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ロンハーマンが考える、サステナビリティと生産の現在地
「LOVE FOR TOMORROW」——愛を起点にした、サステナビリティという選択
ロンハーマンがサステナビリティを語るとき、必ず登場するのが「LOVE FOR TOMORROW」というスローガンだ。
「私たちはサステナビリティを、環境対策や数値目標として捉えるのではなく、LOVEを起点とした本質的な行動だと考えています」(デザイン生産部)
ブランドが生まれたカリフォルニアには、海や太陽、土地の恵みとともに生きるライフスタイルが根付いている。そうした自然の豊かさを未来へつないでいく責任が、ものづくりの姿勢にも自然と育まれてきた。素材の選定、生産工程、パートナーとの関係——すべてのプロセスにおいて「誠実であること」を大切にしている。
「永く使えるものをつくる」という、譲れない基準
生産の現場では、日々さまざまな判断が求められる。そのなかでブランドが一貫して重視しているのは、「長くお付き合いできる関係性であるか」「製品として長く愛用してもらえるものであるか」という視点だ。
「人やものに対して誠実に向き合うことを、ものづくりの基本姿勢にしています。私たちは選択をくり返すと同時に、世の中から選ばれる存在であるかどうかも常に意識しています。そうした積み重ねの中で、ブランドの価値観は自然と形づくられていくものだと思っています」(デザイン生産部)

ただ、サステナビリティをものづくりに落とし込むプロセスは、常に理想通りに進むわけではない。社内でもっとも議論になるのは「素材の選定と価格のバランス」だという。
「特に5年ほど前は、サステナブル素材の選択肢が限られており、思い描く表現を実現しようとすると素材を特別に開発する必要がありました。その結果、コストが高くなるケースも少なくなかったです。どこまで理想を追求するのかについて、社内でも多くの試行錯誤を重ねてきました」(デザイン生産部)
そうした積み重ねを経て、現在では以前よりも現実的な形でサステナビリティをものづくりに取り入れられる環境が整いつつある。
素材でつながる海と人——NETPLUSに込めたRANGE OF LIGHTの思想
今季ロンハーマンが展開するオリジナルレーベル「RANGE OF LIGHT」のアイテムの軸となっているのが、廃漁網100%リサイクルナイロン「NETPLUS」を使用したシリーズだ。

この素材は、2024年にローンチされたアクティブウェアライン「RANGE OF LIGHT(レンジ オブ ライト)」の誕生とともに採用されたもの。「人と自然、人と人をつなぐ」というコンセプトのもとスタートした同レーベルにおいて、NETPLUSは初回コレクションから一貫して用いられてきたシグネチャーマテリアルである。そこには、単なる機能性や環境配慮にとどまらない、素材選びへの明確な意図が込められている。

「カリフォルニア州に本社を置くBureo社が手がけるNETPLUSを選んだのは、単に素材をリサイクルするだけでなく、収益の一部が環境保全団体への寄付や、廃漁網を回収した地域コミュニティの再生活動に充てられているからです。美しい海を守る手助けになり、遠く離れた人々とつながることができる。そんな素材があることを、服という媒体を通して多くの方に知ってもらいたい——それが、この素材を選んだ理由です」(デザイン生産部)
さらに2024年秋冬からは、この取り組みを一歩進め、使用したNETPLUS素材代の10%を、日本国内で廃漁網の回収・リサイクル活動を行うEllange社へ支援金として寄付する活動も継続している。
日常からアウトドアへ——新作ワンピースが体現するもの

NETPLUSと並んで今期の顔となるのが、RANGE OF LIGHTの定番素材であるリサイクルポリエステルのリブシリーズだ。軽さと速乾性を兼ね備えたこの素材は、定番Tシャツをはじめとするアクティブウェアとして、シリーズの核を担ってきた。
そして今季、同素材を用いたマキシ丈ワンピースが新たに登場する。

「日常のワークアウト前後や、海から上がった後に水着の上から。さらに難燃性にも優れているので、キャンプシーンでも着用できます。シンプルながら美しいシルエットにこだわり、そのラインを崩さないようコンシールファスナーを施したポケットを採用しました。“日常からアウトドアまでシームレスに楽しむ”というRANGE OF LIGHTの思想を体現した一着です」(デザイン生産部)
NETPLUS素材ではなく、ブランドの定番素材を用いた今季のワンピース。それでも、「長く、どんな場面でも着続けられるものをつくる」という姿勢は変わらない。
Special Thanks Ron Herman——「捨てない選択肢」をブランドから提案する
ブランドとして今後も大切にしていきたい姿勢のひとつが、修理対応だ。
「どれほど昔にお買い上げいただいた商品でも、可能な範囲で責任を持って修理をお受けしています。服は消費されて終わるものではなく、時間とともに愛着が育っていく存在です。お客様が長く大切に着続けてくださることが、私たちにとって何より嬉しいこと。その積み重ねこそが、私たちが考えるサステナビリティの大切な一部だと捉えています」(サステナビリティ実行部)
さらに、ものを作るだけでなくその先までを見据えたいという思いから、衣類の買取サービス「Special Thanks Ron Herman」も誕生した。
「ものづくりのその先にあるものとして、考えるべきことは、お客様が愛してくださったお洋服の“その先”ではないかと思うようになりました。長く着ていただいたお洋服をただ手放すのではなく、次の誰かへとつないでいく。“捨てない選択肢”をブランドとして提案できたら——そんな思いから、このサービスは生まれました」(Special Thanks Ron Herman担当者)

「愛情を込めてつくり、お客様にお届けし、大切に着ていただいたものを次の方へとつないでいく。そうした愛のある循環が生まれることは、私たちの価値観とも重なっています。一つの服が、長く誰かに愛され続ける——そんな循環が少しずつ形になってきていることを嬉しく思います」
実際に運営を始めてみると、買取価格以上に「この服との出会い」や「大切に着てきた思い出」を話してくれるお客様が多かったという。
「洋服には、その方の時間やストーリーが宿っている。そうした想いに共感しながらお預かりすること自体が、お客様の満足感につながっているのではないかと感じています」(Special Thanks Ron Herman担当者)

このサービスを通してロンハーマンが届けたいのは、「自分のもとで役目を終えたお洋服に新しい役割を与え、次の循環へとつないでいく」という前向きな選択肢だ。
選び続けることが、愛である——ロンハーマンが描く未来
素材を選び、パートナーと向き合い、価格と理想のバランスを考え続ける。そして、服のその先まで責任を持つ。ロンハーマンのサステナビリティは、特別な取り組みではなく、日々の誠実な判断の積み重ねによって形づくられている。
派手な宣言よりも、静かな継続を選ぶ。そのブレない姿勢こそが、消費者との深い信頼を生み出している。「LOVE FOR TOMORROW」とは、愛を未来へ手渡すための、終わりなき問いかけなのかもしれない。
