エディターズコラム|2024.02.16

本当に好きな服、買っていますか?

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「サステナブルな選択をしていきたいけれど、何を買ったらいいのかわからなくなってしまいました」

環境破壊、労働問題、動物福祉といった、ファッション産業の課題を目にすることが多くなった今日このごろ。課題を目の前に、「とはいえどうすれば?」という疑問を持つ方も多いはずです。よく言われる「自然環境や人権に配慮されて作られた、質の良いものを買い、長く着る」ことには頭では賛成だけれど、実際問題予算オーバーだったり、好きなテイストがなかったりするし、そもそもリサーチが面倒だし、長く着ると言っても来年着たいものは変わるし、などといろいろな葛藤が見え隠れします。

どんな服を買ったらいいのか、という問いには、ライフスタイルと密接な関係のあるファッションだからこそ、10人いれば10通りの答えがあります。例えばアウトドア派とインドア派の人、服で個性を表現したい人や目立ちたくないと思う人などで、買って納得できるものは変わってきますよね。ですので、万人が使えるおすすめブランドリストを出すのはあまり現実的ではありません。

ところで、最近筆者はアイシャドウが切れて、種類が豊富でオススメと聞いたブランドのカウンターに行きました。美容部員さんたちの上品な微笑みに応えながら選択肢を前にした私は、完全フリーズ。視界よりも広くプレゼンテーションされた、たくさんの似たような、でも微妙に違う、そしてその微妙な違いに大きな意義があることが明らかな色の数々。冒険したいけど失敗したくない、この矛盾した気持ちにカタをつけてからここに来るべきだったのではないか? そんな中、選択肢を絞ることすらできていないことを美容部員さんに伝えると、返ってきた言葉が、

「アイシャドウが塗りたいというお気持ちだけで充分です。一緒に探しましょう」

そこを、肯定してくれるのか!と驚きを持って受け止め、結局この方と一緒に選んだ4色パレットを購入しました。長くなりましたが、冒頭の質問をしてくださった方には、筆者が出会った美容部員さんと同じく「サステナブルな選択をしたいという気持ちをまず、讃えます」と、伝えたいです。美しく楽しいはずのファッションの課題を知り、不安や罪悪感などの感情が起こりがちなタイミングですが、とにかく今、より良い選択をしたいと思うことは素晴らしいことですよね。

サステナブルな買い物をする6つのヒント+究極のコツ

では実際何を買えば、という話ですが、サステナビリティへの効果がある買い物の代表的なコツをこちらにリストアップしますね。

  • Shift Cで上位スコアの、自然環境/人権/動物福祉に配慮した製品を選ぶ。
  • 古着を買う。
  • 縫製や生地の質が良いものを買い、長く着る。(同じ服を1年の代わりに2年着ると、温室効果ガスの排出が24%も減るというデータがあります
  • 複数の繊維が混ざっていると後でリサイクルが難しくなるので(混紡繊維を分離する技術は今のところありません)、なるべくコットン100%やウール100%などのモノマテリアル(1種類の繊維)の製品を選ぶ。
  • マイクロプラスチックの流出を防ぐため、ポリエステルやナイロン製品を避ける。(あるいは、石油由来のマテリアルをチョイスする時は、マイクロファイバーをキャッチしてくれるネットを使用する)
  • 好きなブランドがあり、そのブランドのサステナビリティへの取り組みが不明だったり不十分だと感じたら、「ファンの声」としてカスタマーサービスに質問したりリクエストする。(すぐには変化は現れませんが、買い続けたいブランドがあるのであれば、意外と効果的な方法です)

以上は、知識としてぜひ持っておいていただき、可能な限りどんどん実践していただきたい買い物Tipsです。

最後におまけとして、でも一番お伝えしたいコツが、「本当に着たい服を買う」ということです。お金を払って購入するんだからそんなの当たり前、と思われるかもしれませんが、服に関しては意外とできていないかもしれません。例えば、

①すごく自分に合っている気がする。着心地も良いし、これを着た自分を着るとわくわくする。でも高い。

②使えそうではある。そしてそこそこ安い。

この2着で迷ったら、①を選んでください。後悔させません。本当に好きな服を買い、まとい、それを長く楽しむことで、服との心地よい関係性を築いていくこと。これこそが長い目で見て最もサステナブルな服との付き合い方のような気がしています。

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エディターズコラムは、「多様で、健康的なファッション産業をつくる」ことをミッションとする一般社団法人unistepsが執筆しています。Photo: Unsplash

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