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ファッション|2026.05.08

美しさと誠実さの 哲学を着る。日本のデザイナーズブランド7選

「サステナブルブランド」と聞いて、何を思い浮かべるだろう?環境配慮やオーガニック素材といったイメージが先行しがちだが、いま注目すべきは、デザイナーの美意識と環境・社会への誠実な姿勢が、ひとつのクリエイションとして成立しているブランドだ。

本記事では、世界6,000ブランド以上のエシカル度を検索できるShift Cで「ここから」以上の評価を獲得した日本のデザイナーズブランドを厳選。コレクションで培われた思想と、素材や生産背景へのまなざし——その両方を併せ持つブランドを紹介する。

原稿:藤井由香里

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Shift Cの評価について

各ブランドの下に表示されている評価は、サステナビリティ評価機関「Good On You」と連携した基準によるもの。「地球」「人間」「動物」の3つの軸で最大900項目のチェックポイントから、ブランドの公開情報をもとに行っており、 「ここから」は、そのうち1つ以上の観点で業界をリードする取り組みが認められたブランドを指す。3つの軸からは、「環境負荷が低い」「働く人の人権が尊重されている」「動物福祉への配慮がある、ヴィーガン対応している」など、ブランドのフィロソフィーを読み解くことができる。

クリエイティビティと社会への責任を併せ持つ、日本ブランド7選

では、実際にShift Cで「ここから」以上の評価を獲得したブランドを見ていこう。デザイナーの美意識とサステナビリティへの哲学が交差する、日本のウェアブランドを紹介する。
価格やデザインだけでなく、その一着がどのように作られているかを知ることで、服の選び方はきっと変わるはずだ。

Shift Cでブランドを検索してみる

緻密な数値と美意識が共鳴する、新時代のニットウェア「CFCL(シーエフシーエル)」

Shift C評価:ここから

CFCLは、デザイナー・高橋悠介が2020年に設立したニットウェアブランド。コンピュータープログラミングで制御されたホールガーメント製法により、糸から直接服を編み上げることで、裁断くずを最小限に抑えている。廃棄削減につながるだけでなく、3Dニット特有の流れるようなシルエットを生み出す点も特徴だ。

設立当初から毎シーズン発行してきた「CONSCIOUSNESS REPORT」は、VOL.9で9号目に到達。認証素材の使用比率は、VOL.7の90.52%からVOL.9では91.91%へと着実に向上し、2030年までの100%達成を目標に掲げている。LCA、つまり原料の調達から使用後のリサイクルまでにかかる環境負荷も、今シーズンは全183型のうち148型(約81%)で算出し、2025年度中の全型番完了を目指す。サプライヤーとの共同評価ツール「SPG」を業界向けに公開するなど、自社の取り組みをファッション産業全体へと広げている。

パリ・ファッションウィークでコレクションを発表しながら、こうした進捗を数値で表現し続けている点も特徴的だ。その積み重ねが、Shift Cの「地球」部門で日本のデザイナーズブランドとして最高評価を獲得した理由の一つだろう。

誠実なものづくりの先に、自然と重なるサステナビリティ「カナコサカイKANAKO SAKAI)」

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2022年のブランド設立以来、日本の職人技と素材への敬意をクリエイションの核に据えてきたカナコサカイ。「手仕事の偶発性と美しさ」を現代的に再解釈するその姿勢は、素材選びや生産背景にも一貫している。

オーガニックコットンをはじめとする環境負荷の低い素材を採用し、最終生産はすべて日本国内で完結。サプライチェーンの一部追跡も行っている。こうした取り組みは、サステナビリティのためというよりも、素材と誠実に向き合う姿勢の延長にあるものだ。

素材選びの誠実さはさらに、動物由来素材の扱いにも表れている。ウールやシルクといった日本の伝統的な天然素材を採用する一方、革・ダウン・毛皮・アンゴラは使用しない。その選択がShift Cの「動物」部門で「良い」評価を獲得した理由だ。

CEO・榮倉奈々が大切にする「好きだから長く着る」という価値観「ニューナウnewnow)」

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俳優・榮倉奈々がCEOを務め、スタイリストの上杉美雪とデザイナーの福屋千春が手がける日本発のブランド。「変わりつづける今を生きる服」をコンセプトに、洗練されたデザインと快適な着心地を両立した日常着を提案している。

受注生産を基本とし、余剰在庫をほぼ生まない仕組みを採用。さらに無染色コットンのブランド「UNDYED」や古着を繊維に戻して再利用する「BRiCO」との協業を通じて、環境負荷の低い素材も積極的に取り入れている。その背景にあるのは、環境配慮そのものではなく、「好きだから長く着る」というシンプルな価値観だ。着る人の選択を起点にしたこの考え方が、結果として無理のないサステナビリティへとつながっている。

曖昧さを美学に、余剰を生まない仕組みを実装する「シンヤコズカSHINYAKOZUKA)」

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シンヤコズカは、有名デザイナーを数多く輩出するセントラル セント マーチンズのメンズウェア学科を卒業した小塚信哉が、2015年にスタートしたブランド。ロンドン在住時に出会った衣服や風景から着想を得て、「Blur、Vague、Unclear、Hidden」——曖昧さとぼかしをキーワードに、ワークウェアやユニフォームの機能性と匿名性をベースとしたコレクションを展開している。

リサイクル素材を含む環境負荷の低い素材を採用し、生産はすべて日本国内で完結。さらに2022年に南青山にオープンした直営店「SMALL TRADES」では、在庫を持たないショールーミング形式を採用している。サンプル展示を起点に取り扱い店舗へと案内するこの仕組みは、余剰在庫を生まないビジネスモデルとして、Shift Cの「地球」における「ここから」評価にもつながっている。

流行や体型に左右されないパターン設計と、素材を絞り込む真摯な姿勢「オーバーコート(OVERCOAT)」

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文化服装学院を卒業後、パリコレクション参加メゾンで経験を積み、渡米した大丸隆平が2015年にニューヨークで立ち上げたユニセックスブランド。「誰が着ても成立する服」を追求し、特定の体型や性別に依存しない、普遍的なシルエットを論理的に導き出すパターン設計を特徴とする。

流行や体型の変化に左右されず、長く着続けられる服をつくるという思想は、「本当に必要なものだけを選ぶ」という姿勢と地続きにある。その選択の誠実さは素材にも表れており、革やダウン、毛皮、アンゴラ、エキゾチックスキンは使用せず、動物由来素材はウールのみに限定。この明確なスタンスが、Shift Cの「動物」部門で「良い」評価を獲得した背景にある。

ミニマルな哲学が、誠実な生産背景へとつながる「ニューレーベル(NULABEL)」

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ワークやミリタリーの機能美をベースに、現代の日常着へと再構築するニューレーベル。アメリカのワークウェアに着想を得ながら、「着る人の生活に溶け込む服」を軸に据え、無駄を削ぎ落としたミニマルなデザインが特徴だ。

ブランドの根底にあるのは、「HERITAGE & NEWAGE(継承と革新)」という思想。「必要なものだけを残す」という姿勢は、素材選びや生産背景にも一貫している。リサイクル素材を含む環境負荷の低い素材を採用し、すべてのプロダクトを日本国内で生産。長距離輸送による環境負荷も抑えられている。

さらに、革・ダウン・毛皮・アンゴラを使用しないという選択も、このミニマルな哲学の延長にある。この一貫した姿勢が、Shift Cの「地球」「動物」両部門での「ここから」評価につながっている。

素材の産地を自ら歩き、その背景から服づくりを始める「マーカウェア(MARKAWARE)」

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マーカウェアは、オーガニックコットンやウール、リネンなど、環境負荷の低い天然素材を厳選し、日本国内の工場で丁寧に仕立てるブランド。デザイナー自らペルーやパタゴニアなど世界各地の産地に足を運び、環境や人に配慮された素材を直接選び取っている。

2018年以降、すべてのコットン製品をオーガニック、もしくは持続可能な方法で栽培されたものに切り替え、ベーシックを軸にしたロングライフな設計で「着続けることで価値が深まる服」を提案している。

素材の背景を自ら確かめるというこの姿勢は、サプライチェーンの追跡や動物福祉への配慮にも一貫している。オーガニック素材の採用や国内生産による輸送負荷の低減、動物に痛みを与えない方法で飼育されたミュールジングフリーウールの調達方針など、その取り組みは地球・人・動物の各側面に及ぶ。素材の背景を知ることから服づくりを始める——その姿勢こそが、このブランドのクリエイションであり、サステナビリティでもある。

■まとめ

サステナブルブランドをもっと探したい方は、Shift CのブランドDBから国・価格・素材で絞り込み検索もできるので、ぜひ探してみてほしい。

Shift Cでブランドを検索してみる


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ライター/エディター
藤井由香里
ファッションメディアのライター/エディター、アパレル業界での経験を経て、2022年に独立。現在は、ファッション、美容、カルチャー、サステナビリティを中心に執筆・編集を手がける。Webや紙媒体のコンテンツ制作に加え、広告制作、コピーライティング、翻訳編集など、多岐にわたるプロジェクトに携わる。

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