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ファッション|2025.11.21

鈴木里奈による連載Shift Your Fashion!  vol.2 世界のサステナファッション、海外ではどうなっている?日本はどう取り組んでいる?

Shift Changer鈴木里奈による短期連載「Shift Your Fashion!」。第一回目では、服を選ぶときの3つの視点について提案してくれました。第二回目は海外と日本のサステナビリティの取り組みの違いと、今日からできることの提案です。

写真:Unsplash

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鈴木里奈さんプロフィール写真

鈴木 里奈
2001年生まれ、東京都出身。青山学院大学在学中、フェアトレードゼミで環境や社会課題に関連する商品の開発に取り組み、サステナビリティを広めるためミス青山として活動。その後、学生キャスターとしてラジオやテレビ東京の経済番組に出演し、ESG経営インタビューを通じて持続可能な社会のための発信に注力。大学卒業後はインパクト/ESG投資のVCファンドでサステナビリティコンサルティングを行う傍ら、一般社団法人IMPACT SHIFTの理事やSNS発信を通じたサステナブルライフスタイルやウェルビーイングにも取り組む。

過去の記事はこちらから
鈴木里奈が考えるエシカルファッションの最前線
鈴木里奈が解説!フランス発のスニーカーブランド「VEJA(ヴェジャ)」の魅力
鈴木里奈が語る!社会課題に向き合う新たな挑戦
鈴木里奈がVEJA創業者にインタビュー
鈴木里奈による連載Shift Your Fashion!  vol.1 サステナは“完璧”じゃなくていい

海外:「サステナブル」は“意識”ではなく“仕組み”として浸透

こんにちは、Shift Changerの鈴木里奈です。
この連載「Shift Your Fashion!」では、日々の仕事や生活を通して感じる“サステナブルなファッション”をお届けしています。

第2回のテーマは、「世界のサステナファッション、海外ではどうなっている?日本はどう取り組んでいる?」。サステナビリティはもはや「最近よく聞く流行語」ではなく、“産業構造そのものを変える力” になりつつあります。

ヨーロッパでは、すでにサステナブルファッションが生活と産業の両方に根づいています。
たとえばフランスでは、2022年から売れ残り衣料の廃棄が法律で禁止され、再販やリサイクルが義務化されました。(前の記事で海外の規制事例を紹介しているので、ぜひチェックしてみてくださいね!)

主な海外ブランドの取り組み

ステラ マッカートニー:設立当初からレザー、フェザー、ファーなどを一切使用しないポリシーを掲げ、環境負荷の少ない新素材の開発を推進。
パタゴニア:会社の所有権を地球保護団体に譲渡するという2022年9月に発表された極めて画期的な決断。
ザラ:2030年までに主要素材(リネン・ポリエステル・コットン)の100%をオーガニックやリサイクルなどの持続可能素材に切り替える計画を進行中。

こうした動きからもわかるように、海外では「サステナブル=良いことをする」ではなく、「持続可能でなければビジネスが成り立たない」時代に突入しています。

日本:“もったいない”の原点と「仕組みづくり」への挑戦

日本でも最近、「服の回収ボックス」や「エコ素材」のタグをよく見かけるようになりました。百貨店では古着再販イベントも開催され、少しずつポジティブな変化が広がっていますよね。

いま日本では、産官学が連携しながら日本ならではの仕組みづくりを模索している段階です。海外の成功例を参考にしつつ、制度や流通、そして私たちの消費のあり方そのものを見直そうとしています。

一方で、現状の課題も見逃せません。日本では毎年約51〜79万トンの衣料品が廃棄され、そのうち再利用されるのはわずか3割ほど。残りの約7割(66%)は焼却または埋め立てられています。「安く・早く・たくさん作る」構造が、いまだ強く残っているのが現実です。

しかし、忘れてはいけないのが——日本はもともと、世界でも屈指の“サステナブル国家”だったということです。

江戸時代に築かれた「循環型社会」

すべてが「もったいない」という精神から生まれた自然なサイクルでした。
その象徴の一つが、「刺し子」の文化です。
江戸時代の刺し子は、寒さ対策や布の補強など実用的な目的から始まりましたが、使うほどに味わいを増す布を大切に繕う心がそこに宿っていました。
そして今、この日本の技術が世界にも広がっています。フランスのサステナブルスニーカーブランド「VEJA(ヴェジャ)」は、なんとこの刺し子の技術をデザインに取り入れています。

世界の最先端ブランドが、日本の伝統的な手仕事から学んでいる——それはとても誇らしいことですよね。
江戸の人々が実践していたのは、資源を「大切に使い切る」こと。その精神を、現代の技術や新しい価値観と掛け合わせることができれば、きっと“次の時代のものづくりと着る文化”を築けるはずです。「もったいない」は、単なる節約ではなく、未来をつくるサステナビリティの原点なのです。

以前取材させていただいたヴェジャの新作イベントでの写真。記事はこちら。撮影:五十嵐一晴

私たちにできる“今日からの選択”

サステナブルファッションというと、大きくて難しそうに聞こえるかもしれません。
でも実は、それは日々の小さな選択の積み重ねから始まります。

たとえば——

・すぐに捨てず、お直しやリメイクをしてみる
・素材表示を見て、「リサイクル」や「オーガニック」を選ぶ
・ブランドが“どんな想いで作っているか”を調べてみる

こうした行動の一つひとつが、企業や社会の仕組みを少しずつ動かす力になります。

最近の私は、ブランドのサステナビリティページをついチェックするようになりました。普段のショッピングサイトでは見えない情報も、企業ページをのぞくと、どんな想いや理念でモノづくりをしているのかが見えてくるんです。(詳しくは、次回の連載でご紹介したいと思います!)

「知る」ことは、サステナブルな選択への最初の一歩。そして「買う」という行為は、
自分の意思を社会に表現するアクションでもあるのだと思います。

感じる“構造の変化”

私が日々の仕事で感じるのは、サステナビリティは「良いことをする」という話ではなく、
「未来に生き残るための再設計」だと強く感じます。「持続可能性をどう組み込むか」が、次の10年を決める。

資源の制約、消費者の意識変化、法規制の強化…。
これからの企業は、“売れる服をつくる”だけでなく、 “社会から選ばれるブランド”であることが求められています。

ファッションには人の心を動かし、文化をつくる力があります。 だからこそ、ファッションを通じて社会を変えることは、本気で可能だと信じています。

さいごに

今回は、アパレル産業を世界と日本の視点から見つめ直してみました。「環境負荷が大きい産業だからこそ、変わる力も変える力も大きい」と感じています。

そしてその未来を築くのは、アパレル業界だけでなく、私たち一人ひとりの選択です。
前回の記事でも書きましたが、買い物は未来へのラブレター。
よりよい未来のために、 ✨ From small step to big step!

上の写真の私のコーデ、実はサステナの観点も意識しています。

コート|H&M
アニマルウェルフェアに配慮しリアルファーは使わず、リサイクル繊維を活用した素材。

バッグ|coachtopia(コーチトピア)
廃棄予定だった素材をアップサイクルして生まれたアイテム。

靴|UGG(アグ)
食肉産業の副産物を活用して製造。動物愛護の観点からサプライヤーに厳格な基準があり、新たな資源消費を抑える取り組み

次回予告

次回はより身近なテーマ「ブランドのサステナビリティをどう確認する?」をお届けします。お楽しみに!

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