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ファッション|2025.12.17

この冬、長く寄り添う一着を。今選びたいエシカルなコート5選

気温がぐっと下がり、いよいよコートが主役の季節に。毎日袖を通す冬の相棒だからこそ、デザイン性だけでなく、環境や人へのやさしさも大切にしたい。今回は、ファッション性とエシカルな視点をあわせ持つ3つのブランドから、この冬に取り入れたいコートを厳選して紹介する。

原稿:藤井由香里

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軽やかな装いから、しっかりと暖かさを確保できるアウターへと切り替わるこの時期。近年は、リサイクル素材の活用や製造過程での環境負荷の低減、動物福祉に配慮した素材選びなど、アウターをめぐる選択肢にも少しずつ変化が生まれている。

こうした背景をふまえ、Shift Cではファッションとしての美しさと、ものづくりの姿勢のどちらも大切にする3つのブランドに注目。冬の街を歩く時間がもっと楽しく、心まで温かくなるような一着に出会えるはずだ。

心の豊かさを纏う、上質な日常着「HARUNOBUMURATA(ハルノブムラタ)」

MARIA – WOOL OVERSIZE SHIRT JACKET ¥132,000(税込)

HARUNOBUMURATA(ハルノブムラタ)は、仕草や姿勢、一瞬のふるまいがもつ美しさをすくい取り、装いへと昇華するラグジュアリーブランド。デザイナーの村田晴信は、JIL SANDER(ジル サンダー)で培った感性をもとに、クリーンで研ぎ澄まされた女性像を描いてきた。

村田が語る「ラグジュアリー」とは、贅沢な素材や装飾ではなく、心を満たす精神的な豊かさのこと。日常の所作を美しく見せる服づくりには、“何を豊かと感じるか”という問いが通底している。

日本の素材や技術を正しい形で世界に届けたいという思いから、ブランドの多くのアイテムは岐阜の国内工場で縫製されている。自社の一貫生産により品質管理を徹底できるほか、輸送距離を抑えることで余剰生産や環境負荷の軽減にもつながっている。国内生産により労働環境が明確で、トレーサブルなものづくりを実現している点も、ブランドが大切にする価値のひとつである。

上質なシャギーウールを贅沢に使用したオーバーサイズのシャツジャケット。国外で生産されたウール素材は、縫製後も毛並みが美しく保たれやすく、長く着用したくなる風合いが魅力。岐阜の工場で丁寧に仕立てられ、イタリア製スナップボタンが控えめなアクセントとして機能する。シャツの軽快さとジャケットの端正さをあわせ持つ、タイムレスな一着だ。

MARGOT-RIB COLLAR NYLON SNAP JACKET ¥156,200(税込)

襟にウールリブを配したサテン素材のショートジャケット。生地には、国内で生産されたGOTS原料・GRS糸の認証素材を使用し、環境配慮と高い品質を両立。中綿入りのマットサテンとイタリア製スナップボタンのコントラストがモダンな存在感を放ち、寒い季節にも心地よく寄り添う一着に仕上がっている。

洗練と実用性を兼ね備えた、都会派モッズコート「THE TOKYO (ザ トウキョウ) × VACHEMENT(ヴァシュモン)」 

Recycle Shell Tafta Mods Coat ¥73,700(税込)

VACHEMENT(ヴァシュモン)は、“本当に!”という驚きや感動を日常に届けることを理念とするアウターブランド。袖を通すたびに伝わる精緻なパターンメーキング、触れた瞬間に感じる上質さ、そして手の届くリアルクローズとしての実用性。そのすべてが、ブランドの魅力を形づくっている。

今季は、THE TOKYO(ザ トウキョウ)による別注モッズコートが登場。ブランドの定番モデルをベースに、着丈をややコンパクトに、身幅を程よく整えることで、さまざまな体型に自然となじむバランスへと再構築されている。ウエストコードにはレザー素材を採用し、カジュアルな印象の中にも大人の品格が宿る一着に仕上がった。

素材には、リサイクルポリエステルとオーガニックコットンの混紡糸を高密度に織り上げたサステナブル素材を採用。タフタ特有の軽やかさとほどよいハリが生む立体的なシルエット、撥水加工の機能性、そして旅先や街で気軽に羽織れる扱いやすさを兼ね備えている。

ドルマンスリーブが肩に自然となじみ、フロントを留めずに羽織るだけでも様になる。フードを取り外した際に現れるゆったりとした襟元のフォルムも印象的で、いつものスタイリングに取り入れるだけで秋冬の装いにモードなニュアンスを与えてくれる。

日本の革産業を未来へつなぐ、オールジャパンメイドのレザーウェア「A LEATHER(エー レザー)」

A LEATHER(エー レザー)は、革の原皮から最終製品に至るまで、すべての工程を日本国内で完結させる姿勢を貫くレザーブランド。革はすべて食肉用や乳製品の副産物である国産原皮をムダなく活用し、姫路のタンナーで水染めし、時間をかけて丁寧に染め上げることで、柔らかさと自然な風合いをあわせ持つ革が生まれる。

裁断は大阪の工場で行い、布帛のように重ねて裁断することはできないため、一枚一枚表情の異なる革を見極めながら、部位ごとの特性を生かして適したパーツへと裁断していく。縫製も一人の職人が一着ずつ仕立てる“丸縫い”によるもの。非効率とも言える工程を重ねることで、A LEATHERならではの質と完成度が支えられている。

AWARD JACKET ¥286,000

裾や袖口にスムースレザーのレザーリブを配したアワードジャケット。姫路で水染めした国産牛革をベースに、スエードとスムースレザーを組み合わせ、マットな質感と上品な光沢が共存する奥行きのある表情に仕上げている。快適なフィット感と耐久性を兼ね備えた一着だ。

TRACK JACKET ¥286,000

一般的なレザージャケットの約1.5倍の革を贅沢に使用し、ボリューム感と構築的なシルエットを併せ持つトラックジャケット。常温の水でゆっくりと水染めされた牛革は非常に柔らかく、肩や腕の動きもスムーズ。袖口にはきめ細かなレザーリブを配し、フィット感と高級感を高めている。存在感と着やすさを兼ね備えた、ブランドを象徴する一着だ。

A LEATHERが目指すのは、日本の革産業と職人技を次世代へと継承していくこと。高齢化や工場の閉鎖が進む現状にもう一度光を当て、日本の素材と技術を世界へ発信することで、新たな担い手を生み出していくことを使命としている。その想いが、一着一着のレザーウェアに静かに息づいている。

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ライター/エディター
藤井由香里
ファッションメディアのライター/エディター、アパレル業界での経験を経て、2022年に独立。現在は、ファッション、美容、カルチャー、サステナビリティを中心に執筆・編集を手がける。Webや紙媒体のコンテンツ制作に加え、広告制作、コピーライティング、翻訳編集など、多岐にわたるプロジェクトに携わる。

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