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ニュース|2025.05.22

タイムレスでエターナル。恩田義則氏のファッション写真展「Forever!! オリーブ少女」に急いで!

写真家の恩田義則氏が、かつて雑誌「オリーブ」で撮影したファッション写真を集めた展示会を開催している。20年以上前に撮ったものとは思えないような瑞々しい写真たちは、世の中に“かわいい”という価値観を生んだとさえ言われている。かつてのオリーブ読者だけでなく、ファッションが好きな人ならば必見の展示だ。

原稿:横山佐知

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写真展「Forever!! オリーブ少女」とは?

オリーブは1981年から2003年まで、マガジンハウスから発行されていた雑誌だ。意表をつくようなタイトルや斬新なヘアメイクとコーディネート、モデルたちの生き生きとした表情と独特のポージングで構成されたファッションページは、熱狂的な読者を作り、彼女たちは“オリーブ少女”と呼ばれた(オリーブ男子もいた)。

1980年代から長きにわたり、そのファッション写真を撮影した恩田義則氏が、現在東京の西麻布のギャラリー イー&エムで写真展「Forever!! オリーブ少女」を開催している。

オリーブはどんな雑誌だったのか?

オリーブは1981年に、雑誌ポパイの増刊として発行された(念のため補足すると、ポパイはアメリカの漫画・アニメのキャラクターで、オリーブはそのガールフレンドである)。
当初は大学生をターゲットにしていたが、定期刊行物化されたのち1983年からリセエンヌ(フランスの公立後期中等教育を受ける学生。日本でいう女子高生)をお手本にし、そのファッションやライフスタイルを提案するようになる。モノトーンやネイビーカラー、ボーダーや水玉、パールアイテムはファッションの定番だった。

コム・デ・ギャルソンの川久保怜氏がスペシャルな服をデザインした企画もあった。パパの背広やネクタイを拝借したりボーイフレンドシャツやデニムを取り入れるメンズライクなファッションも80年代に提案していた。
ファッションに関わる40代以上の人々の多くが、オリーブに影響を受けたと言って過言ではないだろう。

オリーブでは外国人モデルが多く登場していたが、デビューしたての観月ありさや吉川ひなのを起用したファッション・ストーリーも秀逸だった。今や人気女優となった市川実和子は1994年から4年間、オリーブの専属モデルとして活躍していた。

オリーブが“かわいい”という価値観を作った

オリーブでは“かわいい”という言葉が多用されていた。“かわいい”という言葉は本来、子どもや小さいもの、若い人に向けて発せられるものだが、オリーブでは自分にとって愛おしいものや魅力的なものすべてに向けて使っていた。いくつになっても“かわいい”という言葉は自分と共にある。それがオリーブ少女なのだ。

その後、雑誌「Cawaii」が創刊されるなど日本ではギャル文化が登場し、残念ながらオリーブは休刊している。

写真展の見どころ

今回展示されている写真には、掲載号や撮影した年代は添えられていないのだが、どれも新鮮な印象がある。ほとんどが20年以上前に撮影されたものなのに、だ。

これはオリーブが提案していたファッションが、流行りに乗っかったものではなかったからだろう。誰に何を言われても、好きなものは好き、みんなが着ているから、やっているからということが、自分の動機づけにはならない。この考え方はファッションだけではなく読者の価値観にも影響を与えた。
“オリーブ少女”というのは単に読者を括る言葉ではなく、オリーブが伝えた価値観を持った人たちを表す言葉とも言えるだろう。

実は筆者もオリーブ編集部に在籍していたことがある。スタッフのボーダー着用率が高かったことや、編集や撮影のアシスタントをしてくれていた学生バイトさんもオリーブ愛読者だったことを覚えている。「あの特集って何号だっけ?」と彼らに聞くと、目次も見ずにスラスラ答えてくれるくらい、読み込んでくれていたことなどを思い出して、懐かしくなった。

当時のオリーブを知っている人も知らない人も、自分らしさを大切にしたいと思う人全員に、ぜひ見てほしい写真展だ。
開期が短いから、急いで!(←記事のタイトルも含め、オリーブっぽく書いてみました)

恩田義則
1948年、東京都生まれ。1970年代よりファッションカメラマンとしてのキャリアをスタート。「装苑」(文化出版局)、「anan」(マガジンハウス)で活躍。「オリーブ」には1980年代から参加。

恩田義則写真展「Forever!! オリーブ少女〜カワイイ・カルチャーは、ここで誕生」
会場:ギャラリー イー&エム 西麻布 東京都港区西麻布4-17-10
開期:2025年5月20日(火)〜6月7日(土)
時間:12:00〜18:00(日・月休館)
入場無料

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ライター/エディター
横山佐知
出版社勤務を経て2022年にフリーランスに転身。趣味は旅とランニングと登山とお笑い鑑賞。

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