• トップ
  • Learning
  • 「足元クーズビズ」を提唱するSF発のシューズブランドAllbirds(オールバーズ)とUPDATER社がコラボレート

ファッション|2025.08.25

「足元クーズビズ」を提唱するSF発のシューズブランドAllbirds(オールバーズ)とUPDATER社がコラボレート

ほんの10数年前までは8月の終盤に差し掛かると、世の中には『夏よ、いかないで…!!』的な空気が流れていたが、昨今のような酷暑では、そろそろ終わってくれという気持ちになる。しかしこの暑さは9月末まで続くと言われており、先は長そうだ。
そんななか、サステナブルなシューズメーカーAllbirds(オールバーズ)が日本に向けて「足元クールビズ」プロジェクトを提唱し、発表会が開かれた。それに合わせて来日したブランドのファウンダー ティム・ブラウン氏にこのプロジェクトやブランドの背景を聞いた。

原稿:横山佐知 撮影:五十嵐一晴 写真提供:ゴールドウイン

Share :
  • URLをコピーしました

オールバーズとはどんなブランドなのか

オールバーズ(Shift C評価|ここから)は2016年にサンフランシスコで生まれたシューズブランドだ。サッカーの元ニュージーランド代表のティム・ブラウンとバイオテクノロジーの専門家であるジョーイ・ズウィリンジャーがタッグを組み、スタートさせた。

今回来日したティム・ブラウン氏はサッカー選手として活躍していた2007年頃から、オールバーズの構想を思い描き始めていたという。

発表会に登壇した、ファウンダーのティム・ブラウン氏

「プロのサッカー選手だった頃、たくさんのギアを提供されましたが、そのほとんどが石油由来のプラスチック製のものでした。ご存知のようにこの50年余り、プラスチック製の製品はとても多く、それらは洗濯によりマイクロプラスチックとなって海に流出していると言われています。これを変えたいと思ったのが、オールバーズのルーツです」(オールバーズ ファウンダー ティム・ブラウン氏)

彼らは環境に配慮したものづくりを目指し、石油由来の合成素材ではなく、天然素材を使い製品を作っている。ブラウン氏の故郷であるニュージーランドのメリノウールをはじめ、ユーカリの繊維、サトウキビなどから生まれる商品は、保湿性、通気性が優れているのに加え、洗濯機で丸洗いできる機能性も持ち合わせているのだ。

またオールバーズには、温暖化の指標となるカーボンフットプリントをゼロにして、気候変動を逆転させるという壮大な目標がある。そのために、彼らは2021年に目標を設定した。

一つめは「2025年までに製品ごとのカーボンフットプリントを半減させること」。二つめは「2030年までにほぼゼロにすること」だ。
前者は約73.5%まで達成しており、残り4ヶ月でどこまで達成できるか注目されている。

オールバーズが提唱する「足元クールビズ」とは

先日、「足元クールビズ」プロジェクトについてオールバーズ丸の内店で発表会が開かれた。

地球温暖化対策として、夏の省エネとCO2排出量削減を目的に環境省が「クールビズ」という言葉を提唱したのが2005年のこと。主にビジネスの場において、ノージャケット、ノーネクタイ、半袖着用といったように、TPOに合わせた服装を提唱するものだ。それから20年が経ち、だいぶ浸透してきた感はある。
しかし上半身は軽やかになっても、足元は革靴、というスタイルの人はまだ多いようだ。
今年の5月に博報堂が、革靴やパンプスで通勤するビジネスパーソンにとったアンケート結果によると、約8割の人がビジネスの場でもスニーカーを履きたいと思っているのだという。


革靴(右)とオールバーズのシューズ(左)を履いて1時間過ごした人の靴の表面温度のサーモグラフィ。オールバーズのシューズは通気性が良いため、中の熱を放出している様子がわかる

実は夏の昼間、黒いアスファルトは60℃にまでなると言われている(環境庁:まちなかの暑さ対策ガイドライン_令和4年度部分改訂版より)。
オールバーズでは、体感温度がマイナス4℃になるスニーカーを履くことで、足元から涼しくなることを目指し、この「足元クールビズ」というプロジェクトを提唱しているのだ。

「最初にこのアイディアを聞いたとき、私はとてもスマートだと思いました。
ファッションもサステナビリティに取り組むべき時ですが、頭に訴えるのではなく心に訴えるような姿勢を示すべきだと思ったのです。
環境に配慮したものづくりだけではなく、このようなアティチュードを示すことが、とてもオールバーズらしいと思っています」(前出 ティム・ブラウン氏)

オールバーズは行動変容を呼びかけていて、多くの企業がこのプロジェクトに賛同している。
エステーでは経営者と営業マンがオールバーズのシューズを着用。神山まるごと高専では、将来社会人となる生徒たちが、足元クールビズの社会実装アイデアを開発した。

UPDATER社とオールバーズとの共創とは

右から、UPDATER社 代表取締役 大石英司氏、ティム・ブラウン氏、オールバーズ・ジャパン前マーケティング・マネージャー 森松永氏

Shift Cの母体であるUPDATER社も、オールバーズが提唱する「足元クールビズ」との共創を実行している。発表会では共創企業代表として、代表取締役の大石英司氏が登壇した。

「実は私は個人的に2年前に、この丸の内店でオールバーズのシューズを購入しました。ブランドの環境を配慮したものづくりにとても共感を持ったからです。それ以来、私の足元は快適なのですが、この2年で地球温暖化は改善されるどころか日本の夏はますます暑くなっています。これはなんとかしないといけないと思い、今回このプロジェクトに共創することにしました。

使用する電力を再生可能エネルギーに変えること、環境負荷の低いスニーカーを履くという選択が、より良い社会に繋がることを目指しています」(UPDATER社 代表取締役 大石英司氏)

オールバーズ創業者が“サステナビリティはOut of Fashion(時代遅れ)”と思う理由とは

――オールバーズはそもそも、2007年にあなたのアイディアから始まったと聞いています。サステナビリティという観点からは、だいぶ早い発想だと思いました。

「先ほどの記者会見でも話しましたが、当時私はプロのサッカー選手として多くのギアを見てきていたのですが、どのシューズにも大きなロゴが入っていて、そしてほとんどが石油由来の素材でできていました。でも、私の母国にはメリノウールがあるじゃないか! これを素材として使いたい、と思ったんです。

それからアイディアをスケッチしました。天然素材を使って、快適で、タイムレスなデザイン、とね。
その後、サッカーを続けながらプロトタイプ作りを繰り返していました(編注:選手としては2012年に引退)。でも私にはシューズ作りやメリノウールに関する知識がなかったから、何度も失敗を重ねたんです。少しずつ改良されていったのち、2015年にサンフランシスコでジョーイ・ズウィリンジャーに出会い、翌年一緒にオールバーズを立ち上げました。

始めた当初はサステナビリティという考え方をしっかりと理解していたわけではありません。
今ではサステナビリティという言葉が至るところで使われ過ぎている印象があります。消費者は混乱しているし、政治的に使われているし、人間行動よりも科学的な話になっていることが多く、私はサステナビリティという言葉はOut of Fashion(流行遅れ)だと思っています。
世の中の人は本質を見失っているようだけど、根本的な問題はまだ残っていて取り組まないといけないのは事実です。

オールバーズは10周年を迎えようとしていて、さらに次の10年に向けての展望を考えるタイミングなのですが、これまでサステナビリティという課題そのものについても、次の章に移っていく時期なんじゃないかと思っています」

オールバーズのこれからの10年について

「今日発表した足元クールビズで言うと、地球温暖化と靴がどう繋がるか、わかりにくいかも知れませんが、現状を見る中で我々のビジネスがなんであれ、世界が良くなるために努力しないといけません。

今回の共創プロジェクトはサステナビリティの次の展開のまさに良い例だと思います。
サステナビリティが人々の行動にどう関わるか。もちろん科学的根拠もありながら、実用的で実利に繋がり、行動に移せるものであるという意味でとても良い例です。シンプルで分かりやすいプロジェクトだと思います。

――かつてスポーツ選手で日々戦っていたあなたが、今は共創を提案しています。意識の違いはありましたか?

「私は別に変わっていないし、アプローチが変わったわけではありません。共通のゴールがあると、チームは一体となります。
今は地球環境への負荷を抑えるという同じゴールに向けて、競争と共創と共同が同時に行われているという状況だと思います。競争と共創が日本語で同じ響き(きょうそう)を持つのも面白いですね(笑)」

8月21日に発売された「Runner NZ Remix」、23〜29cm、20,900円(税込)

――新作のシューズには新しいイノベーションが詰まっているそうですね。

「Runner NZ Remixでは、混紡テキスタイルを綿とポリエステルに分離させて新しいテキスタイルにした素材を使っています。このテキスタイルをシューズに使用したのは世界で初めてのことです。100%リサイクルの素材を使いながら、履き心地も快適です。

このシューズにはいくつか象徴していることがあります。
まず一つめは我々のデザインのDNAのリニューアル。製品開発をしていく上でとても大事なコンセプトです。
二つめとして、このシューズにはサステナブルな素材や再生素材が使われていますが、デザイン性も高いのです。確固たる目的を持った製品ですが、消費者が欲しいと思うようなデザイン性のある商品を提供することは大事だと思っています。
三つめは天然素材、再生素材を使いながら、履き心地が良いことです。
私たちにとってはサステナビリティがゴールではなく、あくまでも良いもの、素晴らしいものを提供するのが目的で、良い製品作りにサステナブルな素材が役立っているところが重要なのです。

先ほど、サステナビリティという言葉は時代遅れだと言いましたけど、一周してまた人々の関心が戻ってきている印象があります。
新しいクリエイティブが始まり広がっていくのを感じます。これは必ずビジネスとして、良い結果に繋がるでしょう」

ーー先ほどの発表会では、ニュージーランドの原住民マオリ族の言葉を引用してましたね。

「彼らの言葉はオールバーズのものづくりのヒントになっています。
『未来に向かって後ろ向きに歩く』という意味の言葉なのですが、次世代の商品のヒントは過去にあるのではないか? 自然の中にあるのではないか? ということです。私たちは何かを伝えるとき、科学のデータを引用することがありますけど、このような言葉や物語は人に訴えかける力が強いと思います。

サステナビリティについて議論することもできますが『みなさん、お孫さんたちにどんな世の中に住んで欲しいですか?』と問いかけてみるのがとてもシンプルで効果的だと思います。

同様にビジネスにおいてのイノベーションの大事さをレクチャーすることもできるけど、後ろ向きに未来に向かって進んでいく、つまり我々がどこからきたのかを念頭におきながら未来に向かっていくということが大事なんだと思っています」

UPDATER社によるオールバーズとの共創について

みんな電力での取り組み

旧池尻中学校のHOME/WORK VILLAGE屋上にあるみんな電力の「足元クールビズ」発電所

UPDATER社が提供する電力サービス、みんな電力にてネーミングライツにより「足元クールビズ発電所」を設置。家の電気をみんな電力に切り替えて、応援先として「足元クールビズ発電所」を選ぶと、抽選で15名様にオールバーズのスニーカーをプレゼントするもの。

掲載期間:2025年9月30日(火)まで
応援方法:①おうちの電気をみんな電力に切り替える
②応援先で「足元クールビズ電気」を選ぶ
③10月上旬ごろに応募案内メールを受信
④申込む
応援特典:抽選で15名様にオールバーズの環境負荷に配慮したスニーカー1足をプレゼント
備 考:・スニーカーは、1世帯につき1足です
・落選のご連絡はいたしません
・予告なく取り組みを終了する場合があります
詳細はこちらから

みんな商店での取り組み

2025年4月に、世田谷区下北沢にオープンした、飲食・物販店舗であるみんな商店の店内に、足元クールビズに対応したオールバーズのスニーカーを展示。またオールバーズのカーボンフットプリントへの取り組みなどを紹介予定。

展示期間:〜2025年8月31日(日)
展示場所:みんな商店 2階

Share :
  • URLをコピーしました
ライター/エディター
横山佐知
出版社勤務を経て2022年にフリーランスに転身。趣味は旅とランニングと登山とお笑い鑑賞。

Ranking ウィークリーランキング (2025.08.18〜08.25)

Instagram Follow us
【8月28日】サステナファッション講座「Shift Club(シフトクラブ)Vol.2」開催!

【8月28日】サステナファッション講座「Shift Club(シフトクラブ)Vol.2」開催!