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ニュース|2026.06.08

【GFS2026】シンフラックスが栄誉に!世界最大級のサステナファッション会議に集まった注目のブランドとスタートアップ

世界最大級のサステナビリティ会議「グローバル・ファッション・サミット」が5月に開催された。日本の「シンフラックス」はじめ、サステナファッションの最前線をゆくベンチャー&ブランドが一堂に会した祭典から、今知っておきたい最新動向をまとめて紹介。

原稿:白石 綾

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グローバル・ファッション・サミット2026とは?

5月6〜7日、デンマーク・コペンハーゲンにてグローバル・ファッション・サミット(GFS) 2026が開催された。今年のテーマは「Building Resilient Futures(強靭な未来の構築)」。2024年、パリ協定の1.5℃上限を年間平均で初めて超過し、サプライチェーンの混乱や環境目標への逆風が続くなか、ファッション産業が変化に適応し持続可能な構造へと転換するための議論が行われた。サーキュラリティ、素材革新、政策・資金調達の新機軸が注目テーマとなった。

まずは、グローバル・ファッション・サミット2026で存在感を放った5組を一覧でチェック。

「ビザ・ヤング・クリエイターズ:リサイクル・ザ・ランウェイ」優勝5組のブランドたち

大手決済ネットワークVisaとグローバル・ファッション・アジェンダ(GFA)が共同で行っている「Visa Young Creators: Recycle the Runway」。サーキュラー・ファッションに取り組む欧州の若手デザイナー・起業家を対象に、総額11万ユーロ(約2,000万円)の賞金プールと業界メンターシップを提供するプログラムだ。
リサイクル・ザ・ランウェイ・プログラムは、再販(Resell)・修繕(Repair)・レンタル(Rental)・詰め替え(Refill)・返却(Return)・再分配(Redistribute)の6つの「R」で循環型ファッションに取り組む起業家を支援し、次世代のサーキュラー・ファッションを牽引する人材の発掘・育成を目指している。

大賞受賞の瞬間、思わず抱き合って喜びを爆発させたMartanの共同創業者デ・ブール氏とポトヴェン氏

年間2,700万キロ廃棄されるホテルリネンから生まれるアート、マルタン(Martan)

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大賞に輝いたのは、ヨーロッパで年間2,700万キロ廃棄される高級ホテルのリネンから生まれた製品を展開するマルタン。既製服とアートが交わる場所を探求し、ファッションにおけるサステナビリティを両立させている。デザイン品質・循環型ビジネスモデル・事業の成長性の総合評価で最終的に大賞に輝いた。

共同創業者の一人で、トークセッションに登壇したポトヴェン氏は「サステナビリティという言葉はもう消費者に響かない」と断言する。「だからこそ、ブランドの取り組みは、外からの圧力ではなく、自分たちの内側からの動機、自分たちが信じることから生まれなければならない」と力強く語った。
世界にはすでに6世代分の衣料繊維が存在すると言われる中で、新しい原材料から服をつくらないことを信念に製品を展開する彼らの姿勢が評価された。

イタリア発ゼロウェイスト設計のジェンダーニュートラルブランド、ルシア・チェイン (LUCIA CHAIN)  

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アルゼンチン出身・イタリア在住のデザイナーが、イタリア・ピエモンテの農村スタジオを拠点に展開するLUCIA CHAIN。

生地を無駄なく使うパターン設計で廃棄物を出さないデザインかつ、男女問わず着られるジェンダーニュートラルなベーシックアイテムを展開。

全てのアイテムが受注生産・ハンドメイドだが、スローな生産体制は制約ではなく、「着ることは政治的な行為である」という彼女の信念から生まれた選択だ。
Vogue Italia「Next Green Talents」への選出や、サルヴァトーレ・フェラガモ美術館での展示参加など、国際的な評価も得ている。

トークセッションでチャイ二氏は、「先祖から受け継ぐ手仕事と現代の循環モデルとの融合が、現在のファッションシステムが抱える文化的価値の喪失と過剰生産の問題を解決するために不可欠だ」と述べた。

ローカル素材と職人技を現代服に復元した上質でタイムレスなニットアイテム、ローア(LORE)

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ウィーン発のファッションブランド「Lore」は、「土地・動物・素材の本質への回帰」をコンセプトに、ファッションを消費するのではなく、土壌と生産、作り手と着る人、自然とデザインをつなぐものとして捉え、上質でタイムレスなレイヤードスタイルを展開する。

ヨーロッパ、特にアルプス地域の天然繊維を使ったアイテムを提案。地域の牧羊家や職人との協働によって全工程をヨーロッパ国内で完結させている。繊維の原点から服を設計することで、トレーサビリティと職人の技、そして衣服本来の意味を現代のファッションに取り戻すことを目指す。

トークセッションでデザイナーのネミロフスカイア氏は、ヨーロッパで年間約1億6,000万キロ生産されるウールのほとんどが廃棄・焼却されている現実を指摘。Loreでは、この問題に向き合い、絶滅危惧種を含むオーストリアの4品種のウールを使用したアイテムを展開。これまでアパレルには向かないとされファッション業界で見過ごされてきた品種のウールをデザイン力で乗り越え、商品化を実現している。

没個性な量産型ファッションへのアンチテーゼ、カント・プリモ(CANTO PRIMO)

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ダンテの『神曲』にインスピレーションを受けたイタリア発のファッションブランド。没個性な量産型ファッションへのアンチテーゼとして誕生し、デッドストックの活用や古着のアップサイクルを軸に展開する。

量産化が難しいとされるアップサイクル事業において、過去4年で400以上の製品を開発。その試行錯誤の末に導き出した再現性のある40型のデザインをカタログ化し、いわば「アップサイクルのテンプレート集」とも言えるCircular Hubを立ち上げた。今後は、ブランドにとどまらず、業界全体の生産インフラとなることを目指している。

デザイナーのカターラ氏は、トークセッションの中で、「ファッション業界がアップサイクルを取り入れる上での本当の障壁は、素材の不足ではなく、変化への意欲の欠如にある」と主張した。


伝統技術と誠実さをビジネスに落とし込む、ゼロ・ウェイスター(THE ZERO WASTER)

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デザイナーのオネイル氏のアプローチは、故郷アイルランドの文化的背景に深く根ざしている。彼女は、廃棄素材や天然染料の使用といったサステナブルファッションへの長年の経験を経て、アイルランド国内の毛織物工場へと目を向けた。

各地を訪ね歩き、量産やサンプリングで使われずに残ったデッドストックの生地や糸を掘り起こし今回のコレクションに取り入れている。

また、スケールアップを進める中でも誠実さを保つために、独自のデジタルプロダクトパスポートを開発。タグに付いたQRコードを読み込むと、製造場所・製造者・製造日、デッドストック素材の出所と元の用途、カーボンフットプリント、そして修理方法やリサイクル方法までが一覧できるようになっている。

トークセッションの中で彼女は、「地域の労働力と職人技を守ることも、同様に重要な柱だ。アイルランドに根付いていたリネン、レース、ウールの衣服製造の文化が失われつつある今、地元の工場と協働することは、環境への責任であると同時に、文化的な継承だ」と語った。

日本のスタートアップ、シンフラックスが最優秀賞を獲得!トレイルブレイザー・プログラム

また、今回のサミットでは、GFAとPDS Venturesが主催する「トレイルブレイザー・プログラム」のファイナリストによるトークセッションと最優秀賞の発表も行われた。3年目を迎えた同プログラムは、廃棄物の削減や材料効率の向上、業界全体の構造的変革を推進するスケーラブルなイノベーションに焦点を当てている。

全9社となるファイナリストの中から今回登壇したのは以下の3社。

  • ファイブ(Fibe):ジャガイモの収穫廃棄物から繊維を抽出するロンドン発のスタートアップ。独自プロセスで天然繊維を製造し、既存の紡績・織物インフラにそのまま導入できることを強みとしている。
  • マイクロサイクル・テクノロジーズ(MacroCycle Technologies):廃プラスチック・ポリエステルから、従来比80%のエネルギー削減でバージングレード相当のPET樹脂を再生する米国発スタートアップ。
  • シンフラックス(Synflux):機械学習、3Dシミュレーション、アルゴリズミックデザインを駆使した次世代デザインシステム「Algorithmic Couture(アルゴリズミック・クチュール)」を開発している日本のスタートアップ。

セッションの締めくくりには、シンフラックスのグランプリ受賞が発表された。

受賞に伴い、シンフラックスはPDS Venturesからの最大20万米ドルの投資検討に加え、世界600以上の提携工場と250以上のブランドネットワークを擁するPDSグループ、およびその子会社「Positive Materials」からの戦略的な事業・運営支援を受ける見込みだ。なお、投資の正式決定は今後のデューデリジェンスを経て行われる予定となっている。

トレイルブレイザー・プログラム、グランプリ受賞の様子。ケリング チーフ・サステナビリティ・オフィサー兼渉外担当責任者のマリー=クレール・ダヴー氏(左)と握手を交わすSynflux株式会社 共同創業者/代表取締役CEO 川崎和也氏


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Stories behind 代表/鎌倉サステナビリティ研究所 スタッフ
白石 綾
アパレルブランドで販売や商品企画に携わる中で業界の課題を実感。イタリア在住をきっかけに、特に環境問題との関係に強い関心を抱く。2020年にMilano Fashion Instituteでサステナブルファッションを学んで以来、強い当事者意識を持ち、業界の問題解決に向けた活動を続けている。

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