ティップス|2025.11.18

なんどでも形を変えるニット、編み始めました

今年もニットを着たくなる季節がやってきた。数年ぶりに編み物欲が再燃したunistepsメンバーは、セーター編みに挑戦。なんでも買えば手に入る時代にあえて自分でつくる、その意味を考えてみた。

原稿:マルティン メンド 有加

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急に冷え込む日が多くなりましたが、そんな時手が伸びるのが、ふわふわのニット。これが自分で作れたら・・・

先日、世界三大毛織物産地である尾州(愛知県と岐阜県にまたがるエリア)を訪れる機会がありました。そこで羊を愛でたり、工場見学の際に偶然美しい毛糸に出会ったことで、長年くすぶっていたこの「編みたい」願望が俄然、再燃したのです。

思えばニットというものは、主に冬物の「衣料」ではありますが、布地を切って縫って作った他の衣料とは随分違います。構造が、成り立ちが、異なるのです。

ニットは、長い1本の毛糸を編んでいくことで、服の形を作ります。1着作り終わったら、布地の端切れではなく、まだ編まれていない毛糸が残るだけ。無駄がありません。

そして、切って縫ってしまえば個人ではなかなか戻せない布地の服に比べ、編み物は、解いてまた編み直すことができるのです。

ということは、今から私が編もうとしているニットは、単なる「過程」の可能性があります。あとで気分が変わったら、解いて、また編む。しばらく経ったらまた解いて、また編む。今回はセーターの予定だけれど、次回はマフラーかもしれないし、レッグウォーマーかもしれない。常に一時的な形態で、粘土のように形状の定まらないもので冬の暖を取る。桜の無常感に似た儚さと美しさを、複雑なピンク色をしたウールの毛糸から感じました。

そんなことしなくても、新しいのを買えばいいという意見はもっとも。でも新品のものが文字通り溢れる社会で、少しの良い素材と長い関係性を築いていくことが楽しく、心の栄養になるという、少しおこもり的で私的なステージに、紆余曲折を経て到着したのかもしれません。

今回は15mmの太めの針でどんどん編んでいくことにしました。(細い針だと目が細かく詰まった編み地になり、時間もかかります。太い針だと緩めの編み地で、編むスピードは上がります。)まだまだ初心者ですが、寒くなりすぎないうちに第一形態、その名も「諸行無常セーター」、果たして出来上がるのでしょうか。

本記事は日本のユーザーの方のために、「多様で、健康的なファッション産業をつくる」ことをミッションに活動する一般社団法人unistepsが執筆しています。

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マルティン メンド 有加
「多様で、健康的なファッション産業をつくる」をミッションに掲げる一般社団法人unisteps理事。元INHEELS代表。サステナブルファッションをライフワークに、ファッション・自然・社会の交差点で気になる問いを言葉にしている。いちジャズファンとして、グルーヴとスウィング感のある文章を目指す。

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