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ストーリー|2024.08.07

「ナイキ」と「アディダス」。エシカルでサステナブルなのはどちら?

世界で最も有名なスポーツブランドのナイキとアディダス。ブランドのニュースに注目している人なら、両ブランドとも人権や環境負荷の面で多くの論争を巻き起こしていることも知っているかもしれない。ランニングシューズやヨガウェアをはじめ、あらゆるスポーツアイテムが揃っている両者。「人間」「地球」「動物」の観点から、どちらのブランドがより良い取り組みをしているのか探ってみよう。

翻訳:スパロウ眞奈

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※この記事はNike vs Adidas: Who’s More Ethical and Sustainable?を日本語訳にしたものです。

一進一退が続く「ナイキ」

ナイキが人権配慮を欠き、大きなバッシングが起きたのは1990年代のこと。あれから30年近くが経ち、ブランドはどのように変わったのだろうか。30年前から比べると改善こそしているものの、まだまだ道のりは長いようだ。

特に「人間」の項目では、最低賃金を下回る給与での長時間労働が横行しており、安全な労働環境が提供されていないことから批判を浴びている。また、2012年に発生したラナプラザ崩壊事故を機に、工場の安全性確保のために発足した安全協定にも署名していない。

しかし、栽培過程で児童強制労働が蔓延しているウズベキスタン産のコットンを知らずして使用していた問題には真摯にその事実を認め、ブランドとしての行動指針を公式声明として発表している。この点は良い兆しだ。

2021年と2022年のファッション透明性指数では51−60%の透明性を担保していると評価されたにも関わらず、2023年には41−50%へと後退してしまい、前進と後退の行ったり来たりの様子が伺える。

さらにナイキは「グリーンウォッシュ」をめぐって集団訴訟にも直面。47ページにわたる訴訟の報告書には「ナイキがサステナブルを謳って廃棄物やCO2排出を削減するキャンペーン、Move to Zeroの下に販売する商品が、実は生分解性のないプラスチック素材から作られていた。これは消費者の環境への関心を売上のために利用した違法な手段だ」と記されている。

「地球」「人間」「動物」の3軸でレーティングするShift Cで総合的に「ここから」と評価されたナイキだが、この評価をジャンルごとに紐解いてみよう。

「人間」の項目は上述のように一進一退が続いているため「ここから」。
「地球」の項目では、一部素材に関して環境への配慮が伺える点やSBTに基づいた目標設定をしているため同じく「ここから」。
「動物」の項目では使用している動物由来の素材に関してトレーサビリティが不透明なため「まだまだ」と評価されている。

サステナビリティを牽引する「アディダス」はどこへ?

2022年、アディダスの総合評価が「良い」から「ここから」へ落ちた。さらに2023年11月にはカンボジアのサプライヤー工場への賃金未払いをはじめとした人権侵害が発覚したことで「まだまだ」となった。残念ながら人権侵害の問題は現在も続いているため、Shift Cでの「人間」の評価も「まだまだ」となっている。また、2021年後半にはスタンスミスの新作スニーカーを発表する際に、リサイクル素材の使用について誤解を招きかねないマーケティングを行っていたこともスキャンダルとなった。

それでも、アディダスの透明性への前進は確かなようだ。例えば、サプライヤーと下請け業者を開示し結社の自由を尊重する声明を発表、さらに安全協定にも署名していることから、2021年と2022年に51−60%を記録したファッション透明性指数が、2023年には61−70%へと上昇している。

アディダスが「人間」面で際立っているのは、ダイバーシティとインクルージョンの分野で責任を負い、対応に積極的であることだ。これは、グローバルブランドが今後、より透明性が高く、倫理的で持続可能なファッション業界の基盤を築くために不可欠だ。

ポリシーや情報開示の点では優れていること、一方でこれらに対する実践のエビデンスが弱いことからShift C におけるアディダスの総合評価は、「まだまだ」となっている。

「ナイキ」VS「アディダス」でエシカルでサステナブルなのはどちら?という疑問への軍配は今のところナイキに上がっているものの、両ブランドとも改善すべき課題を抱えている。

“エシカルな一歩”を約束するシューズブランド

サステナブルファッションを楽しむ極意は、新たなものを買うのではなく、今自分のクローゼットにあるものを大切にすること。履き潰したスニーカーにお別れをしたいと考えているのであれば、以下のブランドから選んでみるのはどうだろう。

CARIUMA

Shift C評価:良い
ブラジル発のサステナブルシューズブランド「CARIUMA」。キャンバス、レザー、スエードといったさまざまな素材でデザインされており、エフォートレスなスタイリングにぴったりだ。
一足販売するごとに2本の植樹をしている点も魅力的。

MATE the Label

Shift C評価:良い
認証を取得した素材も使用してエッセンシャルなスタイリングを提案するアメリカのブランド。女性が設立したブランドとしても知られ、多くの女性スタッフが働くレーベルでもある。
自国製造にこだわることでカーボンフットプリントの削減にも取り組んでいる。

Outerknown

Shift C評価:良い
サーフチャンピオンとして知られるケリー・スレイターが設立し、ブルーサイン認証も取得している。スタイルと天然資源の保護を両立させたアメリカ発のブランドだ。

Dk active

Shift C評価:素晴らしい
オーストラリアのスポーツウェアブランドで、商品の製造には再生可能エネルギーも使用している。生地の廃棄を最小限にとどめるように努めているほか、PETAからはヴィーガンの認証も受けている。

Veja

Shift C評価:良い
環境に配慮し、フェアトレードにこだわるフランス発のVeja。提携コットン農家とゴム農家に市場価格の3割から10割上乗せをした価格で素材を買い上げて、農家に対して公正なビジネスをおこなっている。広告を行わないことでも知られ、広告費用ではなく「現実世界」に投資をするブランドだ。

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