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ストーリー|2024.04.08

洗う時も、着ている時も、プラスチックが放出されている。洋服のマイクロプラスチック問題をどうする?

ある種の衣類を洗濯すると、大量のマイクロプラスチック、またはマイクロファイバーが放出されるという話を聞いたことがあるはず。マイクロファイバーはどんな問題を引き起こすのか? それを防ぐ方法はあるのか? 知っておくべき最新情報を紹介。

 

写真:Unsplash

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※この記事はGood on youの「What to Do About Microfibres in Clothing」を日本市場向けに翻訳し公開しています。

洗濯だけではない。「着ている」時もマイクロファイバーは放出される

ポリエステル、 ナイロン、ライクラなどの合成素材は、 基本的にプラスチックから作られている。プラスチックは環境中で分解されないため、合成繊維を洗うと人間の髪の毛よりも細く目に見えないマイクロプラスチックが廃水や空気中に放出され、川や海に流れ込む。

マイクロファイバーとは、プラスチックなどのあらゆる繊維組成物から放出される小さな粒子のことで、マイクロプラスチックはプラスチックベースの合成脱落物をさす言葉だ。

Friends of the Earthの調査によると 、合成繊維の衣類を 1 回洗濯すると、 何百万 ものマイクロプラスチックが排水に流れ出る。しかし、問題を引き起こすのは洗濯だけではない。2020 年、ポリエステル製の衣類は着用するだけでマイクロファイバーが空気中に放出されるとわかり、この発表は衝撃をよんだ。 『Environmental Science & Technology』誌に掲載された研究では、 ポリエステル製の衣服を着用した場合の総放出量は、洗濯による放出量とほぼ同じだという。

なぜマイクロファイバーは問題なの?

マイクロファイバーは環境中に放出されると汚染物質を引き寄せ、 排水システムで洗剤や難燃性化学物質から有毒物質を吸収する。海に流れ出ると、プランクトンなどの海洋生物がプラスチックを摂取し、さらに大きな魚やクジラがそれらを食べ、最終的にこれらの海洋動物は食物連鎖のなかで人間の食卓に並ぶことになる。驚くべきことに私たちが消費する魚介類の 4 分の 1 にはマイクロプラスチックが含まれており、この問題が解決されない限り、この数は増加するばかりだ。

マイクロファイバーの原因となる繊維とは

もちろん天然素材であってもマイクロファイバーは抜け落ちるが、やはり注意が必要なのは非生分解性のマイクロプラスチックだ。衣類の 60% 以上は、アクリルやナイロン (別名ポリアミドやPA) などの石油由来の化学繊維で作られている。安くて耐久性があり、さまざまにアレンジがきくため、ほとんどのブランドが愛用している。しかしこれらの化学繊維は洗濯機で洗った時、さらには製造中や着ているだけでも、有害なマイクロファイバーを大量に放出しているのだ。

では「天然」素材に切り替えるべき? 

プラスチック汚染を避けるためには、ウールやコットンなど天然繊維に切り替えれば安心だろうか? 問題はそれほど簡単ではない。コットン、 リネン、 ウール、 麻、 ビスコース、 モダール、テンセルなど の生地は石油由来ではないので、確かにマイクロプラスチックを出さないし、未処理の状態では生分解性だ。しかし、これらの繊維に化学薬品や染料を使うと生分解性に影響を与える。そして天然繊維の多く、特にコットンにはそれ以外の環境コストも伴う。綿花の生産には大量の殺虫剤と水が必要だし、ビスコースは木と刺激の強い化学物質を大量に使用して作られている。

そしてこれまでのところ、 ほとんどの天然繊維よりもリサイクルが容易な化学繊維を使ったほうが、ファッション分野でのサーキュレーション、つまり資源を繰り返し使用しやすいことが証明されている。「天然」生地が常に環境に最適であるという主張は、控えめにいっても疑問が残るだろう。なぜなら、どの生地にも長所と短所があって、水着やアウトドアウェアを考えれば、合成繊維の方がはるかに実用的で、現在のところより良い選択肢だと言えるだろう。

私たちにできること

海や空気中のマイクロファイバー汚染を減らすために何をすればいいのか? ケースバイケースで見てみよう。

1)新しいものを買う回数を減らす

ファッションの環境負荷を減らすための一番の方法は、買う量を減らすこと。特に新しいものを減らすこと。すでに世の中にある服の寿命を延ばすために、古着という選択肢もぜひ考えて。

2)環境負荷の低い素材の服を選ぶ

可能であれば、オーガニックヘンプ、オーガニックリネン、リサイクルコットン、リサイクルウール、またはオーガニックコットン、テンセルなどの選択肢や、環境への影響が最も少ない厳選された素材を使用しているブランドの服を買おう。

3)洗い方を変える

水着やアウトドアウェアから、下着やインナーまで、クローゼットには合成繊維で作られた服がたくさんある。そして、消費者にとってマイクロプラスチックの厄介な“出口”となってしまうのが、洗濯機だ。洗濯の際に次のようなことに気を付ければ、衣服から出るマイクロファイバーを抑えることができる。

  • 部分的な染みなど、可能な場合は手洗いする。
  • より低い温度でより短時間で洗濯する。
  • 洗う頻度を減らそう。臭いが気になる場合はまずは天日干しを試して。
  • 洗濯槽に空間があると摩擦が増えるため、洗濯物は少なめではなく定量を入れて洗う。
  • 似たような繊維製品と一緒に洗濯する。硬い生地が柔らかい生地と擦れ合うと、繊維が剥がれる可能性が高まる。

洗濯ネットと、世界で義務化が進む洗濯フィルター

メーカーに対して、洗濯機のマイクロファイバーフィルターの義務化が世界中で議論されており、特にイギリスとヨーロッパではいくつかの規則が施行されている。アクティビストは2025 年からすべての新しい洗濯機にマイクロファイバーフィルターの装着を義務付ける新たな規制を求めているけれど、そのような法律ができる前にも私たちは洗濯し続けているので、すぐにできる対応策をここで紹介しよう。

「コーラボール」は洗濯中のマイクロファイバーをキャッチする松ぼっくりのような洗濯ボール。XFiltra、LINT Luv-R、PlanetCare といった、洗濯機の排水口に取り付けるフィルターもある。手軽なのはマイクロフィルター素材で作られた洗濯ネット「グッピーフレンド・ウォッシング・バッグ」だ。

これらはさまざまなレベルで、洗濯時のマイクロファイバーをキャッチしてくれる。トロント大学とオーシャン コンサベーションの研究によると、「コーラボール」が洗濯槽内のマイクロファイバーの26%を捉え、LINT Luv-Rフィルターが残りの86%を捉えたという。プリマス大学の最新の研究では異なる結果が出ており、 XFiltra が78% と最も多く、Lint LUV-Rが25%、Planet Careが29%を捉えた。「グッピーフレンド・ウォッシング・バッグ」はマイクロファイバーの流出の90%を削減するとしているが、上記の調査ではマイクロファイバーの54%だったことがわかった。思っていたより低い数値かもしれないけれど、洗濯機フィルターが使えない場合は効果的な選択肢だ。 大切なのは私たちがマイクロファイバーに対する認識を高めること。そうすれば、メーカーの意識も変わり、洗濯機フィルターも一般的になるだろう。

アイテム別 洗い方のヒント

リサイクル合成繊維:ペットボトルや廃棄漁網を使ったECONYLやRepreveのような再生ポリエステルを使う責任あるブランドが増えている。資源の再利用は環境によいものだし、一般に環境への影響は新たに調達するよりもはるかに低くなりる。とはいえ、リサイクルポリエステルで作られたフリースでもマイクロファイバーが放出されるため、洗うときはぜひ洗濯ネットに入れて。

水着:水着の最も一般的な生地はナイロン混紡で、通常はナイロン 80%、伸縮性を与えるエラスタン/スパンデックス/ライクラ 20% だ。ナイロンブレンドは柔らかく、快適で、体にぴったりフィットし、すぐに乾く。水着のお手入れの最善の方法は、優しく手洗いすること。手洗いがマイクロファイバーの放出を減らす最良の方法だ。

フリース、アクリルニット、フェイクファーなどの繊維が緩い製品:これらの落ちやすい合成繊維は、できるだけ洗濯機での洗濯を避けて。可能であれば、フリース素材の衣類は部分洗いしよう。

スポーツウェア:ほとんどの場合、プラスチックを放出する合成繊維で作られており、しかも最も洗濯すべきものなので扱いが難しい。ブランドが生地の革新に取り組んでいるけれど、現在のところは環境負荷の低い再生素材を購入し「グッピーフレンド・ウォッシング・バッグ」に入れて洗濯するのがおすすめ。替わりの選択肢としては TENCELや非ポリエステルベースのスポーツウェアもある。

Shift Cが日本語版を提供するオーストラリア発のエシカルファッション評価機関Good On Youは、ファッションブランドが人間や地球、動物に与える影響について、世界で最も包括的な評価を公表しています。ブランドの評価を検索するには、ShiftCをぜひ活用してみてください。

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