Contents
次世代への環境教育に取り組むゴールドウイン
ザ・ノース・フェイスやヘリーハンセンを展開するゴールドウイン。大規模なリペアセンターの運営や服から服へのリサイクルを推進するなど、業界のサステナビリティを牽引する存在だ。
同社が今、情熱を注いでいるのが次世代への環境教育。未来を担う世代に向けて、ファッションと環境をテーマにした「出前授業」を全国の学校で展開し、この2年で120回以上におよぶ授業を開催。学校から開催のリクエストも高まってきているという。
今回の「ゴールドウイン 地球にやさしい未来の服、ひらめき展」は学校という枠を飛び出したイベントだ。会場となった東京本社には、文章やイラスト、動画、そして実際に着用可能な衣服など、小学生から大学生、専門学生まで、自由な発想で描かれた「未来の服」が集結した。環境配慮を軸にした課題解決から子どもらしいひらめきまで実に多彩。しかも、788点のアイデア一つひとつに対して、デザイナーの中里唯馬さんやゴールドウイン社員からの熱いフィードバックが添えられている。
子どもたちのアイデアが教えてくれたこと
3月23日に子どもも参加して行われたイベントでは、本展のサポーターを務めるファッションデザイナーの中里唯馬さんも参加。集まった作品を前に想いを語った。
「みなさんの“ひらめき”を見るのがとても面白かったです!100年後の服というテーマですから、『そんなの無理だよ』と大人が決めつけてはいけない。100年前は日本で着物が主流だったように、今は想像もつかないものが100年後には当たり前になっている可能性があるわけで、未来の話に正解はないですから」
展示されたアイデアの中には、CO2を吸収して空気をきれいにする服や、土に還すと花が咲く種入りの服など、自由な発想が並ぶ。
「『着方は自分で考えて』という提案も新しいと感じました。デザイナーは精度を高めた“完成形”を追い求めるわけですが、着る人が自由に定義していい。その余白こそが未来の服の姿かもしれません」
また印象的だったのが、廃棄問題から服のライフサイクルについても考えられていたことだという。
「手放したその後をどうするかというアイデアも多く見られ、学校の家庭科の授業を通して“着た後”まで考えることが定着しているんだ、ということも嬉しい発見でした」
中里さんは、ケニアの「服の墓場」と呼ばれる巨大ゴミ集積場「ダンドラ」で廃棄された生地から、パリ・オートクチュール・コレクションの衣装を作り上げたことでも知られる。ケニアで大量廃棄の現実を目の当たりにし、「これはまずいことが起こっていると全身で理解した」と子どもたちに体験を伝えた。


会場からの質問「デザインと環境配慮を両立するには?」
衣装制作を学ぶ学生からは、「自分の作りたいものと環境配慮を両立するために、どんなことを心がけていますか?」という切実な質問が飛んだ。中里さんはこう答える。
「難しいですよね、よくわかります。環境に良い素材が、デザインにおいて常にベストな素材とは言えないこともある。どこかで妥協が必要になります。でもそれは『良い・悪い』ではなく、まずはルールを知ることが一歩だと思います。何ができて、何ができないのかを知ることで、それが新しいアイデアのきっかけになるんです。「もう無理だ」と壁にぶつかったときこそ、クリエイターとして試されている瞬間。考え続けたら、必ず何かしら突破口が見えてきます」
トークセッションの後は、自然豊かなニュージーランドで生まれたアウトドアブランド「マックパック(macpac)」の撥水素材 AzTec®(アズテック)の端材を使った、トラベルトレーづくりに挑戦。 トンカチを使って素材に穴を開け、ボタンを取り付ける工程は、思いのほか力が必要だ。参加者たちは手を動かし、黙々と「ものづくり」にふける時間を楽しんでいた。

一つひとつのひらめきを形にし、長く大切に使う。そんなシンプルな行動の積み重ねが、地球にやさしい未来の服へと繋がっていく。そんな服作りの未来に希望を与えてくれる展示は3月29日(日)まで。

「ゴールドウイン 地球にやさしい未来の服、ひらめき展」
会期|~ 2026年3月29日(日)
開館時間|平日 11:00~19:00 土日祝日 11:00~16:00
会場|株式会社ゴールドウイン 東京本社1Fイベントスペース(港区北青山3-5-6 青朋ビル)
入場料|無料
特設サイト|https://about.goldwin.co.jp/education/news/hiramekitenoshirase
