ストーリー|2025.01.06

いらない服を捨てる時どうする?衣類回収ボックスまとめ

クローゼットの整理や、子ども服がサイズアウトしてしまったなど、だれにもある不要になった服を手放すタイミング。そんな時「ゴミ箱に捨てる」のはちょっと待って! まだ着られる服はだれかの役に立ってほしいし、着倒した服だって再び資源になるなら有効活用したい。そんな気持ちに応える、衣服の回収方法20選を紹介。

Share :
  • URLをコピーしました

※衣類の種類や店舗状況により回収サービスが受けられない場合があります。ホームページや店頭で最新情報を確認してください。

Contents

今日本ではどれくらいの服が捨てられているのか?

では、私たちは今どれくらいの服を捨てているのか?まず現状を見てみよう。

日本で1年に手放される服の量は約70万トン。うち66%にあたる46万トンが燃やされたり埋め立てられたりしている。リサイクルやリユースなど再び活用されるのは全体の34%にすぎない。(*1)
国民1人あたりで考えると、私たちは1年に18枚新しく服を買い、15枚を手放しているという。
世界規模でみると数字はさらに膨大だ。世界では1年で9200万トン、3000億着の服が焼却か埋め立てされている。人口の増加に伴い廃棄量はさらに増加する予測だ。(*2)

これらの数字からわかるように、焼却や埋め立てではなく、今ある服をいかに再利用するかが重要になる。服をリサイクル・リユースするための入口となる回収方法を詳しくみていこう。

 *1 環境省 サステナブルファッション。一般家庭からの廃棄量
https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/
*2 https://www.ecommit.jp/case/bzvg9v8530/

1)循環プラットフォームによる便利な「衣類回収ボックス」

 近年増えているのがショッピングモールや公共施設に設置される「回収ボックス」だ。フリマアプリなどで売るのはちょっと手間だけれど、捨てるのはもったいないという時に、手続きなしでボックスに入れるだけという便利さから拠点が増えている。

カフェや郵便局にも。「あなたの町の回収スポットPASSTO(パスト)」

ブルーの回収ボックスのパストは、ショッピングモールや市役所、郵便局、最近ではコンビニでも実証実験が始まるなど回収拠点が3000カ所(24年12月時点)を超えて拡大している。
服だけでなくバッグや帽子などのファッション雑貨(靴は除く)、おもちゃやゲームなどホビー用品もボックスに入れてOK。

リユースに実績のある循環商社エコミットが手がけるため、回収したその後も廃棄にならないようきちんとデータ管理されているのが特徴だ。集められた衣類はプロの手により的確に分別され日本での再販、海外での再販、リサイクルに分別されており、リユース率85(国内37%・海外48%)、リサイクル率13を誇る。

➢MAPで最寄りのパスト回収ボックスを探す

服から服へのリサイクルを行う「BRING(ブリング)」

ハチのマークの回収ボックスを店頭で見かけたことがある人も多いのでは? ボックスを置いている参加企業は、無印良品、ビームス、ノースフェイス、スノーピーク、オッシュマンズなど幅広く、全国に3600カ所以上ある。(2024年10月時点)

ブリングを運営するJPLANは日本のケミカルリサイクルのリーディングカンパニー。廃棄物を分子レベルまで分解して再生PET樹脂を作る技術をもち、「ペットボトルからペットボトル」、「ポリエステル100%の服から再生ポリエステル繊維を何度でも」作り出す循環企業として世界的にも注目されている。

回収した服の約8割はまだ着られるのでリユースへ。残りの2割がリサイクルされ、再生ポリエステル、再生ウールという服の素材になったり、自動車内装やコークスとして活用される。ファッションブランドBRINGでは自社のBRING materialを使ったTシャツなども販売している。

MAPで最寄りのブリング回収ボックスを探す

BOOKOFF店舗に設置される「R-LOOP(アールループ)」

 本をはじめ服、雑貨、家具までさまざまな商品の買取、販売を行うブックオフグループが、服の回収・循環を行うBPLab社とタッグを組んでスタートした不要品回収ボックス「アールループ」。

ブックオフは全国の店舗ネットワークを駆使してリユースしているが、日本で販売できなかった服は夏物をマレーシア、冬物をカザフスタンに展開するリユース店「Jalan Jalan Japan」で販売している。この海外でのリセールなどにより日本で消費できなかった服の9割を販売しているという。
これにBPLabのマテリアルリサイクル技術が加わることで「繊維から繊維」や「粉砕やペレット化してから別の商品にする」などの再資源化が強化され、キャパシティが増えてムダのない循環ループが作られるという。

アールループの緑のボックスは服だけでなく、靴、バッグ、調理器具、おもちゃなど、ブックオフで買い取り可能な商品は回収OK。ブックオフの店舗をはじめ、自治体施設、商業施設、ホテル、マンションなどに設置され今後回収スポットが増えていく予定だ。 

2)ブランドを問わず衣類回収を行っているお店。服の下取りになるお得なクーポンも

服を持ち込むと500円オフのクーポンがもらえる「H&M」

 世界中の店舗で回収を行っているH&M。日本でも2013年から店頭に回収ボックスが置かれている。

  • ブランドや状態を問わず衣類や布地を受け付けている。穴の開いた靴下や擦り切れたタオル、シーツやカーテンなどのホームテキスタイルもOK。革製品、靴、アクセサリーは対象外。
  • 1袋ごとに20ポイントと500円オフのデジタルクーポンがもらえる。
  • 回収された衣類・布地はファイバーシーディーエム社に引き継がれ ①まだ着られる服は古着として再販 ②着られないものは清掃用品など ③ その他すべて細断されて断熱材などになる、という3つの方法で再利用される。

ブランドや状態を問わず服を回収する「ゴールドウィン(Goldwin)」

ノースフェイス、ニュートラルワークス、ヘリーハンセンなどのブランドをもつゴールドウィンでは、実施店舗で回収を行っている。

  • ブランドや状態を問わず、服のみ受け付け。下着、靴、バッグ、靴下、帽子、手袋などのアクセサリーは対象外
  • 5000円(税別)以上の購入時に使えるクーポンがもらえる
  • ポリエステルやナイロンはケミカルリサイクル、ウールは反毛(繊維ワタに戻す)、ダウンは再利用することで、高品質のリサイクル素材GREEN MATERIALとして自社製品に生かされている。

最寄りの回収店舗を探す

ント、寝袋、衣料品を回収する「スノーピーク(Snow Peak)」


アウトドアブランド「スノーピーク」では、衣料品に加えてテントやタープ、寝袋などを国内の直営店で回収している。上記BRINGと協業しケミカルリサイクル技術を使って新しい製品に生まれ変わらせている。

  • あらゆるブランドの衣料品、テント、タープ、シュラフを回収。靴、バッグ、アクセサリーは対象外。
  • 日本国内のスノーピーク直営店のレジカウンターで受け付け
  • テントやアウトドアウェアなどのポリエステル製品からポリエステルを溶かし出し、精製して、再度繊維にして新しい商品に使用。立体形成で仕立てるホールガーメント技術で素材のムダをなくす取り組みも行っている。

➢最寄りの回収店舗を探す

あらゆる衣類を回収。コートや防災用毛布などに変える「青山商事」

1998年より衣類回収に取り組み、近年“終わらない服をつくる”をテーマにWEAR SHiFTというリサイクルプロジェクトを行っている青山商事。

  • 全国の「洋服の青山」「スーツスクエア」店舗にリサイクリングBOXが設置されていて、スーツや学生服をはじめ、ネクタイ、ベルト、靴、レディースもブランドを問わず回収。10%OFFクーポンがもらえる
  • 回収された衣類・布地はファイバーシーディーエム社に引き継がれ、 ①まだ着られる服を分別 ②ウールの服はコートや災害用毛布へ再生。ポリエステルの服はマテリアルリサイクルされマグカップなどの製品に形を変える。 ③ 活用できない服は反毛やその他の素材に、という3つの方法で再利用される。2023年は回収した約350トンのうち約347トン、99%が再利用された。
  • リサイクル素材を使ったWEAR SHiFTプロジェクトのスーツもある

➢最寄りの店舗を探す

回収した服を新たな商品にする髙島屋の「デパート デ ループ(Depart de Loop)」

「Depart de Loop(デパート・デ・ループ)」という名前で循環型プロジェクトに取り組む髙島屋。衣料品、羽毛布団、コスメの常時回収を行っている。またブランドと協業して店舗で回収した服から新たな服をつくり、販売している。

  • 衣料品の回数は髙島屋の全店で常時受け付け。靴、バッグ、制服、きもの等は対象外。
    「Tsunagu Week」というキャンペーン期間中は「リセール」「再生ポリエステル」「土壌改良剤にする」など、循環先を選べる回収ボックスも設置され話題になった。
  • ①まだ着られるものは再利用され ②着られないものはパートナー企業と共にポリエステル、ウール、カシミヤ、デニムなどの再生素材の原料に ③その他は自動車内装材等に。
  • 髙島屋で回収した服を一部素材に使い新しい服に生まれ変わらせたデニムやニット、スーツなど再生プロジェクト商品もシーズンを重ねるごとに登場している。

➢最寄りの回収店舗を探す

靴やアクセサリーも回収する「ZARA」

世界の店舗に回収ボックスが設置されているZARA。地域ごとにNPOと連携し循環を進めている。

  • すべての種類の衣類、ホームテキスタイル、靴、アクセサリーなどを回収
  • まだ着られるものは再利用され、着られないものは①綿、ウール、またはポリエステル100%の衣類は、新しい生地へとリサイクル ②その他の衣類は建設用または自動車用の材料に ③材料の衛生・安全・品質上の理由で再利用やリサイクルができない衣類は、厳重な管理手順に従って廃棄される。
  • ➢最寄りの回収店舗を探す

 寄付&アップサイクルに力を入れる「アーバンリサーチ(URBAN RESEARCH)」

一部店舗に回収ボックスがあり、「commpost(コンポスト)」というまったく新しいアイテムに生まれ変わらせるアップサイクルが特徴。

  • ブランドを問わず衣類を回収。靴、バッグ、アクセアリーなどは対象外。アーバンリサーチ社の商品は100円分のポイントがもらえる。オンラインで申し込む回収キット(有料)もある。
  • まだ着られるものは再販され、「古着パトン」「フルクル」との協業で児童養護施設の子どもたちの支援やアジアで活動するNGO支援にあてられる。
  • リサイクルに回されるものの一部は「コンポスト」プロジェクトとして、スマホケースやバッグ、文房具などにおしゃれなライフスタイル雑貨に生まれ変わる。

➢最寄りの回収店舗(古着バトン)を探す

3)自社ブランドの服の回収を行うお店

地球のためにWORN WEARを提案する「パタゴニア(Patagonia)」

ギアの寿命を最大限に長くするためにリペア、リユース、リサイクルはもちろん、リデュース(消費量を減らす)、正しく手入れするなど着る人の意識の変化も促すパタゴニア。「限りある地球の資源で遊ぶ」というアウトドアカンパニーとしての哲学が循環スキーム「WORN WEAR(ウォーンウェア)」にも徹底されている。

  • パタゴニア製品には「買取して再販」「修理」の大きく2つの方法がある。機能に問題がないアイテムなら、オンラインから買取の申し込みを。修理は簡単なものならサイトの動画をみてDIYに挑戦、もしくは店舗で専門スタッフに相談もできる。
  • ジャケットの内側の剥離など修理不可能なものは、店舗にある回収ボックスへ(パタゴニア製品のみ受け付け)。アメリカ、ネバダ州には回収された商品をストックする倉庫があり、より長寿命の製品・素材開発のために活用されているという。
  • パタゴニア大阪・梅田の直営店には「Worn Wear」の中古販売コーナーがある。

染めなおした服の販売も行う「無印良品」

回収後に藍染めを施した「染めなおした服」

2010年より服の回収を行っている無印良品では、「Re MUJI」としてリユースとリサイクルに力を入れている。

  • 店舗では無印良品のアイテム、衣料品、タオル、シーツ、カバー類を回収。下着、靴下、靴、バッグは対象外。
  • MUJI Passportで1000マイルがもらえる。キャンペーン期間はさらにマイルアップ。
  • 回収した衣服でまだ着られるものは、藍染め・黒染めなどを施した「染めなおした服」、古着の「洗いなおした服」、リメイクした「つながる服」として再生される。着られない服は原材料として使われる。Re MUJIの販売店はこちら

 店舗にあるRE.UNIQLOボックスで回収する「ユニクロ(UNIQLO)」

廃棄を減らす「REDUCE」、新たな役割を与える「REUSE」、原料や資材に再生する「RECYCLE」を軸に「RE.UNIQLO」として服を生かす仕組みを作っている。

  • ユニクロ、ジーユー、プラステの服を、各店舗にあるRE.UNIQLO回収ボックスで回収。
  • UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)のグローバルパートナーとして難民キャンプへの衣料支援を行っており、まだ着られる服は世界各地の難民キャンプへ寄付される。気候、文化、宗教などニーズに対応した18種に分類し、NPO,NGOと協力しながら必要な量を的確に届けている。
  • ダウン、フェザーは再利用され、リサイクルダウンジャケットとして店頭に並ぶ。
  • 一部店舗には「RE.UNIQLOスタジオ」として刺し子や刺しゅうなどリメイクのサービスもある。

環境コンセプトショップもある「オンワード(ONWARD)」

業界初の環境コンセプトショップ「オンワード・リユースパーク吉祥寺」

「オンワード・グリーン・キャンペーン」として2009年より服の回収を行っている。

  • 全国にある「オンワード・クロゼット」などの引き取り店舗で、自社ブランドの服を回収している。オンラインやショッピングモールでの引き取りもあるので、詳しくはホームページで確認を。
  • 回収した服の中から状態のいいものは、環境コンセプトショップ「オンワード・リユースパーク」の店舗とオンラインで手頃な価格で再販されている。
  • 着られない服はリサイクル糸に戻し毛布や軍手に。日本赤十字の協力のもと、途上国や被災地に送られている。2024年はタジキスタンの貧困世帯へ毛布を寄贈した。今までに約160万人から回収し、16%がリユース、84%がリサイクル、廃棄は0%(点数ベース)。

最寄りの回収店舗、オンラインでの回収方法を見る

4)近所に衣類回収ボックスがない場合に。宅配便で送るという選択

シーツやカーテン、革製品も。古繊維回収の老舗「ナカノ」

古繊維問屋として横浜に開業して80年の歴史をもつ「ナカノ」。資源循環を目指すブランドやアップサイクルを行うデザイナーからもよく知られた存在だが、企業だけでなく一般家庭からの古着も郵送で受け付けている。洋服だけでなく、シーツやカーテンといった布製品、バッグなどの革製品も回収している。
集められたものは熟練の選別者によって手早く分類され、①まだ着られるものは古着(国内・海外販売) ②工業用ウエス ③反毛(繊維のワタ状に)して自動車の内装や軍手に、と主に3つに再利用されている。②③の工程はフィリピンにある自社工場で行われる。

古着を送る場合は、きれいに洗って、宅配便で、平日着、送料は送り手負担で。送り方や受付できるものできないものなどの詳細は下記リンクから。
https://www.nakano-inter.co.jp/oldclothes/index.html

先代と先々代が書いた『ボロのはなし: ボロとくらしの物語百年史』(現在は絶版)も近代日本のリサイクル史を知ることができる興味深い一冊。

服に加えてさまざまな商品が送付可能「ブックオフ(BOOKOFF)

回収ボックス「アールループ」でも登場したブックオフ。本やCD・DVD、ゲームの買取のイメージが強いが、現在は洋服から食器、ベビー用品、スポーツ用品、おもちゃなどさまざまなジャンルの商品を受け付けている。店舗に持ち込むほか、ネットで申し込みすれば無料で集荷に来てくれる宅配買取もある。

ブランドのリユースに力を入れる「セカンドストリート(2nd STREET)」

ゲオホールディングス傘下のセカンドストリートも、ブランドの衣服をはじめさまざまな商品の買取を行う。全国850以上の店舗のほかに、宅配買取も可能。サイトから申し込んで、三辺合計が160㎝以下の段ボールに詰めて準備を。

ファッション専門の買取・再販の「ラグタグ(RAGTAG)」

洋服に加え、バッグ、靴、帽子、ベルトなどの雑貨など、ファッション専門の買取・再販を行う「ラグタグ」。ワールドグループの企業として1985年の創業以来、古着の販売を行ってきた。ウェブから申し込みする宅配買取も行う。子供服を含めて買取可能なブランドはサイトから確認を。

5)その他のアイテム

捨て方に悩むブラをメーカー問わず回収する「ワコール(Wacoal)」

ワイヤーなど金属のパーツが多く、どう捨てていいか悩むブラ。ワコールでは前出のマテリアルリサイクルを得意とする「ブリング」と協業し、ブランドを問わず回収している。集められたブラは細かく粉砕され、金属を磁石で取り除き、再生ポリエステル素材などの原料になる。

 2024年の回収期間は10月1日~2025年3月1日。
洗濯したブラを紙袋などに入れて実施店舗にもっていく。もしくはサイトからリサイクルチケット(100円)を購入し、送られてきた回収袋に入れて返送する。
次回の回収時期はサイトで確認を。

➢最寄りの回収店舗を探す

ダウンを専門でリサイクルする「グリーンダウンプロジェクト」 

ダウン製品を解体・洗浄して、再利用するプロジェクト。回収~再製品化までさまざまなブランド、企業が関わっている。環境負荷と動物福祉の観点からも、既にある天然資源を使い続ける仕組みは重要だ。

 ダウンを50%以上含む商品が対象。全国のアーバンリサーチ、スノーピークほか、クリーニング店、布団店でも回収している。

➢最寄りの回収店舗を探す

Share :
  • URLをコピーしました

Learning他の記事を読む

絞り込み検索