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お気に入りアイテムに穴が開いた! さてどうする?
気に入っている衣服に穴が開いたりほつれてしまったとき、皆さんはどうしているだろうか? もったいないけどまぁ寿命よねと、あっさり捨ててしまうという人も多いのでは? もしくは外着だったものを、家着に格下げするとか。特に靴下は、かかとに穴が空いたら即ゴミ箱へという流れになりがちなのではないだろうか。
しかし。それが高かったカシミアのセーターだったり、暖かいウールのソックスだと話は違う。ましてや買ったばかりだとなおさらだ。
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筆者は今シーズン買ったばかりのロングダウンコートの裾を、うっかり車のドアに挟んで小さい穴を開けてしまった。気に入っていたのでショックだった。ダウンのアイテムは、穴から中の羽根がスルスルと出てきてしまうので、穴が空いた時の対処法はテープを貼るしかないと周りから言われたからだ。
「コートにテープを貼るなんて、なんてダサいんだ…」と苦々しく思っていた時に、ニットなどの穴を針と糸でチクチクして塞ぎ、穴があったところに素敵な刺繍が出来上がると言う動画がSNSで流れてきた。その針仕事がダーニングというものだということを知った。
イギリス発、ヨーロッパの日常にある、伝統的な“お繕い”
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ダーニングはイギリス発祥と言われている、針と糸を使い穴やほつれを修復する方法のこと(darningは英語のdarn=繕う、の進行形)。毛糸や刺繍糸で穴が開いた部分を隠したり、欠損部分を補うものだ。衣服の延命作業ではあるが、糸の色の組み合わせやステッチの形を工夫すると、良きワンポイントになり、衣服を長持ちさせることもできる。
ワークショップやダーニング教室も各所で開催されているので、参加して自分でダウンの穴を修復しようとも考えたが、スキルが上がる前に冬が終わってしまいそう…。そこでダーニングデザイナーとして活躍中のayaさんにダーニングを依頼することにした。
基本は縦→横に、糸を機織りのようにクロスさせていく
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定番のダーニングステッチは、穴が開いた部分を隠すように縦の方向に上下のステッチを施し、次にその糸を横から針ですくって織るように横糸を張り、折り返していく。上の写真のステッチがわかりやすい例だろう。
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今回は、横の糸を途中で替えてもらって2トーンに。良い感じのアクセントになった。
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ニットの端の欠けた部分の修復も
その後、ニットのダーニングもお願いすることに。指先の開いた手袋の端が欠けてしまっていたので、その部分の修復をしてもらった。
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出来上がりに正解はない。ダーニングは自分らしくチクチクと
ayaさんがダーニングを始めたのは10年くらい前のこと。旅先のペルーで買ってきた手袋に穴が開いてしまい、直す方法を検索していた時にダーニングに出会ったのだと言う。書籍やネットを参考に少しずつやり続け、コロナ禍にはzoomでのワークショップに参加して様々なステッチを学んで、出来上がったものを友人に見せたところ、教えてほしい! とリクエストがあり、ワークショップを始めた。
「ダーニングには正解も失敗もないんです。自分がこれでいいと思ったらOK。キチッとしていなくても良くて、曲がってたりステッチが飛び出しているのも味になります。
ワークショップで、同じことを教えても、仕上がりは一人ひとり違って表情がある。それが面白いんです。」
なんとも勇気をもらえる言葉。隣の芝生は青く見えそうだけど、自分らしくできれば良いのだ。
「ただ、最初からお気に入りのものでやろうとするのは緊張すると思います。ダーニングはやり直しはできますけど、最初は捨てるつもりだったようなものからやってみるといいですよ。もう着られないとか使えないと諦めていたものでやってみることをおすすめします」
さっそく家で踵に穴の空いているソックスなどを探して、次からは自分でやってみることにします!