棒針をつかってはじめてセーターを編んでから半年。次の冬物を考えるには暑すぎる季節、今度は、ずっと気になっていたかぎ針編みを始めてみることにしました。
何を揃えて、どこから始めればよいのか理解するのに少し時間はかかりましたが、結局メルカリで中古のかぎ針セットを、ネットでリサイクルコットンの糸を、そして書店で1冊本*1を購入し、とにかく感覚をつかみたくて編み始めました。なおこの本は、ちょうどデザインも好み、なにより巻末に編図が読めるようになるテクニックガイドつきで、はじめての一冊としてとても役に立ちました。
完成をイメージしたのは、パソコンを入れるバッグ。ジャストサイズでしっかりとした取っ手がついたものを作ろうと、冬と同じく、家のソファで、病院の待合室で、電車でちくちくと進めました。冬のセーターに使った棒針は2本必要なのに対して、かぎ針は1本のみ。荷物の軽量化にはこだわりのある筆者にとって、短めなかぎ針は家の外へ持ち出すにも多少身軽な気がします。
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スタートをきったら、はやかったのです。
どんどん進み、慣性の法則でころがるように編み進めて行きました。止めるタイミングを見失い、夜中まで編んで首と肩が石のようになった日もあります。編み物というと、歴史的におばあちゃん、母性的、女性的、家庭的といった属性と結びつけられることが多くありましたが、そのほんわかしたイメージとはうらはらに、意外と血走った目をしたニッターたちが日夜繋いできた技術なのかもしれないと、夜中の0時をすぎたソファーの上で思いました。
その面白さというか、ついつい進めてしまう中毒性に、脳から何かの物質がでていると勘づいたときにはもう、バッグは半分ほどできていました。調べてみると、編み物のような集中力を要し、かつ両手を使い、かつ毛糸や編み針などとの触覚を使う行動には、幸せホルモンであるドーパミンの分泌を促し、ストレスホルモンであるコルチゾールを下げる効果があることが研究で明らかになっています*2。SNSのスクローリングや砂糖の摂取でもドーパミンは分泌されますが、編み物の場合はそのスピードがゆるやかになるようです。多すぎても少なすぎても困るドーパミンを、ちょうどよく分泌し続けることが編み物の面白さの秘訣なのかもしれません。
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ホルモンを味方につけ、編み上がったバッグが写真のもの。なんだか右と左で長さが違う上に、ジャストサイズで作ったはずなのにやたらとロング丈(そして実際にパソコンを入れると重みでさらに長くなります)ですが、記念すべきかぎ針1作目の愛しのバッグです。
*1「かぎ針編みを楽しむデイリー&ウィークエンドバッグ」日向明子https://xknowledge.co.jp/book/9784767835730
*2 National Geographic “How knitting may be rewiring your brain” https://www.nationalgeographic.com/health/article/grannycore-knitting-hobbies-brain-health