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ニュース|2026.09.10

「オッフェン」がB Corp™認証へ。アパレルと海外へ広がる、ブランドの新ステージ

神戸発シューズブランド「オッフェン(Öffen)」が7月、社会や環境に配慮した企業に与えられる国際認証「B Corp」を取得。ものづくりの“答え合わせ”に挑んだ舞台裏を、プロデューサーの日坂さんとブランド ジェネラル マネージャー河盛さんに聞いた。

写真: SANA KONDO

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「信じてきたものづくりは正しい?」第三者の目で確かめたかった  

アッパーに再生ポリエステル糸を100%使用した靴をはじめ、繰り返し使える大判タオル地の風呂敷で包むパッケージや、店舗でのアップサイクルされたディスプレイに至るまで、徹底して環境配慮を重ねてきたオッフェン。ものづくりの枠を超え、企業としての姿勢そのものを問うB Corp取得へと踏み出した背景にあったのは、ずっと大切にしてきた想いの“答え合わせ”だった。

「株式会社ノームスの会社名の由来は『規範をもって正しい事を選択する』という意味を込め、その心を大切にしてきました。時代に合わせるのではなく、自分たちが正しいと信じてきたことが本当に正しいのかを問い続ける、その評価のプロセス自体に興味を持ちました。(日坂さん) 

オッフェンプロデューサー日坂さん

これからの時代における良い会社とは何か。それを模索する中で参加していたブランドコミュニティの勉強会で、3年前、『The B Corp Handbook』の日本語版を出版しているバリュエンスホールディングス株式会社の鳥居さんから、B Corp認証の取得を勧められたことが、大きな後押しとなった。

通常業務と並行しながら、B Corp取得プロジェクトのリーダーを担い、書類作成や各部門との連携を主導したのは河盛さん。構想が本格化したタイミングで入社し、B Corp認証取得に向けて「挑戦してみたい」という想いがあった 。

「海外展開を見据えてもプラスになるのかなと思いました。当時は英文の資料を日本語訳するところからのスタートで『本当にできるのかな…?』という手探り状態でしたが、鳥居さんによるB Corpの勉強会から本格的に取得に向けたアプローチが走り出したんです」(河盛さん)

必要な80点に対して、最初は40点。想いを「数値化」する仕組みづくりが始まった

リサイクル素材を使うこと。パーツや製造工程を減らし、できるだけ廃棄物の少ない設計にすること。長く着用できる編み方にすること——。オッフェンには、もともと大切にしてきたものづくりの姿勢があった。けれどB Corpに挑戦して初めて見えたのは、それらが“きちんと評価される状態”にはなっていなかったということだった。

「取り組み自体はしていたんです。ただ、それを数値化したり、第三者に伝わる形にしたりしてこなかった。B Corp認証では、すべての取り組みにエビデンスが求められます。これまでの活動を洗い出し、書類を整理し、不足するものは新たに取得することからスタートしました (日坂さん)

自己評価で算出された最初の点数は、申請ライン(80点)に遠く届かない40点台だったという。その数字以上に大きかったのは、「これだけ取り組んでいるのに、何も評価されていない」という衝撃。しかしそこで立ち止まるのではなく、「ここからは加点方式。前向きに仕組みを増やしていこう」と気持ちを切り替え、感覚として大切にしてきた想いや行動を、客観的な数字へと変えていく作業が始まった。 

さらにこの作業は単にチェック項目を埋めるだけでは終わらない。工場のある中国などではまた別の基準が良いとされていたりするため、得点の高い回答を見ながら、「なぜそれが良いとされるのか」という本質的な背景を理解していく必要があった。環境配慮だけでなく、雇用やガバナンスまで含めて会社全体を学び直す必要があった。そのプロセスを中心となって進めていたのが河盛さん。

ブランド ジェネラル マネージャー河盛さん

「大変ではありましたが、ブランド ジェネラル マネージャーであり、代官山店を中心に店頭に立つ機会が多いからこそ『現場で働くスタッフにとって何が本当に良いのか』『お客様が何を求めているのか』をリアルに感じることができました。だからこそ、現場の目線を取り入れながら改善を進めやすかったという面もありましたね」(河盛さん)

単に認証をとるための手続きではなく、大事にしたい会社のかたちを現場と一緒に作っていく。オッフェンのB Corpへの道筋は、そんな試行錯誤の地続きにある 。

エネルギー消費の可視化で芽生えた、店舗スタッフの省エネ意識

認証を取得した直後ということもあり、社内への共有や全体への浸透はまさにこれからという段階だ。それでも、店舗スタッフの中でも少しずつ意識の変化が芽生え始めている。

「たとえばストックルームの電気をこまめに消すようになったり。路面店で日の光が入るお店なら、日中はあえて照明をつけないこともあります」(日坂さん)

B Corp取得のプロセスで店舗ごとのエネルギー使用量を可視化したことで、エネルギーの節約にも目が向くようになったという。

「『この店舗、なんでこんなにエアコン代が高いんだろう?』とか。そういう数字を、ちゃんと見ていくようになりました」(河盛さん)

社内への浸透の先には、お客様へどう伝え、どう理解を広げていくか。それを一過性の取り組みではなく「会社の文化」としてどう根づかせていくかはこれからだ。

そうした模索が続く中で、同じような価値観を持つパートナーや関係者からは、B Corp取得を自分のことのように喜ぶ声が届いたという。

「いったん取得はしたけれど、次はまた新しい基準に変わりますし、全体のバランスが必要になってくると思うんです。更新がある3年後なんてあっという間。今回やってみて課題も明確になったので、次に向けて改善していかないと」(河盛さん)

リユース・リペアは当たり前。 廃棄をゼロにするための新たな問い

B Corp取得のプロセスを通して、オッフェンではよりはっきりした課題がある。どうしても出てしまう、「廃棄」の問題だ。

今回、B Corp取得にあたって社内で整えてきたことのひとつが、修理の幅を広げて製品寿命を延ばすこと。そしてもうひとつが、役目を終えたシューズの回収だ。回収に出した人には、新しいシューズを買うときに使える2000円のクーポンを渡し、少しでも循環につながるような仕組みをつくってきた。

けれど、実際に回収された靴を見たとき、また別の問いが立ち上がった。

「本当に、こんなになるまで履いてくれたんだ、と思う靴があって。すごくありがたいんですけど、穴が開いているなど、リペアできないものもある。じゃあ、これらをパーツに分けて別のものにするなど、すでに実験やトライを重ねてはいますが、新たな循環の方法を探っています 」(河盛さん)

回収する。修理する。長く使ってもらう。
リユース、リペアは当たり前に行い、そうできないものも将来的にリサイクルしたいと考えている。

オッフェンのシューズの各パーツとその廃棄部分。一般的な革製プレーンパンプス(ヒール約3cm・16.5工程)と比較して約半分の「8.5工程」で設計されており、パーツ数や素材廃棄を最小限に抑えている

倉庫も工場も、関わる人みんなが気持ちよく働ける形を目指して 

B Corpの従来の審査方法は、5分野(環境・コミュニティ・働き手・ガバナンス・顧客)の合計で合否を決める「総合点方式」だった。そのため、オッフェンの強みであった「環境」をはじめ、国籍・年齢・経験を問わない採用や柔軟な働き方を提案する「働き手」、仕入れ額の80%を兵庫県内の企業から調達するという地域経済への貢献「コミュニティ」が点数を伸ばし、高得点へとつながった。

しかし2026年3月以降、新たな審査基準への移行が段階的にスタート。「7つの必須領域(Impact Topics)」すべての基準クリアが順次求められるようになり、得意な分野のハイスコアで他をカバーできる仕組みから、より包括的な視点へとシフトしつつある。 

オッフェンのB Corpスコア80.1点のうち、約4割(31.6点)を「環境」分野が占め、大きな強みとなっていた

7つの領域のひとつである「サプライチェーン」においても、オッフェンは自発的な課題感を持って現場の改善に取り組んでいる。

たとえば、日本の保管倉庫では、輸送に使われたパッキンをそのまま保管に活用している。出荷時の荷物の上げ下げによる負担を減らそうと、引き出し型のパッキンを試作したが、製造を担う中国の工場側からは「この仕様では、逆に作業がしづらい」という声が上がった。

多様なパートナーが関わるからこそ、全員が心地よく働けるやり方をひとつずつ模索していく。それこそが、自分たちが果たすべき本当の配慮なのだと気づかされた。

だからこそ自分たちの目で確かめるべく、中国の工場にも代表自ら足を運ぶ。

オッフェンの靴が生産される中国の提携工場。代表自ら定期的に足を運び、現場の環境や安全性を確かめている

シューズの枠を超えていく。今秋から初のアパレル「ニットウェア」を展開

回収した使用済み容器や、廃棄予定だった余剰ボトルから再生した糸を使用したニットウェア(トップスとスカーフ)

同じ志を持つB Corp企業とのつながりを大切にしながら、アパレルに限らず、ホテルや旅、暮らしに関わるさまざまな業界との協業にも可能性を感じている。オッフェンが大切にしてきた「一歩ずつ、心地いいほうへ」という考え方を、靴だけではなく、ライフスタンス全体へと広げていくためだ。

そして、その先には海外への挑戦もある。これまでも一部のセレクトショップを通じて海外で展開してきたが、今後はB Corp取得やインバウンドの広がりもきっかけに、少しずつ海外へ向けた発信も進めていきたいという。

目指しているのは、単に「オッフェンの靴を知ってもらう」ことではない。

「ものづくりに対する考え方や、これからのプロダクトがどう生み出されるべきなのかという姿勢そのものを伝え、共感してくれる仲間やパートナーを国内外に増やしていきたいです」(日坂さん) 

その挑戦のひとつとして、この秋からスタートするのが「ニットウェア」の展開だ。背景にあるのは、靴だけにとどまらず、その先にある「循環」の仕組み自体を大きく広げていきたいという想いだった。

「服づくりの裏側で『素材が余って困っている』という声を本当にたくさん聞くんです。過去にメーカーさんの使用済みの回収プラ容器から作った糸でシューズを作ったこともあるんですが、一度きりのコラボで終わらせてしまうのは本質的な解決にはならないなと。だから私たちが『循環の出口』になってお洋服として新しい命を吹き込む。これが他のブランドさんにも広がっていったらいいなと思っているんです。今回はその第一弾というだけで、無駄なものは一切作らない。想いを同じくするブランドさんと、この輪をどんどん広げていきたいですね」

靴づくりから始まったオッフェンのストーリーは、B Corpという共通言語、異業種との協業、そして素材の循環を巻き込みながら、さらに開かれたステージへと向かっている。

Öffen the House 代官山店
〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町30-8 ツインビル代官山B棟1階
営業時間: 11:00-19:30 TEL: 03-6433-7950

shoplist:https://offen-gallery.com/shops/
website:https://offen-gallery.com/
Instagram:https://www.instagram.com/offen_gallery/

Öffenのサステナブルな取り組み:https://offen-gallery.com/journal_category/sustainability/

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