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オランダ発のプラットフォーム「Fashion for Good」とは?
Fashion for Goodは、オランダ・アムステルダムを拠点とするイノベーションのプラットフォームだ。主軸となるイノベーションプログラムでは、革新的な技術を持つスタートアップやイノベーターを、ブランド、小売業者、製造業者、そして資金提供先とのコラボレーションを促進することで、新しいアイデアや技術を迅速に市場に送り出すサポートを行っている。
その他、2017年に設立された世界初のサステナブルファッションミュージアムであるFashion for Good Museum(2024年6月5日に閉館)の運営や、個人と業界を活性化させるためのサーキュラーアパレルコミュニティのコワーキングスペースなども提供している。
1年で239億足が製造され、使用後ほとんどが捨てられている
世界では毎年約239億足の靴が生産され、多くの場合、ポリウレタンやゴムなどのさまざまな素材と数十種類の部品を使用して作られている。この複雑さと低い回収率が組み合わさり、フットウェアの大部分が使用後に埋め立てられるか焼却処分になるといわれている。
このような課題から、Fashion for Goodは「アディダス」「インディテックス」「ターゲット」といったシューズ業界をリードする企業と協力し、次世代のフットウェア・イノベーションを加速させるべく、新たなイニシアチブを発表したという訳だ。
ブランドの垣根を越えて始まる革新的な取り組み
この取り組みは、その構造上リサイクルが難しく大量に廃棄されているシューズ業界の現状を打破するために設計されており、ライフサイクル全体において、持続可能性と循環を実現するための4つの重点課題に焦点を当てている。
- デザイン
フットウエアの循環型デザインを定義し、修理や再利用を促進するためのインフラを整備するガイドラインを策定。製品寿命を延ばすため、修理が可能なデザインの導入や素材の再利用を前提とした設計を推進する。
- 素材
ポリウレタン、ゴム、レザーなどの従来素材に代わる持続可能な代替品を調査・検証し、低環境負荷ながら高いパフォーマンスを発揮する新素材の開発を目指す。これにより、フットウェアのライフサイクル全体における環境負荷を削減する。
- 分別、解体、リサイクル
消費者が使用した後に、靴を効率的に処理するためのデータを開発し、分別・解体・リサイクルのプロセスを最適化。また、靴の修理やリサイクルに適した技術の検証と導入を進める。
- トレーサビリティ
持続可能性の信頼性を保証するため、フットウェアのトレーサビリティに関するデータを統合し、業界全体で活用できる手順を整える。これにより、消費者や業界関係者が製品の持続可能性を確認しやすくなることを目指す。
このイニシアチブを通じて、Fashion for Goodはパートナー企業と共に、業界全体の協力を促し、革新的な技術とソリューションを市場に素早く展開するという。また、エコシステムパートナーやThe Footwear Collectiveとの連携により、さらなるインパクトを生み出すための努力が進められる。
革新的な技術を発掘、イノベーター募集開始
Fashion for Goodは、現在フットウェア分野における革新的で持続可能なソリューションを開発するイノベーターを世界中から募集している。2024年9月20日までに関連技術を持つ企業や団体の応募を受け付けており、持続可能な未来に向けた共創を呼びかけているという。
大手フットウェア企業も参加するこのイニシアチブは、業界の現状を打破するための動きをさらに加速させるものとなるか、今後の展開からも目が離せない。