先日、unistepsが企画する「繊維王国・福井を尋ねるフィールドトリップ」に参加してきました。福井県では実は昔から絹織物の生産が盛んで、現在ではそこから発展した合成繊維の技術も使い、多くの工場が稼働しています。なんと、就労人口の5人にひとりが繊維関連で働いているそうです。
大学生、アパレル関係者、家庭科教諭、認証機関職員など、年齢も10代から60代と、いろいろなバックグラウンドから「工場を見たい」という気持ちで参加した仲間たちは、3日かけて福井の産業の一部を見て回ったのでした。
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駅で集合してマイクロバスに乗り込みます。自己紹介も後回しに、まずお邪魔したのは、株式会社エイトリボン。ここでは、懐かしいチロルリボンを生産しています。2015年に一旦閉鎖した工場をリノベーションし、見学者にも開かれた工場として再稼働しました。長く大切に使われていることがわかる機械が、がちゃんがちゃんと音を立てて、複雑な模様のリボンを織っていきます。織機の上には、コンピューターの起源となったといわれる「パンチカード」がセットされ、経糸(たていと)の動きをコントロールしています。なお、織の工程では肉声が聞こえないほどの音が鳴っているため、説明はイヤホン伝いに行われます。


エイトリボンのあとは、松川レピヤンへ。ここでは通常首の後ろについているタグ「織りネーム」の製造を行なっています。エイトリボンに比べると近代的な機械を使って、あらゆるデザインのタグを精密に織っていきます。ここでは検品工程も見学させてもらいましたが、一般人が見ても全くわからないようなわずかな糸のツレを目視で見つける職員さんの目の鋭さに感動。
「わたしたちにとっては何百何千タグの1つでも、お客様にとっては大切な1着につくタグ。だから1枚でも不完全なものを出したくない」とのこと。こんなコメントが聞けるから、フィールドトリップはたまりません。
工程には縫製工場も入っています。服好きなら絶対に知っている、錚々たるジャパンブランドの縫製などを行うラコームです。憧れブランドのタグやらぬいかけの製品に色めき立つ参加者たち・・・細心の注意をはらって服が作られている現場をみると、完成品がさらに価値のあるものに見えてきます。
裁断、縫製、検品などの工程をみた後は、福島織物へ。福島織物は、100年以上前から、絹羽二重という着物の裏地を製造しています。驚いたのが、その技術を生かして合成繊維にも進出し、養生テープ(そう、あの緑や白のやつです)や海底ケーブル内に使われる繊維製品の製造も行なっていること。2つの全く異なる世界観の間を行ったり来たりする参加者たちは、衣服だけでなく暮らしのあらゆる場所に繊維製品が使われていることに、改めて気がついたのでした。

興味に引っ張られて、疲れも忘れて見学を続けるのはなんて幸せなことなんでしょう。
最後の見学は、高島リボンです。なんと福井は、国内リボンシェア95%。日本のリボンはほとんどがここで作られています。たくさんの織機、熟練のベロア製造工程、そして染色工程なども見せていただきました。取得が難しい環境認証もとり、サステナビリティへ率先して舵を切るこの工場で織られたリボンは、きっと知らないところで私たちの間のプレゼントや生活にすでに登場していると思うと、嬉しい気持ちになりました。
1日の終わりの夕食では参加者同士で感想を言い合ったりと、こちらも楽しい時間です。同じ興味を持ちながらも、普段なかなか出会えない仲間との会話を楽しみました。40代のわたしは最年少の大学生と同テーブル!なんだか緊張してしまっておばちゃんムーブを発動しつつではありましたが、世代を超えて意見交換をすることができました。たくさんの旅程を経て、3日間の盛りだくさんフィールドトリップは無事おひらきとなりました。
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無事におひらきとは言いましたが、2日目の途中くらいから参加者の顔色が変わってきます。あたらしい視覚・聴覚・触覚を含む情報に触れすぎて、だんだん処理が追いつかなくなってくるのです。以前に何度か工場を訪れた経験があるわたしでも、頭がくらくらしてくるほど。こんなにたくさん知らないことがあるのかと、知的好奇心が刺激されます。
仕事で関わっていようがいまいが、毎日お世話になる服や繊維製品。その過程に対する解像度が上がることは、物への感謝や、大切にしようという気持ちを育ててくれます。体で感じた織機の音のグルーヴ感は、今も、あの少し暗くて湿気のある工場に記憶を戻してくれます。
このブログで、少しでも服作りの過程の面白さに思いを馳せていただくことができれば嬉しく思います。そして、もしもフィールドトリップに行きたい!という方がいれば、次回開催はなんと海外、インドネシア!詳細はunistepsのフィールドトリップのページからぜひ、ご確認ください。
