エディターズコラム|2024.03.05

「透明な服」を探して

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ファッションのエシカル度レーティングガイド、Shift C。

ブランドによって5段階のエシカル度が表示されていますが、例えば「サステナブルファッションとウェブサイトに書いてある」「デザイナーが本気でサステナビリティに取り組んでいるとインタビューで言っていた」といった理由だけでは高評価は与えられません。

それぞれの評価は、オーストラリアのエシカル評価機関、Good On Youのアナリストたちが様々な指標を使って導き出しています。詳しくはこちらの評価方法をご覧ください。

そんなShift Cの評価にあたってまず大切になる指標が、「透明性」です。

シースルーのドレスのことではありません。ここでいう「透明性が高い」とは、サプライチェーン (原料から服が作られる過程のこと)の情報が把握されており、そのブランドの服を作る人や、自然環境やコミュニティがどのような扱いを受けているかがウェブサイトやサステナビリティレポートなどの公開情報から「見える」状態であるということです。

サステナビリティの判定をするにあたって透明性は重要です。なぜなら、透明性はサステナビリティの前提となるものだからです。というのも、どこで誰がどうやって作っているかがわからなければ、そこに環境汚染や労働問題があったとしても、発見すらできず解決につながらないからです。透明性がある = サステナブルではありませんが、サステナブルを達成するためには、透明性をまず上げる必要があるのです。

ファッションの透明性確保は大掃除に似ている?!

少し難しくなってきてしまいましたが、筆者は、大掃除の手順に似ているななんて最近思いました。しばらく掃除していなかったキッチンの引き出し。カトラリーに加えて使い捨てのお手拭きやら割り箸やら、何が入っているか全貌がよくわからなくなってきている空間…。

掃除の鉄則は、まず全部出すこと。とりあえず全て机の上に出してみて、必要な物、必要ではない物、修理したい物などに分けていきます。把握して、仕分けができたら、きれいに拭いた引き出しに必要なものだけを戻して、ピカピカですっきり使いやすい引き出しに。

グローバルな服のサプライチェーンと、我が家のこぢんまりとしたキッチンの引き出しではスケールが違うとはいえ、どんな課題を解決するにもまず現状把握は欠かせないファーストステップ、というところは同意いただけますでしょうか?

「ファッション透明性インデックス」をチェックしよう

とは言ったものの、残念ながらファッションの透明性はまだまだ道半ば。通常、服のサプライチェーンは長い上に下請けがほとんどで、わたしたち生活者はおろか、服を作っているブランドでさえその場所や労働条件を把握していません。Good On Youの評価パートナーとなっているFASHION REVOLUTIONが毎年発行しているファッション透明性インデックスによると、グローバル展開している大企業のうち、縫製工場などの一次生産者を公開している企業は52%、染色などの加工施設は36%、原料サプライヤーまで遡れるのはわずか12%というのが現状です。(とはいえ年々微増しており、今年は初めて一次生産者公開が過半数となったのはグッドニュースでした。)

もう一度いいますが、透明性は、サステナビリティの前提条件。

Shift Cを活用して、透明性の高いブランドをどんどん応援していきたいですね。

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本記事は日本のユーザーの方のために、「多様で、健康的なファッション産業をつくる」ことをミッションに活動する一般社団法人unistepsが執筆しています。Photo:Unsplash

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