「このグラインダー、粉砕した原料が床に飛び散っちゃうんだよね」
「リサイクルの繊維は短いから、品質はこれが限界」
雲ひとつない晴天が続く乾季のインドネシアで、先日、unisteps企画「循環の先進事例を訪ね、サステナブルファッションについて学び考えるフィールドトリップ in インドネシア」が開催されました。
このコメントは、そこで出会った現地のソーシャルビジネスオーナーたちから聞いた言葉です。コメントだけを見ると少し後ろ向きに見えるかもしれませんが、実際の彼らの語りはとてもエネルギッシュで前向き。そして、それぞれの場所で、循環経済への移行に実質的なインパクトを出しています。
課題が見つかれば、その都度改善していけばよい
ひとつ目のコメントは、捨てられたり生産時に出るビーチサンダルの端材を活用し、新たなビーチサンダルやヨガマットを作るインドソールの創業者、カイル・パーソン氏とカイ・ポール氏から。地元の人々と共に楽しみながらもストイックに事業を営んできたストーリーを聞きながら、ジャワ島スラバヤにある工場を見学させてもらいました。工場に住んでいるのか、黒白の猫がねそべるゆったりとした時間が流れる工場では、機械自体をつくったり、新たな機械を導入したり、工程のあらゆる段階で少しずつ改善を重ねてきたことが伝わってきます。
工程の中でも重要な部分、原料を粉砕するグラインダーにビーチサンダルのソール部分を入れると、ぐるぐる回る刃の部分を通過し、1センチほどの粒になって出てきます。見学した時はハロウィンのかぼちゃのようなオレンジ色の原料でしたが、そのオレンジ色の粒が見事に床に散らばるのです。あとでそれを集めるという作業が発生するわけですが、大きめのバケツを置く?ここから直接次の工程に行けるように、飛び散らせずにベルトコンベイヤーで運ぶ?解決策はもちろん、彼らの頭のなかにあります。
でもこの「不完全さ」に、とても寛容なのです。曰く「だって今はバージョン2だから。バージョン3で、この課題はなんとかする」


リサイクル素材の「限界」を知ってもらうことも、大切な一歩
ふたつめのコメントは、縫製工場などで出た端切れや、回収したユニフォームを機械で細かくほぐし、もう一度わたのような状態に戻す「反毛」という技術でリサイクルし、新たな製品を作るPableの創業者、アトマ・アリエンダ氏。反毛では布地をひっかいて繊維状に戻しますが、そうすると、繊維の長さはもとよりも短くなります。これは、その先の糸、生地の品質が下がってしまうことを意味します。それでも、リサイクルの現実を知ってもらうことも大切だといい、さらに短繊維のデメリットを克服するために機械織ではなく手織を導入するなどし、2020年の創業以来なんと270トンものテキスタイルをリサイクルしてきました。


この二つの例を実際に見て、完璧じゃなくてもとにかく動きはじめるから、物事が良い方向に動き出す。そしてそれが循環の先進事例になるということを実感したのでした。
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個人的な話になるのですが、完璧ではない状態、つまり「オールモストパーフェクト(ほぼ完璧)」であることには、筆者、少しこだわりがあります。というのも以前、東京の下町でその名も「Almost Perfect Tokyo」という名前のクリエイティブレジデンスを運営していたからです。このレジデンスでは、世界中からデザイナー、イラストレーターや音楽家などあらゆるクリエイターがやってきては、滞在・制作・発表を行いました。現在は建物の老朽化で閉業していますが、営業した4年ほどの間に約100名ものクリエイターを迎えました。滞在したクリエイターたちはここで完璧なものを作ることよりも、新たな技法などの実験をして、自分の可能性を開いていくことに集中しました。私とパートナーはAlmost Perfectホストだし、看板猫はAlmost Perfect キャット。関わってくれた多くの人が、このネーミングを気に入ってくれました。
そのときの経験から、ひとつ確信していることがあります。オールモストパーフェクトであることは誇るべきだし、力になるということです。
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とにかく始めるから、仲間ができる。課題がわかるから次のステップが見えてくる。完璧を待っていたって、そんな日はおそらく来ないでしょう。インドネシアで出会った取り組みに、循環経済を進める「姿勢」のヒントを見つけました。