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約700着の回収衣類から約390着の作品が誕生
3月22日(日)、大丸松坂屋百貨店が運営するファッションサブスクリプションサービス「アナザーアドレス(AnotherADdress)」によるアップサイクルコンテスト「ループアワード(roop Award)」が開催された。
本企画は今回で2度目。今年は「Rakuten Fashion Week TOKYO 2026 A/W」の関連イベントとして行われた。応募者がリメイク素材として使うのは、アナザーアドレスのユーザーから集められた、着られなくなった思い入れのある衣類と、アナザーアドレスでレンタルできなくなってしまった衣類だ。
アナザーアドレスでは、素材をデザイナーの手によって新たなデザインへと生まれ変わらせるプロジェクト「ループ(roop)」を展開している。元となる衣類の個性を活かしながらリメイクされた一点ものであることもあり、通常のアイテムと比べてループのアイテムはレンタル率が高く、人気を博している。
本コンテストには総勢86名がエントリー。最終審査のステージでは、選考を勝ち抜いたプロ部門3名、学生・アマチュア部門8名の計11名がファイナリストとして作品を披露し、上位3名が栄冠に輝いた。
今年の開催にあたり、約700着もの回収衣類から、約390着の作品が誕生。元の衣類の良さを引き出し、かつての持ち主への思いを馳せるデザイナーたちの姿勢が随所に見られた。
軍服に由来するトレンチコートを反戦のメッセージを込めて再構築
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プロ部門のグランプリに輝いたのは、MAISON CASANOVA 中村有佑さんによるトレンチコートを再構築したルック。軍服を起源とするトレンチコートをあえて解体し、背中には「NO GUNS, JUST ROSES」のメッセージを刻印。戦争の象徴を自らの手でバラバラに壊し、平和を願う一着へと昇華させた。
中村さんは「暴力をクリエイションで塗り替えることこそが、デザイナーとしての反逆の形。ファッションを愛しクリエイションに関わってきたが、一方で大量廃棄の現実も目の当たりにしてきた。アップサイクルはそれに対する反骨の意思表示でもある」と、制作に込めた想いを語った。
リメイク前と後を「二面性」として楽しむ一着

準グランプリを受賞したのは、KOHVA 秋山和美さん。KOHVAは、大量生産の隙間からこぼれ落ちてしまう素材に新たな命を吹き込むブランド。リメイクを施す前と後で服が持つ表情に「二面性」があることに着目し、その日の気分によって異なる着こなしを楽しめるルックを提案した。
異なるシーンで着られてきた服たちが、新しい物語を紡ぎ出す

アナザーアドレス特別賞を受賞したのは、Masaco Teranishi 寺西昌子さん。Masaco Teranishiは、オリジナル素材を中心に日本の技術を継承するブランド。かつて誰かの「大切な衣装だった服」や「海外の旅先で纏った服」など、異なる記憶を持つ服たちを組み合わせることで、一着の中に新しい物語を宿らせた。
持ち主の思い出をリスペクトした「はさみを入れない」アップサイクル

学生・アマチュア部門のグランプリは、YURI ANAYAMA 穴山友梨さん。「大切な服が切られたら悲しいかも」という友人の言葉を受け、元の持ち主の思い出にリスペクトを込めた「ノーカット」をコンセプトに据えた。「はさみを入れない」という制約の中で、糸を解いて縫い直したり、テキスタイルプリントや染めを駆使して新しい姿へ。その一貫したストーリー性が高く評価された。
サイズアウトした思い出を、もう一度華やかな一着へ

準グランプリを受賞したのは、Yui Wakabayashi 若林唯さん。幼い頃に発表会で着ていたものの、サイズアウトして着られなくなってしまった服たち。その「思い出」を、フリルやドレープ、ギャザーを贅沢にあしらうことで、再び主役として輝く華やかな装いへと蘇らせた。
「まる」が繋ぐ物語——愛され続ける服を目指して

アナザーアドレス特別賞を受賞したのは、SHINOBU TOMITSUKA 冨塚忍さん。「まる(円)」をコンセプトに、「プロポーズの際にもらったジャケット」「大切な人への『いってらっしゃい』」そうした一着一着に宿るストーリーを繋いだルックを披露。廃棄の多いファッション業界において、「手放されずに戻っていくこと」の大切さを形にした。
Shift C編集長・浦田も審査員として登壇し、ファイナリストが手がけた一着一着へ、真摯にコメントを贈った。
「アップサイクルはまだニッチな領域ですが、だからこそ人々はそこに、今までにない新しい意味やストーリーを求めています。世界がいま『循環』の方向へと大きくシフトしている中、これまでのファッション文化を新しくデザインし直していく。そんな皆さんの挑戦を、心から期待し、応援しています」

大丸松坂屋百貨店 代表取締役社長の宗森耕二氏は、30年前に着用していた自身のラグビーユニフォームをアップサイクルした服で登壇。
宗森氏は「昨年と比較しても、寄付された方々の想いに、デザイナー自身のエッセンスが加わっていたことが非常に印象的でした」と総括。
さらに、開始から6年目を迎えるアナザーアドレスについて、「循環型の取り組みに引き続きチャレンジしていきたい。服への想いをつないでいく、新しいサステナブルファッションを追求します」と、今後の展望を述べた。

期間限定リアルストアがコレド日本橋にオープン
上で紹介した受賞作品は6月頃から「アナザーアドレス」サイトで随時レンタル可能だ。また6月15日(月)まで期間限定で、コレド日本橋3階にて「AnotherADdress TOKYO」のリアルストアをオープンしている。普段オンラインでレンタルできる服を実際に見て、着て、スタイリストへの相談もできる。予約不要なので、気になっている人は寄ってみて。
