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ファッション|2026.06.10

【愛用品公開】 ファッションデザイナー・Akemi  Yamanakaさんのベストバイ。「感動できる服」でつくる最愛ワードローブ

ファッションにまつわる「買う」という行為を、もう少し丁寧に見つめ直してみる。自分らしい価値観でモノを選ぶ人たちの“本当に買ってよかった”アイテムと、その背景を紐解いていく、Shift Cの新連載。

第1回は、ハワイ・オアフ島を拠点に活動するファッションデザイナー・Akemi Yamanakaさん。自然に囲まれた暮らしの中で、“感動できるもの”を軸に選び続ける彼女に、5つの愛用品を聞いた。

原稿:藤井由香里

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Akemi  Yamanaka|ファッションデザイナー、クリエイティブディレクター
神奈川県出身。循環型のものづくりを基調としたクリエイションを手がける。CASA FLINEの立ち上げに携わり、2020年にディレクターを退任。現在はハワイ・オアフ島を拠点に、日本のブランドのデザインを手がけながら活動している。
Instagram:@akemi_yamanaka_

「感動できるものだけを、そばに置いておきたい」——山中さんがモノを選ぶとき、何度も立ち返る感覚だという。

ハワイに移住して約2年。自然に囲まれた暮らしの中で、彼女のモノ選びはよりシンプルになっていった。本当に好きなものか。長く大切にしたいと思えるか。自分が心から信じられるものか。

ファッションデザイナーとしてものづくりに携わりながら、一人の消費者としても誠実でありたい。その視点が、山中さんのクローゼットに静かな一貫性をもたらしている。

1. ヴィンテージブラウス(バレンシアガ / ランバン)

(左)バレンシアガ(右)ランバン

旅先でヴィンテージショップを巡り、ブラウスを探すのがいつの間にか習慣になっていたという山中さん。LAで見つけたバレンシアガ(Shift C評価:良い)のキャミソールも、ランバンのシルクブラウスも、そうして出会った一枚。

「形とか細かいディテールとか、“ときめき度”が高いのがブラウスなんですよね。ブラウスやワンピースって、汚れたり破れたりしても、袖を切ったり丈を短くしたりしながら永く楽しめるので、ヴィンテージを研究目的で購入する時も、ブラウスを選ぶことが多いです。繊細なディテールや落ち感、少し変わったシルエットとか、デザイナーズヴィンテージならではの魅力に惹かれて、世界各国で買い集めています」(山中さん)

2. ヴィンテージデニム(リーバイス)

(ピンクとオレンジのTシャツ)ベースレンジ(上のデニム)オーラリー(下の2本のデニム)リーバイス

ヴィンテージデニムは、サイズが合うものを探すのが難しい。そんなもどかしさから、山中さんは“大きめを買って、自分で直す”という選択に辿り着いた。気に入ったリーバイス(Shift C評価:ここから)を見つけたら、自らスリットを入れたり、シルエットを調整したりしながら穿いているそう。

「ヴィンテージデニムって、自分のサイズに合うものを見つけるのが本当に難しくて。最近は大きいものを買って、自分のサイズに直せるように練習しています。もうサイズは関係なくて、色が可愛ければお迎えします。笑」(山中さん)

3. ベースレンジのTシャツ

ベースレンジ(Shift C評価:良い)のロングスリーブTシャツは、色違いで4枚所有しているほどの愛用品。Tシャツとデニムで過ごす時間が長いハワイの暮らしだからこそ、肌触りや着心地、ブランドへの信頼感を重視して選んでいる。

「ハワイって、ちょっと出かける時も、海に行く時も、Tシャツとデニムで過ごすことが本当に多いんです。だから、気軽に手に取れるベーシックアイテムを、ちゃんと信頼できるブランドで揃えておきたくて。肌触りも気持ちいいし、安心できるし、結局たくさん着ています」(山中さん)

4. Mediumのブラウス

ハワイの空を映したようなライトブルーのブラウスは、Medium(ミディアム)のもの。以前から親交のあるデザイナーが手がけるブランドで、ものづくりやその考え方に信頼を寄せているという。

「これは“青空のトップス”って呼んでるくらい、ハワイで着るのが心地よくて。有機的なプリントを、構築的なシルエットで引き締めるようなバランスがすごく好きです」(山中さん)

5. プロエンザ・スクーラー / メゾン・マルジェラのシューズ

(下)プロエンザ・スクーラー(右)メゾン・マルジェラ

プロエンザ・スクーラーのミュールやメゾン・マルジェラのブーツは、長年買い足しながら履き続けているもの。なるべく革製品を選ぶのは、“直せる”から。一番長いものは15年ほど履いているそう。ハワイに住む今も、日本へ帰国するたびに信頼する職人へ預け、修理を重ねながら大切に履き続けている。

「シューズもほとんどヴィンテージショップで見つけています。プロエンザのミュールも東京のヴィンテージショップで買ったものです。マルジェラのブーツはずっと履いていて、一番古いものは15年くらいになります。日本に帰るタイミングで、仲良しの職人さんに預けて直してもらっています。やっぱり、できれば日本語で説明してほしいし、されたいので(笑)」(山中さん)

STYLE 01|自分の身体に合わせながら、服を育てていく

LAのリメイクショップで購入したリメイクTシャツ、フミカウチダのインナー、セルフリメイクしたヴィンテージリーバイス、メゾン・マルジェラのシューズを合わせたスタイル

大きなメンズTシャツを再構築したリメイクトップスに、セルフリメイクしたヴィンテージリーバイスを合わせたスタイル。デニムのサイドには深めのスリットを入れ、重たく見えがちなヴィンテージデニムに軽やかな抜け感を生み出している。

「ヴィンテージデニムって、そのままだと重く見えることも多いので、これはサイドにスリットを入れて動きを出しています。歩いた時に少し肌が見えたり、シルエットに抜けが生まれたりする感じが好きなんです。特にヴィンテージのお洋服は、自分の感覚に合わせて少しずつ調整しながら着ています」(山中さん)

STYLE 02|情景や空気感まで纏えるようなスタイリングを

コム デ ギャルソンのヴィンテージブラウスに、ヴィンテージのレースパンツ、メゾン・マルジェラのミュールを合わせた軽やかなスタイル

風をはらむヴィンテージブラウスに、繊細なレースパンツ、メゾン・マルジェラのミュールを合わせたスタイル。構築的なシルエットと透け感のある素材を掛け合わせながら、ハワイの光や風の気配をそのまま纏うようなバランスを意識しているそう。

「ハワイに来てから、“情景”みたいなものを意識することが増えました。これは風が吹く日に着たくなるスタイリング。コム デ ギャルソンのトップスみたいに四角いシルエットが出るものは、逆にシースルーのボトムを合わせて、風を纏う感じを強調したくて」(山中さん)

「感動できるものだけを、そばに置いておきたい」

ヴィンテージ、友人が作るもの、信頼できるブランド——山中さんのクローゼットは、そういうものたちで静かに満たされている。「サステナブルかどうか」という言葉より先にあるのは、「感動できるか」「長く大切にできるか」という感覚。その基準は、ハワイでの暮らしを通してより研ぎ澄まされていったという。

——モノを選ぶ時、いちばん大事にしていることは?

山中さん:“信じられるかどうか”は、すごく大きいかもしれません。昔から物持ちがいいタイプではあったんですけど、ハワイに来てからは、より“感動できるもの”を選びたい気持ちが強くなりました。

自然の中で暮らしていると、空気とか風とか、光とか、日々いろんなことに感動するんですよね。そういう感覚と乖離したくないというか。だから、買うものも仕事も、“これは本当に自分が信じられるか”を大事にするようになりました

——今の暮らしの中で、大切にしている感覚はありますか?

山中さん:“余白”かもしれないです。たくさん持つより、本当に信じられるものが少しだけあればいい、みたいな。東京にいた頃は、次から次へ刺激が入ってくる環境だったので、“本当に自分が好きなものって何だろう”って見えづらくなる瞬間もあった気がしていて。でもハワイは、いい意味で刺激が少ないんです。

だからこそ、自分が何を心地いいと思うのか、何に感動するのか、ちゃんと向き合える。削ぎ落としていった先に、自分が本当に好きなものだけが残っていく感覚があります

——ヴィンテージが多いのも、その価値観と繋がっていますか?

山中さん:“ヴィンテージだから”というより、たまたまときめきが一致しているのがヴィンテージ、という感覚に近いです。もし爆発的に「うわ、可愛い!」と思えるものに出会えたら、新しいブランドのものでもお迎えします。

ただ、全部に共通しているのは、“長く大切にできそうか”という視点。そこはいつも考えていますね。ファッションって、高揚感がないと続かない気がしていて。サステナブルだから選ぶというより、自分が本当に好きだと思えるか。その感覚を大切にしたいんです。

——ものづくりに携わる中で、新しいものを生み出すことについて考えることもありますか?

山中さん:ありますね。「どこかに似たものがあるなら、自分がわざわざ新しいものを作らなくてもいいんじゃないか」とか、「もしかしたら、すぐ手放されてしまうかもしれない」とか。そういうことを考えてしまうことはあります。

でも、ファッションって循環しているものだと思うので、新しいものが生まれること自体を否定したいわけではなくて。背景にちゃんと信念や哲学があるものなら、私はやっぱり見続けたいと思うし、これからもそういうものを作っていけたらいいなと思っています。


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ライター/エディター
藤井由香里
ファッションメディアのライター/エディター、アパレル業界での経験を経て、2022年に独立。現在は、ファッション、美容、カルチャー、サステナビリティを中心に執筆・編集を手がける。Webや紙媒体のコンテンツ制作に加え、広告制作、コピーライティング、翻訳編集など、多岐にわたるプロジェクトに携わる。

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