私の価値観を一変させた、ドキュメンタリー映画
こんにちは、前本美結です。
私は現在エシカル・サステナブルを軸にファッションやコスメ、ライフスタイルなどをYouTubeやインスタグラムなどで発信している側、コミュニティカフェ&バー [um](アム)でコミュニティマネージャーを務めています。
私が「エシカル × ファッション」に興味を持った1番のきっかけは、「The True Cost」(2015年公開)という映画を観たことにあります。コロナ禍で外に出ることが難しくなった頃、私は自分が観たドキュメンタリーを基に、社会問題の解説動画を作ってYouTubeで発信していました。プラスチック問題、ゴミ問題、気候変動、色々な社会問題をテーマに作られた映画を観てはまとめて、少しでも多くの人に知って欲しいという思いでやっていた当時。ずっと気になっていたけれど観る勇気が出ていなかった映画が「The True Cost」でした。
世界的に有名なブランドも委託していたバングラデシュのファストファッションの縫製工場で起きた事故「ラナプラザ崩落事故」をきっかけに制作されたもの。ファッション業界における環境問題や人権問題についてのドキュメンタリー映画です。ラナプラザでの崩落事故自体は、大学でも国際協力を勉強していたので「知識」としては持っていました。
ですが、実際に事故の映像を観たこともなく、ファストファッションについても「安くて便利でかわいい」という大学生が持ちがちなイメージしか当時の私にはありませんでした。
観ている最中に涙が溢れてきて、これに今までの自分が加担していたのか…とショックを受け、この事実を服を買う全ての人に知ってほしいと思い、映画を観返しながら台本を作成、撮影、編集まで3日かけてYouTube 動画を制作しました。この動画のサムネイルにある「服のために人が死んでいいわけがない」は当時の私が強く思ったことです。
今の私の仕事と、大切にしているポリシー
私はモデル・インフルエンサーとしてもお仕事をさせていただいているのですが、この映画を観てから自分の仕事のポリシーを設定しました。モデルとして起用される/インフルエンサーとしてそのブランドのPRを行うこと=そのブランドの商品を売るサポートをしていることになる。だから、その企業の理念や在り方に心の底から共感できるかどうかを一番大切にしています。
最初はこのやり方で生活していけるだろうか…と不安もありましたが、ありがたいことに今まで、エコアルフ、エンター ジ イー、カポックノット、ヌーディー ジーンズなど、Shift Cに掲載のあるブランド全体の1%ほどの評価4(良い)以上のブランドさんと、モデル、トークショー、PRのお手伝いなど、さまざまな形でお仕事をさせていただいています。
現在のお仕事の中心はコミュニティカフェ&バー [um]でのコミュニティマネージャー業務。年間50回以上なにかしらのイベントを行っているこの場所で、社会問題やサスティナビリティ・エシカルを軸においたさまざまなイベントを何度も開催してきています。服の寿命を伸ばすアクションとして、フリーマーケットや服の交換会も実施しています。
Shift Cの存在を知って、自分の持っているアイテムのレイティングをしてみようと思った
さて、今回の企画は「ワードローブをShift Cでレーティングしてみよう!」です。
Shift CのベースになっているGood On Youのことは数年前から知っていました。基本的にはこの世にある服の寿命を延ばしたいという思いがあるので、なるべく古着を買っているものの、応援のために新品のものを買う時、人にプレゼントしたい時などに使っていました。
ですが当時は英語版しかなかったこと、日本の小さいエシカルブランドの記載がなかったことの2つが理由で、調べても検索結果が出ないことも多くて。日本版のShift Cが昨年末にできた時は本当に嬉しかったです。今回の企画では、秋冬物のアイテムを中心に、自分のワードローブをShift Cでレーティングしてみます。なるべく古着&エシカルファッションを心がけて暮らしている私。秋&冬物に絞って、一旦クローゼットからすべて出してみます。
古着が多め! レーティングに出ないものも
ばーっとならべてみると、本当に色味が少ない(笑)。基本的にアースカラーのものばかり。自分ってこんなにたくさんの服を持っていたんだな…とあらためてびっくりしました。
基本的にはなるべく古着を買っている私。全体で43着あった秋冬物のうち、古着は27着と6割ほどでした。
古着屋さんで出会ったものは一期一会! ということでブランドを気にせず購入しているので、有名ファストファッションブランドからレーティングがでないものまで様々。Shift Cには記載のないブランド、ブランド名不明のアイテムは全部で13点でした。
レーティングが高かったアイテムについて
私のワードローブ内で、唯一の最高評価、5を得ていたのはヌーディー ジーンズ。デニム2本とデニムシャツ。合わせやすくてヘビロテしているアイテムたちです。ヌーディー ジーンズはスウェーデン発のサスティナビリティに力を入れているジーンズブランドで、破れたら無料で永年リペアしてもらえるんです。一生履けるジーンズが欲しい人にぜひおすすめ。
評価4は、こちらもハイブランドでエシカルといえば! なステラ マッカートニー、土に還る服とその仕組み作りに力を入れているシンクスアース、ダウンではなくカポックという植物の綿でウィンターウェアを作るカポックノット、トレーサビリティに迫るコレクション作りを追ったドキュメンタリーも制作されたマザー オブ パール、オーガニックコットンと日本の草木染めにこだわるヒカリ アンダーウェアの5ブランド。
評価3は、H&Mのハイエンドラインでサスティナビリティに力を入れているコス、名前の通り羽毛ではなくオルタナティブなダウンウェアを提案するセイブ ザ ダック、世界的なジーンズメーカーリーバイス、実はエシカルな取り組みを増やしているユニクロ、の4ブランド。レーティングが3以上のブランドのものは、やはり作りもいいので持ちがいい。ずっと着られるデザインの、ベーシックでコーディネートの核になってくれるアイテムが中心です。
次に見ていくのはレーティングが2の「まだまだ」、1の「他の選択を」のアイテムたち
こちらは全部で14点。そのうち新品のアイテムで自分で買ったものは2点。H&Mのハイネック(コーヒー染め済み)と、フォーエバー21の胸元にカットがある薄手のニットです。この2点は、私が最後に買ったファストファッションブランドのもの。残り12点は古着屋さんやフリマアプリでの購入、プレゼントとしていただいたものなどでした。
レーティングされていない13点の内訳は、母や祖母からのお下がりや、古着で手に入れた服でブランドが不明なもの。
評価が3〜5のものが16点、1〜2のものが14点、不明は13点、という結果でした。Shift Cで検索するまでは、3以上だと思っていたブランドのレーティングが思ったよりも低いという気づきもありました。
レーティング3以上のアイテムのみで、秋冬のコーディネート!
自分がどのくらいの服を持っているのか、そして毎日身につけるその服たちはどのくらいエシカルなのか。今まではなんとなくのイメージしか持っていなかったのですが、改めてこうやって分析してみることで、いろいろな発見がありました。私は時々ファッションのサスティナビリティに関してお話しさせていただく機会をいただきます。その時にいつも言っているのは、「できる人ができることをできるだけ」。
エシカルブランドの服は、しっかりと作られているからこそ、値が張るものも多い。だからこそ、ファッションを楽しむために新しいものを頻繁に買うことは経済的にもサステナブルではないことが、人によっては起こりうる。私もそうです。古着でアフォーダブルに楽しんだり、いつか手放すことを見据えて買い物をしたり。汚れたら染めてみたり、穴が開いたら繕ってみたり。ただ「買う」以外にもできることはたくさんある。既に持っている服を大切に着続けることも、今すぐできるエシカルなアクション。
今までの自分の試行錯誤が見えたと同時に、新しいものを買う時の基準もより明確になりました。Shift Cは「消費者の知る権利」を尊重して、ブランドが公式に出している情報から、地球・人間・動物の三つの指標をベースにした全900以上の項目をもとに5段階で評価しています。掲載ブランドは約6,000。そのうちのたったの15%しか、レーティングの3「ここから」以上を得ていない。そんななかでも日本のブランドであるカポックノット、ヒカリ アンダーウェア、シンクスアースは、レーティング4以上を得ている。日本のブランドでレーティングが3以上のものが増えることを願って、エシカルに取り組むブランドをもっと応援していきたいなと改めて思いました。これからも、自分のできる選択をできるだけとっていきたいなと思います。
さて、この辺りで私のクローゼット紹介はおしまい。お楽しみいただけていたら幸いです。今後の連載ではサステナビリティに取り組んでいるメーカー・ブランドを訪問していきます。
それでは皆さん、これからよろしくお願いします!