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ストーリー|2024.06.22

廃タイヤでつくるエコサンダル「インドソール」から、アフガニスタンの難民女性とコラボした特別コレクションが誕生

バリ島発の廃タイヤを使ったサンダル「Indsole(インドソール)」が、ビーズの刺繍が美しい特別コレクションを伊勢丹新宿店で6月25日(火)まで限定販売している。アフガニスタン難民の女性たちが手がけるこの「ジンダギ」プロジェクトについて、発起人のフマ・アドナンさんと、バンダナ・テワリさんに話を聞いた。

 

原稿:浦田庸子

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「インドソール」(ShiftC評価:ここから)は2009年にインドネシア、バリ島で誕生したソーシャルカンパニーだ。バリ島やジャワ島で大量に不法投棄される車のタイヤは、石油由来のため自然発火したり、水が溜まってマラリア等の温床となるなど、長年に渡って住民たちを悩ませてきた。「インドソール」はその廃棄タイヤに着目し、ビーチサンダルに生まれ変わらせることで地域の社会課題を解決。元々がタイヤ素材だけに滑りにくく実用的なデザインは、世界中でファンを増やしている。

アフガニスタンの女性たちが誇りを取り戻すための大切な刺繍

ソールは廃タイヤ100%を使用しており、インソールは廃タイヤ40%、天然ゴム30%、ヴァージン素材30%使用し、足あたりの良さを実現している。サンダル¥26,400~

インドソールは6月20日の「世界難民の日」に合わせ、アフガニスタンの女性たちとコラボして「ジンダギ」コレクションをローンチした。カラフルなビーズや刺繍に目を奪われるこれらのサンダルは、パキスタンに逃れたアフガニスタン難民の女性たちによって、ひと針ひと針ていねいに仕上げられている。

難民女性たちに刺繍を教えているのは、パキスタンのデザイナーのフマ・アドナンさん。カラチにあるセンターでは、今までに100人以上の女性たちが工芸を学んできた。

「パキスタンに逃れてきた女性たちはみな、タリバン政権に弾圧され、家族を奪われ、深刻なトラウマを抱えています。けれど、みんなで集まって刺繍を学ぶことで、痛みを乗り越え、生きがいを見つけていくのです。インドソールに使われている刺繍には、アフガニスタンとパキスタン双方の伝統的な模様や技法が生かされています」

サンダルに施された刺繍は、途絶えつつある文化の継承と、彼女たちのアイデンティティを取り戻し生活の糧を得る大切な手段となっている。

サステナビリティとは「環境」だけではなく「人々」の幸せに思いを馳せること

女性たちは少人数のグループをつくり刺繍を教えあう。「ジンダギ」はUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)のオフィシャルプロジェクトでもある。

「『サステナブルファッション』というと環境への影響ばかりが語られがちですが、服づくりを担う人々の幸せ、豊かな地域や文化こそ、大切な要素なのです」

そう語るのは、このプロジェクトのディレクターであるバンダナ・テワリさん。Vogue Indiaの編集長を務め、現在はジャーナリストとして世界を巡り、貴重な手工芸や職人に光を当てている。

「今、世界では分断、戦争、気候危機など深刻な問題が起こっています。そこで真っ先に犠牲になるのは社会的に弱い立場の人々です。パキスタンに逃れてきたアフガン難民も、現代社会の犠牲者です。そういった人々へ思いやりの心をもつことも、重要なサステナビリティのひとつではないでしょうか」

どこでどのように作られたものかを知り、生産者に思いを馳せる。「ジンダギ」のサンダルを選ぶことは、そんなサステナブルショッピングの象徴でもある。
実際プロジェクトの生産者をたどると、さまざまな国と人々が関わっていることに驚かされる。バリ島で集められた廃棄タイヤは、ジャワ島の工場でサンダルになり、パキスタンに暮らすアフガニスタン女性の手で伝統工芸が施され、ここ東京でユーザーの手に渡る。

「一見バラバラな場所が繋がって、思いやりが連鎖するこのプロジェクトをとても誇りに思っています。ファッションに国境はない、それを証明するのが『ジンダギ』なのです」

コレクションの販売は日本のみで、6月25日(火)まで伊勢丹新宿店にてポップアップを開催中。その後はオンライン販売の予定があるそうなので、サイトで確認したい。

デザイナーのフマ・アドナンさん(左)とジャーナリストのバンダナ・テワリさん(右)。
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