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ライフスタイル|2026.04.28 PR

シャボン玉石けん×UPDATERトップ対談。時代の先をゆく「当たり前」を作る

無添加石けんの製造・販売メーカーのシャボン玉石けん社と、Shift Cの運営会社であり再エネテック企業であるUPDATER社は異業種の企業だが、その理念にはいくつも重なるところがある。今回はそれぞれ社長に登場してもらい、ヒストリーと経験した困難、思い描いている未来への課題について語ってもらった。

原稿:横山佐知 撮影:五十嵐一晴

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きっかけはキョンキョンだった

異なる業種のシャボン玉石けん社とUPDATER社は、サステナビリティへの取り組みとブレない信念という大きな共通点がある。そしてこの度、キョンキョンこと小泉今日子さんが二社を引き合わせてくれた。

UPDATER社の大石英司氏は2024年から小泉さんとラジオで共演し、シャボン玉石けん社は現在行われている小泉さんのコンサートに協賛しているというのだ。

福岡から東京に出張中の森田隼人社長にUPDATER社にお越しいただき、まずはその背景を聞かせていただいた。

森田隼人さん シャボン玉石けん株式会社 代表取締役社長。福岡県生まれ。2000年、同社入社、2007年より現職に就任。企業活動を通じて健康や環境の課題解決に向き合い、ESGに関する講演会などにも精力的に登壇している。2019年 環境省 グッドライフアワード受賞、2025年 サステナグロースカンパニー大賞受賞

――小泉今日子さんのコンサートの協賛をされることになったきっかけを教えていただけますか?

森田隼人社長(以下、森田) 私たちシャボン玉石けんでは“香害*”についてさまざまな媒体を通して発信しているのですが、特に力を入れている意見広告のXへの投稿を小泉さんの事務所「明後日」のアカウントがリポストしてくださったのが最初の接点です。社内でも、おぉ!と盛り上がりました。その後、私たちと小泉さんを繋いでくださる方がいて、ご本人がここ5年くらい当社の石けんを愛用してくださっていることを知りました。

今回、小泉さんが還暦全国ツアーを予定していて、愛用してくださっているのであれば一度何かご一緒したいですねという話がとんとん拍子に進み、福岡公演もあるということで、東京公演と追加の沖縄公演も含めて来場者の皆さんにお土産として石けんを持って帰っていただくよう協賛しました。

*香害:柔軟剤や化粧品などに含まれる人工的な香料で体調不良を引き起こすこと

5/2-3の武道館公演と、5/10の沖縄公演ではスペシャルパッケージに入ったシャボン玉石けんが来場者全員に配られる予定

大石英司社長(以下、大石) 僕は2024年から小泉さんとラジオ番組で共演していて、つい数日前に収録があったのですが、その時にコイズミ記念館オリジナルコラボの石けんのパッケージを見せてもらいました。すごいですよね!「まず僕にください!」って言っちゃいました(笑)。保存してとっておきたいくらいです。

大石英司 株式会社UPDATER 代表取締役社長。大阪府生まれ。広告制作会社、印刷会社勤務を経て、2011年に再生エネルギー供給会社、みんな電力を創設。2019年 環境省 グッドライフアワード 最優秀賞 受賞。2021年10月にUPDATERに社名変更

――シャボン玉石けんさんも寄付されたという小泉今日子さん主催の「明日の森プロジェクト」は、どのようにスタートしたのですか?

大石 先ほど話したラジオ番組「サステバ」(TBSラジオ系列、毎週土曜日19:30〜20:00)は、リスナーから社会に関するモヤモヤを募集して回答しているんですが、その中で熊被害の話になって、小泉さんが「私に何かできないかな」っておっしゃったんです。
小泉さんは以前から、ライブなどでたくさんいただくお祝いのお花やプレゼントが、持ち帰りきれなくて忍びないと思っていたそうで、それを森を豊かにするために適地にどんぐりを植樹するドネーションと結びつけることにしました。

今回の全国ツアーにあわせたもので、ファンの人は1口千円から、小泉さんにお花やプレゼントを贈る代わりに、どんぐりの苗を植える助けになるというものです。

それぞれに体験した覚悟の歴史と社会的責任

――両社はそれぞれ、一時期収益が落ちてピンチに陥った経験があると聞いています。会社のヒストリーも含めて教えていただけますか?

森田 創業は1910年、私の祖父が福岡県北九州市の若松という港町に雑貨商の「森田範次郎商店」を開いたのが始まりです。当時の若松は石炭の積み出し港として栄えていて、店は日用品全般を扱っていたのですが、次第に石けんに特化していったんですね。

石炭産業が落ち着いた頃に小倉に移り、父の代から高度成長期での洗濯機の普及にあわせて、石けんではなく合成洗剤に切り替えて、時流に乗ったんです。業績も伸びて順風満帆、今では無添加石けんを謳っていますが、実はいち早く合成洗剤に飛びついた会社だったんです。

左:合成洗剤のパッケージ。右:無添加石けん一本に切り替えた後のチラシ

合成洗剤の製造・販売をやめて、無添加石けんへ。売り上げは1%未満に、約100人いた社員は5人に

大石 意外ですね。

森田 そうなんです。そして国鉄(現:JR九州)から、合成洗剤で車体を洗うと早くサビが出るので、無添加石けんを作って欲しいと依頼がきたそうなんです。父が試行錯誤しながら当時のJIS規格が定める基準をクリアするほど、純石けん分の高い無添加石けんを作って、試しに自分で使ってみたら、1週間も経たないうちに当時10年くらい悩まされていた湿疹がキレイに。理由は分からず良かったなと思いながら、その試作品がなくなってまた自社の合成洗剤に戻したらすぐに湿疹が出てしまったそうなんです。

調べてみると、やはり合成洗剤は環境にも人体にも悪いことが分かり、一大決心をして合成洗剤をやめて無添加石けんに切り替えることにしたんです。それが1974年のこと。売り上げが1%以下になって、100人いた社員が5人に減ったそうです。

先代は3年ぐらい我慢すれば黒字になるって思っていたみたいですが、実際は18年目にしてようやく黒字になりました。

大石 18年!それはすごいですね。どうやって乗り越えたんですか?

森田 合成洗剤販売の頃の蓄えを切り崩しながら、赤字でも広告・工場新設・新入社員採用を進め、当時珍しかった工場見学も始めるなど、前進しつづけたからだと思います。

1991年に出した父の著書「自然流『石けん』読本」がベストセラーになり、翌年に黒字になり、その後世界的に環境意識が高まる中で、1999年に発売された書籍「買ってはいけない」の中で、“買っても良い商品”としてシャボン玉石けんが紹介されたのも大きかったようですね。

左:創業100周年のタイミングで制作した書籍「無添加を科学する」では、“無添加”と謳っている商品の安全性について深掘りしている。シャボン玉石けんのECサイトで購入可能。右:会社のフィロソフィーなどを漫画で紹介した冊子

この人の電気なら買いたいな、からの起業。口座残高が561円になったことも

大石 僕の創業の話をすると、2007年頃に当時サラリーマンをやっていて地下鉄で通勤していたら、目の前にいた素敵な女性が、バッグからソーラー付きの携帯充電器をぶら下げてたんですよ。それを見て、「この人電気を作ってるんだ。この人の電気だったら買いたいな」って思ったんですよね。

その時に、あ、電気って買ったことはあるけど誰でも作れる時代になってて、誰が作ったかっていうのを価値にすると、だれでも富が生み出せるんじゃないかなって思ったのがきっかけです。

2011年に「みんな電力」を立ち上げました。当初は多くのメディアにも注目されたのですが、資金繰りが悪化して、一時は銀行口座の残高が561円になったこともありました。当時子供が2人いたんですけどね。なので森田社長のお父さまの気持ち、分かるような気がします。

森田 …。その時、奥さまはなんとおっしゃっていたんですか?

大石 毎日渡していたお金がどんどん減っていったわけですよ。娘にも「毎日肉のない野菜炒めだね」とか言われて(笑)。そしてとうとう、その日の生活費として妻に100円しか渡せなくなった時があったんです。それを渡した時、妻は文句ひとつ言わず「……。分かった」と受け入れてくれたんです。

今でもうちの家族は、僕が何の仕事をしているのかよく分かってないと思います(笑)。

守らなければいけないのは、ユーザーからの声と信頼

石けんの出来を味見して確認する森田社長。「美味しくはないですけどね(笑)」(森田社長)とのこと

――苦境に立った時に、この一線だけは越えないと決めていることなどはありますか?

森田 うちの場合、当時父は理念経営などとは言っていなかったと思うんですが、いいものをお届けし続けるんだという思いがあったんですよね。

最初は売れるって確信があってもなかなか売れなかったけれども、その支えになったのはお客様からの声です。ちょっとずつ売れていくなかでお便りをいただいて、「子どもの肌に合うものがなかなか見つからなかったが、ようやく合うものに出会えました」とか、そういう声を聞くにつれて、使命感のようなものが生まれたんでしょうね。
途中で合成洗剤に戻すかとか、早めに事業を畳んで不動産を始めるかなど選択肢はあったと思うんですけども、それをしなかったのは、無添加石けんで人や環境を守りたいという信念があったんだと思います。

「健康な体ときれいな水を守る。」
今ではこれが軸になっていますね。

大石 僕らの会社では100%の再生可能ネルギーを、売る量の4倍ぐらいを仕入れていて、全国で1200か所ぐらいの発電所と契約していて、お客さんがどこの発電所のどんな再エネを使うか、ブロックチェーン技術でマッチングしているんです。

石炭火力などの市場の安い電気を仕入れたら、安売り合戦になって楽だったかもしれないですよね。でも結果として、それやっちゃった瞬間に、もう自分たちの価値はなくなるし。
昨今ですと、北海道のメガソーラーとかが問題になってますが、そんなメガソーラーは要らないので、僕たちは2018年から環境破壊型の再エネは仕入れないっていうポリシーを持っているんです。

仕入れのポリシーや、顔の見える暮らしをつくるんだという信念をゆがめちゃうと、結局、お客様から今まで応援してたのに何をやってるんですかって言われることになると思うから、しんどくても、そこを曲げなかったですね。

サステナビリティと経済性の両立

森田 合成洗剤は確かに安価で泡立ちも良く、使いやすいかもしれません。しかし、汚してしまった環境を再生するのにどれほどのコストがかかるかまで考えれば、実は(合成洗剤の方が)圧倒的に高くついているはずなんです。

大石 それこそ100円、200円の話じゃないですよね。

森田 はい。ご自身もしくはご家族の体調不良や肌トラブル、そういったものを考えると、決して高いものではないと思いますし。

我々としては、合成洗剤と石けんの違いや石けんの良さを伝えて、それが一般常識レベルになるように啓発活動をしています。石けんがもっと売れるようになれば、それだけ、笑顔になる生活者も増え、環境課題の解決にもつながっていくと思います。

製品は浴用石けんをはじめ、洗濯用せっけん、せっけんハミガキなど多岐にわたります。2025年にはUV、2026年には化粧水とスキンケア製品も販売されました


――御社ならではの取り組みについてもうかがいたいのですが、「島まるごと無添加石けん生活」について教えていただけますか?

森田
 我々の本社がある北九州市と福岡市の間にある宗像市の地島(じのしま)で行なった実証実験プロジェクトです。地島は人口が140人ほどなのですが、海産資源で生計を立てている家庭がほとんどで、地島産のワカメは皇室に献上されています。宗像市には世界遺産の構成資産である宗像大社があり、環境問題に意識が高く、以前から何か一緒にやりたいですねと話していました。

我々と宗像市、山口大学、九州環境管理協会と一緒に行なったもので、2019年9月から11月までの3ヶ月間、島民の皆さんに当社の無添加石けんだけを使ってもらいました。その結果、島周辺から海へ流れ出る排水にどんな変化が出るかを調べたものです。

3ヶ月というのは実証実験としては短いかな?とも思ったのですが、結果はちゃんと出ましたね。
地島には下水処理施設があるのですが、そこから排出される水の中の有機物の一部が減って、きれいになっていました。また下水処理場では微生物による生分解処理が行われるのですが、微生物の数と種類が増えて処理能力が格段に上がっていたのです。石けんが環境に優しいということが立証されました。

島まるごと無添加石けん生活、プロジェクトメンバー。左から、山口大学大学院創成科学研究科 循環環境工学分野 教授・今井剛さん、宗像市長・伊豆美沙子さん、森田社長、一般財団法人九州環境管理協会理事長(当時)・百島則幸さん

大石 すごいですね。

森田 この実証実験のあと、島の皆さんの環境への意識がより一層高まったと聞いています。あといちばん嬉しかったのは、小学五年生の女の子が作文で「私の将来の夢はパティシエになることでしたけど、今は科学者になって海の未来を守りたいです」と書いてくれていたことですね。ぜひ将来うちの会社の入ってもらいたいと思いました(笑)。

大石 そんなに意識が変わるって、何倍も効果がありますね。

自然資源を使いながら、ウィンウィンな関係へ

――シャボン玉石けんは自然界から採れる油脂類、UPDATERは太陽光や水力などと両社とも自然資源を使って利益を上げているわけですが、経営者として資源をどう守っていくのか、今後の展開はどう考えていますか?

大石 僕たちのビジネスは地球環境なしには成り立ちません。そのうえで今課題だと感じていることが、国民の9割がSDGsって言葉を知ってるのに、自ら積極的に行動する人は2割程度だといいます。これはアクションによる自分へのメリットが見えにくいからだと思うんです。

選んだ本人がメリットを実感できる「受け皿」を作って、その選択が社会的に評価されたり、自分に還元されたりする仕組みがあれば、今は迷っている方々も、自信を持って手に取れるようになるはずだと思うんです。
選んだ結果として自分も得をするウィンウィンな仕組みですね。

例えば、シャボン玉石けんの使用で「海を汚さず、肌を健やかに保つ」という貢献を数値化し、ポイント等で還元する。自分のアクションが将来の医療費などの自己負担を減らすことにも繋がるかもしれない。そうした『社会や自分への貢献度』を数値化し、ポイントや特典のように還元できれば、「良いことをした人が、ちゃんと得をする」。そんな無理なくサステナブルな選択ができる仕組みを、ぜひ一緒に作っていきたいですね。

森田 なるほど、それは面白いですね。
われわれも変わらずに同じことをずっとやり続けていて、持続可能なモノづくりを50年以上前からやっていますが、まだできてないことがあるので、しっかりと取り組んでいきたいです。

また、生態系や温暖化に対して、私たちができることを積極的に取り組んでいくことも務めだと思っています。2015年からは「1% for Natureプロジェクト」という取り組みを始めました。

弊社の人気商品の売り上げの1%を“人と自然にやさしい活動”へ寄付するものです。「あなたが石けんを使うと、人も地球もちょっと幸せに」というキャッチコピーで、例えば化学物質過敏症の患者や家族、活動団体などを支援したり、日本で初めて世界自然遺産に認定された屋久島の自然環境を保全する財団を支援しています。

大石 支援の先が見えると、買ってくれた人たちも嬉しいですよね。そういえば御社では、環境に優しい消火剤というのも開発されましたよね? 確かそのプロジェクトで環境省の2019年にグッドライフアワード(環境大臣賞の企業部門)を取られてて、森田社長と僕は授賞式でご一緒しているんです、実は。

森田 そうだったんですね。無添加石けんをベースとした環境配慮型の「石けん系泡消火剤」は1995年の阪神・淡路大震災で、地震後に発生した火災の消火に水が使えなかったことを教訓に、現地に応援にかけつけていた北九州市消防局の声かけにより北九州市立大学、シャボン玉石けんが約7年の歳月をかけて共同開発したものです。

この技術がJICAを通じてインドネシアの森林火災や泥炭火災消火に使われています。気候変動による世界の森林火災は、今我々が直面する深刻なグローバル課題ですが、生態系の保全という意味で弊社が貢献できる分野ではないかと思っています。
そもそもこの開発は、阪神淡路大震災の時に消火用水が足りなくて消火活動が難航したという話を聞き、「お役に立ちたい」という気持ちから始まったものでしたけど、今は地球規模で「役に立てること」を探していくのが地球市民としての務めだと思っています。

いま、弊社の商品を買って下さる方は「身体に優しい」という理由で選ぶ方が多いですが、これが環境にいいからという理由が広がっていけば、本当に成熟した社会になっていくと思うんです。同じ価格帯、同じスペックなら、環境にいい方がいいと思いますから、環境を軸に据えられる、それがスタンダードになるような世の中にしていきたいと思いますね。

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ライター/エディター
横山佐知
出版社勤務を経て2022年にフリーランスに転身。趣味は旅とランニングと登山とお笑い鑑賞。

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