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鈴木 里奈
2001年生まれ、東京都出身。青山学院大学在学中、フェアトレードゼミで環境や社会課題に関連する商品の開発に取り組み、サステナビリティを広めるためミス青山として活動。その後、学生キャスターとしてラジオやテレビ東京の経済番組に出演し、ESG経営インタビューを通じて持続可能な社会のための発信に注力。大学卒業後はインパクト/ESG投資のVCファンドでサステナビリティコンサルティングを行う傍ら、一般社団法人IMPACT SHIFTの理事やSNS発信を通じたサステナブルライフスタイルやウェルビーイングにも取り組む。
過去の記事はこちらから
鈴木里奈が考えるエシカルファッションの最前線
鈴木里奈が解説!フランス発のスニーカーブランド「VEJA(ヴェジャ)」の魅力
鈴木里奈が語る!社会課題に向き合う新たな挑戦
鈴木里奈がVEJA創業者にインタビュー
鈴木里奈による連載Shift Your Fashion! vol.1 サステナは“完璧”じゃなくていい
鈴木里奈による連載Shift Your Fashion! vol.2 世界のサステナファッション、海外ではどうなっている?日本はどう取り組んでいる?
こんにちは、Shift Changerの鈴木里奈です。
この連載「Shift Your Fashion!」では、日々の仕事や生活を通して感じる“サステナブルなファッション”をお届けしています。
第3回のテーマは「ブランドのサステナビリティをどう確認する?」。
これまでの連載よりも、もう一歩踏み込んで、“知る・選ぶ”ための実践的なステップを一緒に見ていきましょう。
まずは「知る」ことから。意識が変わると、行動が変わる
「サステナブルファッション、何から始めたらいい?」よくそんな質問をいただきます。古着を選ぶ、リサイクル素材を選ぶ、サステナブランドを買う——。取り組み方はさまざまですが、その出発点にあるのは「関心をもつこと」「知ること」だと思っています。

そもそもサステナブルなファッションとは?
「サステナブルファッション」と聞くと、少し漠然としていますよね。
環境省は次のように定義しています。
サステナブルファッションとは、
“衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて、将来にわたり持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や関わる人・社会に配慮した取り組み”のこと。
つまり、ファッションを楽しむすべての過程で、地球にも人にもやさしい選択をすることです。そして、この理念を言葉だけでなく、実際の行動や仕組みとして取り入れているブランドを「サステナブルブランド」と呼びます。素材の選び方、製造工程、労働環境の整備、製品の回収や再利用など、ブランドがどう実践しているかがポイントです。
サステナブルファッションが注目されているのは、気候変動や地球温暖化といった環境問題が進行するなかで、ファッション産業が、世界で2番目に環境負荷が大きい産業とも言われていること、そしてそれだけでなく、児童労働や労働搾取などの社会課題がファッション産業の裏側にあるからです。
それでも、ファッションは「おしゃれ」や「自己表現」であると同時に、私たちの価値観や生き方を映すもの。だからこそ、“持続可能なファッション”は次の世代へつなげるための責任であり、未来への希望でもあります。
第一回の連載でも書いたように、「買い物は未来へのラブレター」。 サステナブルなブランドを選ぶことは、私たち一人ひとりにできる、大切なアクションのひとつだと思っています。
どうやってサステナブルかを確認する?
では、「サステナブルブランド」はどうやって見極めればいいのでしょう?
もちろん、ブランドがコンセプトとして「サステナブル」を掲げていれば分かりやすいですが、実態がともなっていないケースも少なくありません。こうした“見せかけ”の取り組みをグリーンウォッシング(Greenwashing)※と呼びます。
私たちは、AIやSNSなど情報があふれる時代に生きています。だからこそ、知らず知らずのうちに誤った情報を信じてしまうこともある。そんな今だからこそ、「納得できる情報を自分で確かめにいく姿勢」が大切だと思います。
ここでは、私が実際に意識している3つのステップをご紹介します。
※グリーンウォッシング:環境にやさしいイメージを連想させる「グリーン」と、ごまかしや上辺を飾るという意味の「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた造語で、実際は環境に配慮していない商品やサービスを配慮しているように見せかけて、消費者や顧客をごまかすことを意味する。
① ブランドの商品情報をチェック
まずは商品そのもの。
素材やタグ表示を見れば、環境負荷がどの程度配慮されているか分かります。再生素材、オーガニックコットン、リサイクルポリエステルなどの記載があるか確認してみましょう。
また、先進的なブランドではカーボンフットプリント(原材料調達から廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体を通した温室効果ガス排出量)を公開しているところもあります。たとえば、COACHのサステナブルライン「coachtopia(コーチトピア)」は、素材や環境への影響を可視化するため、Made Circular™(メイド・サーキュラー)の原則に基づき製品の詳細を記録したデジタルパスポートを導入しています。
タグに内蔵されたNFCチップにスマートフォンをかざすと、製品情報がポップアップで表示される仕組み。私が最近ゲットしたバッグにも、このチップが付いていました!

② ブランドの「サステナビリティページ」やレポートを読む
ショッピング中にはあまり目にしないかもしれませんが、
ブランドの企業サイト(コーポレートサイト)にある「サステナビリティページ」や「レポート」は、実は情報の宝庫です。企業が掲げる目標やその進捗を数値で確認できるほか、IR(投資家向け情報)ページに掲載されている「統合報告書」や「サステナビリティレポート」には、さらに詳しい内容がまとめられています。
これらのレポートは、企業がステークホルダー(利害関係者)――たとえば私たち消費者、取引先、投資家など――に向けて発信するもので、ブランドの社会的責任や環境への取り組みを体系的に知ることができます。
読んでみると、「こんなことまでやっているのか!」と驚くこともしばしば。
たとえば、最近私が閲覧したユニクロ(ファーストリテイリング)のレポートでは、環境負荷低減への取り組みだけでなく、2006年から国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と連携し、世界の難民・国内避難民への衣料支援を行っていることを知りました。「RE.UNIQLO」で回収した衣料を難民キャンプへ寄贈する活動では、累計約5,897万点が寄付されているそうです。
このように、企業のレポートを読むことで、普段は見えにくい社会貢献の姿や、ブランドの本気度を知ることができるのです。

③ 客観的な評価を参考にする
最後に、第三者による客観的な評価を確認するのもおすすめです。
たとえば、Shift Cは世界最大級のエシカル評価機関「Good On You(グッド・オン・ユー)」のデータベースと連携し、約6,000のブランドを対象に、「人間」「地球」「動物」への影響をもとにスコアを付けています。
温室効果ガスの排出量、水の使用量、労働環境、動物福祉などを専門のアナリストが公開情報を基に多角的に分析しており、信頼性の高い情報源です。
また、B Corp認証やGOTS認証などの国際認証を取得しているブランドも、 一定の基準を満たしている証といえます。
このように、消費者には、ブランドが社会にどのような影響を与えているのかを知る権利があります。そして同時に、ブランドが正確で一貫した情報を公開することは、その「知る権利」を守るための基本的で欠かせないアクションです。
自分の目で確かめること、そして専門機関の評価を参考にすること。
どちらの方法も、納得して「知る」ための大切なステップです。
そして何より、自分に無理のないペースで「知っていく」ことこそが、本当の意味で“サステナブル”だと思います。

さいごに
今回の記事では、
サステナブルなブランドとは何か、そしてその確認方法を紹介しました。
サステナブルファッションを取り入れるうえで大切なのは、
「自分が納得できる選択」であること。
“やらなきゃいけない”ではなく、“ちょっとやってみたい”という気持ちから始めたほうが、きっと長く続けられます。
意識が変われば、行動も変わる。完璧でなくても大丈夫です。
「続けられるサステナブルな選択」を、あなたのペースで。✨ From small step to big step! ✨
次回は、連載最終回。「未来に希望を!いいこと沢山サステナファッション!」をお届けします!お楽しみに!
