※この記事は、16 Sustainable Fashion Documentaries You’ll Be Glad You Watchedを一部抜粋し、日本語訳したものです。
ムービーナイトにサステナビリティを取り入れてみては?
環境への負荷を減らしたいと思っても、何から手をつければいいのか迷うこともある。本を読むのが面倒なら、まずはドキュメンタリー映画を観てみるのがおすすめだ。10年以上前に制作された作品もあるが、その内容は今なおファッション業界の課題を鮮明に映し出している。
ファッション業界の現実を浮き彫りにし多くの人に衝撃を与えた「The True Cost」
「私たちの服の本当の代償を払っているのは誰なのか?」ーー環境への影響、工業化が進んだ国々での労働者の権利侵害、さらに農薬や工場排水がもたらす健康被害や胎児への影響まで、幅広い問題を取り上げる。安価で使い捨て可能なファッションを求める先進国の需要が、発展途上国の人々の生活や地球環境をどのように破壊しているのかを描き出している。
2015年に公開されたこの映画は世界中で話題を呼び、現在もファッション業界や消費の在り方について語られる重要な作品となっている。ファッションの常識を覆す内容で、多くの人々に衝撃を与えた。
The True Cost(2015) を見る
ファッションと水資源の深い関係。「RIVERBLUE」で知る環境汚染の真実
衣服の生産過程で消費される水について考えたことはあるだろうか。ファッション産業では毎年約930億立方メートルの水が消費されており、これは500万人分の年間必要量に相当する。また、世界の廃水の約20%は、生地の染色とその工程によるもので、この未処理の廃水により、私たちの生活用水が有害物質や重金属で汚れてしまっている。
クリーンウォーター・サポーターのジェイソン・プリーストリーがナレーションを務める『RIVERBLUE』は、ファッション産業による河川の破壊と人類への影響、そしてより持続可能な未来への希望を抱かせる解決策を検証するドキュメンタリーだ。
RIVERBLUE(2016)を見る
バングラデシュの縫製労働者のリアルと団結を描く「The Machinists」
ファッションが社会に大きな影響を与えていることは否定できない。ファッションは世界で何千万人もの人々を雇用しており、その大半は18歳から35歳の女性(バングラデシュでは80%)である。世界で最も貧しい国々の工場では、不公正で危険な労働環境がいまだに一般的だ。
「The Machinists」では、バングラデシュのダッカで働く3人の女性縫製労働者と駆け出しの労働組合の委員長の視点を通して、欧米の大衆向けファッションがもたらす人的損失を描いている。
The Machinists(2010)を見る
※現在、日本では視聴できない
おしゃれのために動物を犠牲にしていい? アニマルウェルフェアを問う「SLAY」
「ファッションのために動物を犠牲にすることは正当化されるのか?」というテーマを追求するドキュメンタリー。「COWSPIRACY」や「What the Health」の監督が手がけたこの作品は、私たちが日常的に身に着ける衣服と、それを支えるファッション業界に鋭い問いを投げかけている。
この作品では、毛皮、レザー、ウールといった動物由来の素材の裏側に迫り、その生産が環境や人々に及ぼす影響を掘り下げている。また、持続可能性や倫理の議論において見落とされがちな、動物そのものへの搾取にもスポットライトを当て、ファッションにおける動物由来の素材の在り方を問い直している。
SLAY(2022)を見る
※現在、日本では視聴できない
捨てられた服の行先をたどる13分のドキュメンタリー「Unravel」
服を捨てるとどうなるか?もしかすると海を越えて東のインド内陸部へたどり着いているかもしれない。インド西部のクッチ地区から北部の都市パニパットまで、衣料品リサイクル業者たちは、見知らぬ人々や場所から送られてくる大量の衣服を糸へと再加工している。「Unravel」では、捨てられた衣服がどのように変容していくのか、また、廃棄物を通じて伝わってくる噂をもとに、労働者たちが西洋に対するイメージを形成していく様子が描かれている。
Unravel(2012)を見る
未来を変えるファッションアイデアを紹介「ReDress The Future」
気候活動家のミカエラ・ローチがプレゼンターを務める2021年の3部構成のドキュメンタリー・シリーズ「ReDress The Future」は、持続不可能なファッション業界の問題の本質を覆すアイデアとイノベーターを探求する。具体的な解決策にまで焦点を当てたこのシリーズは、ファッション業界に異議を唱え、視聴者があっと驚くような循環型の未来を見せている。
ReDress The Future(2021)を見る
※現在、日本では視聴できない
ラナ・プラザの悲劇から始まった縫製労働者の団結と、5年にわたる闘いの記録「UDITA」
「UDITA」は、縫製労働者の闘いの草の根で活躍する女性たちの激動の5年間を追っている。職場での労働組合が殴打、解雇、逮捕につながった2010年から、タズリーンとラナ・プラザの悲劇を経て、長い闘いが実を結び始めた2015年まで。労働組合の女性組合員、労働者、リーダーの目を通して、この重要な時期について知ることができる。
UDITA(2018)を見る
楽しく学べるコメディー調の30分「The Ugly Truth of Fast Fashion」
H&MやZARAのようなファストファッションブランドは、数日おきに安くて最先端の服を作り出し、私たちはかつてないほどの量を消費している。この短いドキュメンタリーの中で、プレゼンターのハサン・ミンハジは、「死ぬほど良く見せたい」という私たちの欲望が、いかに地球を殺しているかを探っている。
The Ugly Truth of Fast Fashion(2019)を見る
元Blurアレックス・ジェームスが使い捨てのファッションを探る「Slowing Down Fast Fashion」
元Blurのベーシストで現在はチーズ職人としても知られるアレックス・ジェームスがホストを務めるドキュメンタリー。この作品では、ファッション業界が抱える深刻な問題に迫り、特に使い捨てのファッションカルチャーがもたらす人的・環境的コストについて批判的な視点を提示している。
Slowing Down Fast Fashion(2016)を見る
買わない人生はサステナブルなだけでなく幸福度も高める?「Minimalism」
持ち物を減らすことで、あなたの人生はどう良くなるのか?このドキュメンタリーは、ミニマリストの生活を探求し、一般的に幸せだと思われていることと、実際に幸せを感じている状況を比較している比較する。どうやって?もちろん、実践している人に話を聞くことによってだ。ジョシュア・フィールズ・ミルバーンとライアン・ニコデマスは、すでに少ないものだけで生活している人々の個人的な生活に入り込み、彼らが人生の意味をどのように見出しているかを見ていく。あなたの人生をより身軽にするためのインスピレーションを得る準備をしよう。
Minimalism(2021)を見る
年末年始や冬休みの時間を使って、これらのドキュメンタリーを観てみては?お祝い事やセールが増えるこの時期だからこそ、自分の消費スタイルにじっくり向き合ってみるのも良いかもしれない。