ストーリー|2023.12.13

エシカルでサステナブルなファッションとは?

※この記事はGood On YouのWhat Is Ethical and Sustainable Fashion?を日本市場向けに翻訳し公開しています。

ファッション業界における問題は複雑で、その問題の定義自体に混乱してしまうことも。この記事ではエシカルでサステナブルなファッションとは何かを解説します。

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基本に立ち返って

どのショップで買い物しても、地球、人間、動物にどのような影響が及ぶかをすぐに知ることができる世界を想像してみてください。 

その世界では、あなたが見つけたお気に入りのアイテムが、地球や労働者に悪影響を及ぼすことなく、むしろより良い影響を及ぼせることを知りながら気軽に買い物ができるのです。その世界の実現が、エシカルでサステナブルなファッションムーブメントが目指すゴールです。

そんな世界は理想論のように聞こえるかもしれません。その一方で、業界が大きく前進を続けていることも事実です。Shift Cは、どのブランドがエシカルかつサステナブルであるかを知るためのお手伝いをします。

さあ、Shift Cと一緒にエシカルでサステナブルなファッションを取り入れる準備はできましたか?

サステナブルファッションとは何か?

1987年、国連は「将来の世代が自らのニーズを満たす能力を損なうことなく、現在のニーズを満たす」ことを目的の一つとした「Sustainable development (持続可能な開発)」を提唱しました。サステナブルファッションはこの概念に基づいています。

「サステナブルファッション」と聞くと、なんだか壮大なものに思えるかもしれません。

活動家や専門家たちが、環境への影響を管理し、サプライチェーン全体を通じて人間や動物の健康を保証するファッション業界を提唱するときに「サステナブルファッション」(およびエシカルファッション、グリーンファッション、エコファッションなどの関連用語)という言葉がよく使われます。

有意義な持続可能性、すなわちサステナビリティを実現するには、過剰生産、過剰消費、廃棄物、労働者の搾取、気候変動の危機を引き起こすビジネスモデルからの根本的な転換が必要です。多くの専門家が、よりサステナブルなファッション業界を実現するために必要なシステム的変化を、「脱成長(デグロウス)」や「循環型経済(サーキュラーエコノミー)」といった言葉で表現しています。

ですが、その曖昧さと目標に向けた進展が見られないという問題意識から、「サステナブルファッション」という言葉に対し、今や多くのデザイナー、活動家、政策立案者が複雑な思いを抱いています。

近年「サステナブル 」や 「エシカル」といった言葉は、グリーンウォッシングや企業の持続可能性を謳う言葉としても使われることがあります。過剰生産、環境への悪影響、労働者搾取など、大きな責任問題を抱えているブランドが自身をサステナブルであると主張しても、その「サステナブル」という言葉は表面的に過ぎません。

ブランドが「もっとサステナブル」になり、消費者は「もっとサステナブルな選択」をすることができるはずですが、どんなブランドや選択も完全にサステナブルではないのが現状です。つまり「サステナブル」という言葉には限界が存在し、時にその説得力を失ってしまうのです。

グリーンウォッシングに対抗するため、ニューヨークやEUまでに及ぶ世界中の政策立案者が、ブランドマーケティングでこれらの用語が悪用されないよう法制化に取り組んでいます。

例えば、ニューヨーク・タイムズ紙のファッション評論家ヴァネッサ・フリードマン氏は、こう述べています。『「サステナブルファッション」という言葉自体が矛盾している。「サステナブル」が「持続可能」であることを意味する一方で「ファッション」は時間の経過とともに変化を伴うものであり、この2つを両立させることは不可能である』。そして、それに代わり「責任あるファッション(Responsible fashion)」という言葉を使うことを表明しました。ますます多くの小売業者やブランドが、同様の意図を持つ「コンシャスファッション」のような表現に惹かれています。

エシカルファッションとは?

エシカルファッションとサステナブルファッションが同義語のように使われている場面を多く目にします。しかしながら、エシカルファッションは、ファッション業界の社会的影響や「道徳的に正しい」ことに重点を置いているのが特徴です。

それぞれの地域の労働法に関わるものにとどまらず、労働者の生活賃金、健全な労働環境、動物福祉やヴィーガンファッションに至るまで、幅広い問題に対して訴える傾向にあります。

「道徳」を語る中で、気候変動や水資源の破壊が人間や動物に与える影響など、破滅的な環境問題の倫理的側面を無視しては意味がありません。「サステナブル」と「エシカル」は異なる意味合いと目的を持って両立されるべきなのではないでしょうか。

Shift C がよりサステナブルなワードローブ作りにどう役立つか

Shift Cが公開しているGood On Youのレーティングは、ファッションに関して最も包括的で広く信頼されているブランド評価システムです。Goood On Youは、何百万人もの消費者がより良い買い物の選択をし、ファッションをよりサステナブルなものへ変革していくための透明性のあるサステナブルなデータベースとして信頼されています。

Goood On Youはリサーチを行い、専門家、運動家、ブランドと対話して、「地球」「人間」「動物」の 3 つの分野にどのような影響を与えるか、シンプルかつ包括的に評価するシステムを構築しました。

3 つの分野について各ブランドを評価し、「素晴らしい」「良い」「ここから」「まだまだ」「他の選択を」という総合評価を付けます。ぜひお気に入りのブランドを検索してみてください 。評価システムの詳細については、「How we rate」ページをご覧ください  。

Shift Cは、見た目も気分も良くしていくことができる情報をお届けしています。Shift Cでエシカルかつサステナブルなブランドと出会い、ファッション業界を変えるきっかけ作りをしています。

さて、3つの分野について具体的に解説します。

地球のために

残念ながら、ファッションは地球、動物、そして人間にも大きな負担をかけている産業です。ファストファッション産業は、毎日、毎月、毎年、膨大なCO2を排出して大気を汚染し、私たちの最も貴重な天然資源である水を何千リットルも浪費し、有毒な化学物質やマイクロプラスチックを海や地下水に流出しています。

そして残念なことに、それだけに留まりません。現在のファッション産業による環境破壊を知るためには「生産・消費・廃棄」というサイクル全体を考慮する必要があります。この3つの段階について知れば知るほど、どれも好ましい状態とは言い難いことがわかります。国連は、ファッション産業が世界の温室効果ガス排出量の8〜10%を占めていると推定しています。

しかし、まだ希望はあります。地球により良い影響を与えるため、ファストファッションからスローファッションにシフトし、すでに持っているものを最大限に活用したり、古着を活用したり、より良い影響力を持つファッションブランドをサポートしたりすることで、CO2排出量を最小限に抑えることができるのです。

サステナブルなファッションブランドに注目すると、業界のパイオニアたちが地球環境のためにどんなことをやっているのかを知ることができます。ファッションアイテムの全サイクルを考慮し、資源とエネルギーを節約し、廃棄物を削減し、循環型経済(サーキュラーエコノミー)を取り入れた低負荷の生産方法に焦点を当てているのです。

ファッション業界の大部分は、環境汚染、有毒な化学物質の排出、大量の廃棄物、ひいては私たちの世代最大の課題である気候変動の原因となっています。

しかし、Shift Cは皆さんと一緒に常に明るい面を見ています。消費量を減らすという単純な決断をする。もし新しい服が必要になったら、未来志向で、よりサステナブルに配慮したブランドから購入する。これだけでも大きな影響力があると考えるだけで、力が湧いてきませんか?

人間のために

エンパワーメントについて考えてみましょう。ファッション業界のみならず、あらゆる人間を勇気づけ合えるのです。

途方もなく長いサプライチェーン、危険な労働条件、不十分な賃金のせいで、私たちが着る服を生産している人々の生活はあまりにも厳しいのが現状です。しかし、彼らの仕事がなければ、ファッション業界は失われてしまいます。

多くのエシカルブランドはこの事実を認識し、コレクションの生産過程に携わる人々を「パートナー」として尊重しています。

Shift Cは、公正かつ透明性の高い経営に注力するブランドをサポートしています。また、サプライチェーン全体を把握し、商品がお客様の手に渡る最後の瞬間まで携わっているブランドも紹介しています。

より多くのエシカルブランドが、世界規模で公正かつ透明性の高いサプライチェーンへの道を開こうとしており、ファッションの生産工程に携わるすべての人が敬意を持って待遇され、労働力に見合った賃金が支払われ、安全な環境で働けるように努めています。

公正な労働条件は女性の権利とも関わりのある問題です。「Labour Behind The Label(ラベルに隠された労働)」というキャンペーンが明らかにしているように、世界中で数百万人いる縫製労働者の大半は女性なのです。

また違法な児童労働の大部分が、ファッション産業の領域である従来型のコットン生産などで行われていることを考えれば、公正な労働条件は子どもの権利に関する問題でもあります。消費者は、違法で劣悪な児童労働の撲滅に力を入れているフェアトレード認証ブランドを積極的に探していくこともできるでしょう。

動物のために

ここ数年、多くのファッションブランドが動物愛護団体の呼びかけに応じ、毛皮の使用をやめました。しかし、悲しいことにいまだに動物虐待が横行しているファッション業界において、動物福祉を考えるためには他にも注目すべき点があります。

ブランドを評価する際の3つの重要な要素の1つとして「動物」に注目しています。毛皮、アンゴラ、ダウンフェザー、シアリング、カラクル、エキゾチックアニマルの皮や毛を使用しているかどうかを動物福祉の評価の対象としています。

また、ウールを刈り取る農場で 「ミュールシング 」が行われているかどうか、ブランドがレザーをどのように使用しているかも考慮しています。動物性素材の多くが倫理的に与える影響は明白であると同時に、見過ごされているのが現状です。 

私たちは、同じ地球をともに生きる動物たちに対して適切な対応をしているブランドを紹介し、より多くのブランドが適切な対応をとれるようにサポートしています。

ありがたいことに、多くの革新的な企業がファッション業界における動物福祉と動物性製品が環境に及ぼす影響への懸念を分かち合っています。ヴィーガンブランドは、牛革などの素材を使用せず、より低負荷の素材を導入する道を切り開いています。

ヴィーガンブランドは、エキゾチックアニマルの皮や毛を身につけずにスタイリッシュに着こなすことが可能であるという提案を行い、「ファッションの楽しさ」も証明しています。

レザーのような日常的な動物性製品は、単に畜産などほかの産業の副産物ではありません。需要があり続ける限り、毛織物のコートや革のバッグという束の間の楽しみのために、動物たちの苦しみが消えることはありません。

もし、ヴィーガン素材に完全に切り替える準備ができていないと感じるなら、中古品に切り替えてみてはいかがでしょうか。その方がはるかに倫理的であるだけでなく、製品も長持ちしやすいのでよりサステナブルな選択です。

あなたのために

多くのエシカルファッションブランドは、誰もが目線を同じにしてお互いを気遣う、より人道的な業界への道を切り開くことを実現しています。しかし、本当のエシカルはブランドだけで成し遂げることはできません。

どのブランドから購入するのか、あなた自身の選択の力が必要とされています。購入回数を減らすことや、修理をして使うこと、再利用やアップサイクルを選択することも選択肢の一つです。

あなた自身も、ファッション業界のサステナブルなシフトを実現する力になれるのです。よりエシカルでサステナブルなファッションブランドが人気になり成功していくことで、ポジティブな効果がより広がっていきます。

多くのエシカルブランドは、同時にたくさんの課題解決にチャレンジしています。固定観念や偏見と闘い、人種差別に反対し、あらゆる多様性をサポートするために活動しています。

過去に生きるのではなく、未来について考え、私たちが住む地球とそれを共有する生き物を大切にし、尊厳とチャンスに満ちた生活を、誰もがどこでも送れるような場所にしたいと考えています。

サステナブルファッションムーブメントは、自分自身が納得できる商品を選ぶことによって広がっていきます。

私たちが力を合わせることで、地域社会や地球に生きるすべての生き物に与えるネガティブな影響を無くしていくことができるのです。

サステナブル、エシカルファッションを選ぶことで良い影響が生まれることを知ったあなたは、おそらく自分のニーズや価値観に合ったファッションアイテムをどのように探せばいいのか気になっていることでしょう。

もちろん、最初の一歩は必要なものだけを購入すること。私たちは「リデュース、リウェア、リサイクル、リペア、リセール」、そして古着を取り入れることを支持しています。

しかし、新しいものが必要になったときには、この業界をより良いものに変えようと努力している、よりエシカルなブランドにShift Cを通して出会ってみてはいかがでしょうか。

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記事翻訳:スパロウ眞奈&UPDATER編集部

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