬の判断の積み重ねだから。常に最善は選べないかもしれないけど、とはいえ、いい方を選んでいきやすいですよね。

腸活は2020年から6年、でも一生やっていくと思っています。やめる、やめないみたいなことじゃないっていうか。

それも「鉄板で」ってやっていないので。

それこそファストフードを購入する時も、スタッフから「大丈夫ですか?これ食べるんですか?」という雰囲気が出ていたりもしますけど、オレは「食べることもあるので」って。それぐらいの感じなら、腸活も一生続けられるから。

ーガチガチにやらないからこそ。

窪塚 添加物絶対摂らないなんて、この国で無理だし。なんかそこは「エエアンバイ」ってやつですかね(笑)。

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ー昨年東京で開催された個展タイトルは、「身土不二」という言葉でした。

窪塚 「身土不二」は、やっぱり腸活の言葉でもあります。あとはやっぱり「土」なので、陶芸の個展にも「言葉ごと持ってきちゃおう」と思って。その意味として「自分の生きてる場所の土からは離れられへん」という、「芯喰ってんな」「真理やな」と。 

ーそれ言われちゃうと、都会生まれ/育ちの人間は、どう生きていけばいいのか、、

窪塚 でも、その中でも「ちょっと気をつけてる」という方向性だけでも、全然違う未来になると思います。

ゴルフに例えると、打つ時に、本当に手元のほんのちょっとの1、2ミリのズレが、200ヤード先でものすごいズレになるんです。それが、つまりその1、2ミリのところが、今言った「ちょっと気にしてる」「たまにはいいものを食べる」とかにあたるというか。 

ーそれと、まったく頭にないのとで、生活の中で自分に起きることが変わってくる。

窪塚 全然、未来が違うと思う。

ー今日この取材場所は、都市における循環、身土不二を実現している一つのかたちだなと思って、選びました。

窪塚 うん、うん。

ー都市に住む職人の技と、みんなの想いとかが合わさって、つまり都市部において一番数がいる天然素材は「人間」なわけです。

窪塚 うん、うん、うん。 

ーそれが全部合わさって、新しいものをつくり出して、それがまた人々の心を耕して、潤す。 

窪塚 本当ですね。

微生物や発酵、化学反応もそうだけど、実際そこで起きてることは、我々の肉眼では見えないじゃないですか。我々自身も、そういった分子レベルだと思うと、よく言う「人と人とのケミストリー」みたいな。

それは例えば、今風に言うと「マリアージュ」とか、レゲエが言ってた「ヴァイブス」とか。

ー理屈ではない、なんらか。

窪塚 そこを我々の先祖は「気」という言葉で表現してたりとか、そういうことが再認識されて、再発見されて、再発掘されて、本当に強い意味を帯びてきていて。それこそさっきの言葉の話じゃないですけど、それが我々を導いてくれるような気すらする。 

ーこの本を読んでいて思ったんですが、今は「順風満帆」というか、ポジティブに満たされている?

窪塚 いろいろありますけど、、この間、もう30年来の友だちと絶交して。なかなか起こりえないことが起こって「こんなこと、まだあるんだ」と思って。やっぱりショックだったし「オレ、こんなに愚痴るんだ」と思いました。

他の人にそういうことがあっても、普段は「全部良くなるために起こってるんだよ」とインタビューでも話していて、本にまで書いてるのに、実際自分に起きたら「めちゃくちゃ愚痴るな、オレ」みたいな(笑)。

もうホント5、6人に同じ話をずっと話して「どう思う?」って。みんな「大変だね、洋介がそうなるの珍しいね」とか、そういう言葉をかけてくれるんだけど。

だから、普通にいろいろあります。

自然に歳をとって、かっこよく、「あ、若いね」って言われるような人であるために

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ーでは、ゴルフはどうなんですか?

窪塚 まあ、最高ですね。まさか自分がやると思ってなかったけど。

ー今日もゴルフウェアを着ていますね。

窪塚 着ているのは自分がプロデュースしている8G SHOOT(エイジシュート)のウェアで、このちょっと高い首元はモックネックと言います。普段からモックネックを、しかもベストの下に着ちゃってる人生?(笑)あんなに「ダッセー!」と思ってたのに、結構しっくりきちゃって「いい感じに46、7歳みたいに、なれてるじゃん?」みたいな。

白髪も増えたし、ちょうどいいのでいいや、というか。

「若いですね」とは言ってもらえるけど、自然な感じで若いっていうことが「すごくいいなぁ」と思っていて、さっきも坂口憲二くんと打ち合わせをしていたんです。彼も、めちゃくちゃ若くて、かっこいい。

だから、自然に歳をとってかっこよくて「あ、若いね」って言われるような人でいられるためにも、腸活は大事なんです。ゴルフとも直結してて、店名の「8G SHOOT」は、ゴルフの「エイジシュート」という言葉からとっているんですよ。

ーはい、そこは勉強しました。

窪塚 ありがとうございます。つまり、年齢以下のスコアでコースをまわること。でもオレは47だから、不可能じゃないですか。「ハーフエイジ」はできるけど、もう無理なんです。

だから、絶対的に元気じゃないと成しえない目標なんです。そういうことを今から言ってるのは、結局、そういう腸活とか、自分の精神も含めて健やかでないとできないから。そんな深い意味を込めて、「エイジシュート」という名前を付けました。

あとは「8G」で、今、我々は「5G」を使っていて、「そう遠くない未来」っていう意味もあります。

ー80歳でもゴルフを続けていて、その頃に「80切るぞ」というイメージでいる。

窪塚 そうですね。 コースはつくり物だけど自然の中だし、街の中にいるよりよっぽど鳥の声も聞こえるし、ゴルフは風も大事なので。「どっちから風が吹いてるか」って、街中で考えないじゃないですか。でも「今、これフォローだな」「アゲンストだ」とか、そんなこと言いながら、「雲がこっちに動いてる」とかっていう風に、割と自然に触れやすくて、それもいい。

あと、前は酒を飲んで回ることもあったんだけど、飲まなくなりましたね。そっちの方が明らかにスコアがいいから。

ー(笑)

窪塚 やっぱりコミュニケーションとしてのツールだから、たまに飲むことはあるけど、基本飲まないんですよ。前の日もあんまり深酒しなくなって。

その代わり飲める時は飲むし、こうやって仲間がいて、しかも取材や仕事でも「飲んでいいよ」という時は喜んで飲むし。だから今日も、すごい楽しみにして来ました。 

めっちゃ、美味しい。

裸足でゴルフをして、終わったらすごく元気になれて、オーガニックフードを食べて帰ってもらう。そういう無農薬のゴルフ場をつくりたい

ーてっきり、ゴルフなんて環境破壊の塊だと思っていました。

窪塚 オレもそう思っていました。でも農薬は、農業のほうが使ってるから。ゴルフ場も使ってはいるけど、本当に微々たるものだし。

今、8G SHOOTで完全無農薬のゴルフ場を運営するという目標(夢)があります。裸足でゴルフをして、終わったらすごく元気になれて、オーガニックフードを食べて帰ってもらう。そういうゴルフ場を、そのうち持ちたいと思っています。

ーさらにはコースの脇で、有機の野菜もつくっている。

窪塚 地産地消で、身土不二で。

ゴルフはとにかく、自分が好きなことをドッキングさせられる。そこに同じ夢を見てくれる仲間がいたり、じゃあこの深川蒸留所にも、「ちょっとお酒置きたいんだけど、力貸してくれない?」みたいな。

ーそういうマインドを持っているゴルフ関係者は増えているんですか。

窪塚 そんなに多くはないかもしれないですけど、いないとは言い切れないですよね。だから、それを広められればいいなと思っています。

「やれ」って言っても、やらないやつが多いじゃないですか。例えばこの本の発行元のノースビレッジという会社の代表はすごく変わりもので、もともとは出版事業メインだったのですが、今はシーシャ・バーも経営しています。チリ育ちで、自伝とかも出していて、それくらい変わってるやつなんだけど、人に命令されるのはめっちゃ嫌がるんです。だから、腸活については「おまえ、やった方がいいよ」って一度も言わなかったんですよ。

そうしたら、去年のはじめぐらいかな「洋介さん、腸活っていいですね」って言ってきて。「え?」ってなって「なんか僕も、ちょっとやってるんですけど調子がいいし、運も最近いいんですよね」とか言ってきて。

割とぽっちゃりしてて、うまいものも食べていて、お金もあるんだけど。そうしたら、その後ポーカーの世界チャンピオンになっちゃったんですよ。しかも2回連続で、たぶん今後1,000年くらい抜かれない記録だと思うとかって、すごいトロフィー持って帰ってきて。

だから、やっぱり「実際運気上がってるやん」みたいな。

そういう「やれ」って言わないからこそやる奴もいるし、おすすめしたら「じゃあ、やってみようかな」っていう人もいる。それこそ微生物の種類ぐらい人の種類が、想像以上にいると思うので。

ー自分に置き換えてみても、「やれ」って言われるほどやらないかもしれません。

窪塚 オレだって、ゴルフは「やれよ、やれよ」と言われて、「やるわけねえだろ」って言ってたんです。

友人に「打ちっぱなしについてきて」と言われて、最初は断ったんだけど「いいじゃん」って連れていかれて。でも俺はずっとiPhoneをいじってて。30分ぐらい打って休憩していた時に「ちょっと打ってみたら」と言われて、その時に魔がさしたんですよね。

そうしたらまっすぐ飛んじゃって、友人も「え?」てなって。それで「もう一回打ってみて」って言われて「こんなの簡単だよ」って打ったら、もう一回まっすぐ飛んじゃって「ちょっと待て」と。「おまえ、天才かも」という言葉に乗せられて(笑)。

ーそれで実際やってみたら、、

窪塚 全然うまくいかない(笑)。でももう、船には乗っちゃったんですよね。

気づいたらショップにウェアまでつくっちゃって、それだって縁です。関西のゴルフ好きで同い年の仲間たちが、いなかったらやっていない。

ーしかも、その仲間には、ペットボトルからのリサイクル素材まで調達できる方もいると聞きました。

窪塚 だから「寄り添えるやん!」て。 

そういう意味では、一個の根っこから、いろいろな花が咲いてるみたいな状態になっているので、今はその根っこが「ズレなきゃいいかな」という。

ー伺っていると、必然的な偶然で今にいたる、、そういう中で、もうレゲエには戻らなそうですか。

窪塚 後ろ髪引かれ続けて10年という感じですね。

きっかけは2017年にNetflixロンドンの撮影で、9ヶ月活動が止まることになったこと。ロンドンで半年、日本でも3ヶ月撮影することになって。それまで、年間で80回以上ライブをしていたんですけど、それが9ヶ月止まるんだったら「一回休もう」と言って。10年間毎年アルバムを出していたし、走り切って、ひとまず区切りをつけたままなんです。

レゲエの世界的ミュージシャン、リー・ペリー氏と、卍LINE、SHINGO★西成らが共作した再生可能エネルギーのテーマソング。ペリー氏のスタジオ火災を機に贈られたソーラーシートで「発電する」ステージ衣装へのお礼として誕生した、奇跡のコラボ曲。レコーディング時のインタビューはこちら

ー最後に、「ドレミファSOLAR」をつくるにあたって、リー・ペリー御大から教わった教えはありますか。

窪塚 「人の話はそんなに聞かなくていい」。

ー(笑)

たしかに、何にも聞いてなかったですね。

窪塚 何にも聞いてなかった。あんなに聞かなくていいんですね(笑)。もうビビったもん、マジで。

あの時はオレも勇気を出して「アイアム・ジャパニーズ・バッファローソルジャー!」って言ったんですよ。そしたら、「いや〜、うちが火事になってさ」みたいな。 

ー(笑)

窪塚 一瞬「イラッ」としたけど、「すごいな」と思って。表現者だし、こっちが勇気出して言ったのって伝わるはずじゃないですか。それを、「ここまで無視していいんだ」みたいな(笑)。 

ーチョコレートケーキを、「虫に刺された」とか言って、足に塗ってましたよね。

窪塚 塗ってましたね(笑)。

人の話を聞かない、人の気持ちを考えない。 「オレにはちょっとできないかな」っていう感じはしました。

学んだというか、感じたというか、でもあの時、恵比寿LIQUIDでのライブで、身体中に鏡を付けて、リフレクションしてる感じとかは、すごく覚えています。それは「いい背中見せてもらったかな」って。

ーあのステージをこなす80歳とか、もしかして、ゴルフのエイジシュートと似てるのかもしれません。

窪塚 たしかに(笑)。

あれは余裕で80切ってますね。

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アーティスト/みんなのデータサイト顧問/UPDATER並走者
平井有太
1975年東京生、School of Visual Arts卒。96~01年NY在住、2012~15年福島市在住。単著/個展『ビオクラシー』(SEEDS出版、2016/高円寺Garter、2016)、グループ展「Legacy3.11」(伊ミラノ Fabbrica del Vapore、2024)ほか。2025年2月には故・康芳夫を偲ぶ会の企画運営を務める。

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