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|2025.08.15

【Shift Changer】ベイカー恵利沙のウエディング・ジャーニー!心踊ることを大事にしながら、環境に優しい選択をすることについて、私の考えること

Shift Changer】ベイカー恵利沙さんは、今年の3月に日本で結婚式を挙げたそう。心に残るものにしたいけど、過美なものにはしたくない。今回の連載は、そんな2つの思いから創り上げたウエディングを、恵利沙さんが共有してくれました。

撮影:NOREN MUSE

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ベイカー恵利沙
1989年生まれ、オレゴン州と千葉県育ち。モデルとしてキャリアをはじめ、ファッションスタイリスト、ライターなど活動の幅を広げ、2017年ニューヨークに拠点を移す。ファッションブランドとのコラボレーションを多数手掛けながら、ライターとして現地の情報を発信。気候変動を中心とした社会課題への関心が高まり、2023年には気候変動報道を中心にメディアの連携をサポートする団体”Media is Hope”に海外コミュニケーション担当として参加。日本と海外メディアとの橋渡しを務める。

「心踊るデザインを選びたい、でも環境にも優しくありたい」という葛藤を乗り越えて創り上げた結婚式!

ファッションが好きで、サステナビリティにもきちんと向き合いたい、という人にとって、
「好きなデザインを諦めずに環境に良いものを選ぶ」ということは、いつだって葛藤の中心なのではないかと思います。
環境に良いということだけを基準に選んで、やっぱりデザインが気に入らなくて1度しか着なかった、となれば本末転倒。かといって環境と人権を傷付けているものを素敵に思えない感性を持ち合わせていると、デザインだけの良さで選ぶこともなんだかしっくりこない。
デザインも、環境への配慮も、完璧に気に入るものに出会えるのが一番いいけれど、それはなかなかハードルが高い。

3月末に日本で結婚式を挙げました。アメリカからも約30名のゲストが日本まで来てくれました。一時帰国をしても日本の友達と過ごせる時間がどうしても限られているし、結婚式はみんなで旅行のように時間を一緒に過ごしたい!せっかくならアメリカから来てくれる家族や友人たちに日本の素晴らしい文化を体験してほしい!という思いが組み合わさって、調査に調査を重ねた結果、温泉宿で結婚式を挙げ、ゲストのみんなで一泊二日する、温泉ウエディングという形に辿り着きました。人生で一度きりの、本当にかけがえのない特別な時間になりました。
結婚式って、多くても一生で数回しか挙げないもの。自分が着ていて心地よくて、今日の自分最高!と思えるスタイルやデザインは妥協したくない。だけどお祝いの日に身につけるものが、地球や誰かの犠牲の上に成り立っているのも悲しい。
結婚式とは「自分が好きなものを着たい」と「出来るだけ環境に良いものを選びたい」という葛藤が最も大きくなる日かもしれないと感じた、私のジャーニーを是非シェアさせてください。

理想のウエディングドレス探し

私は日頃から、服を買うときはまずはセカンドハンドで探して、なければ環境に配慮した、理念も共感できるブランドからなるべく買うことを心がけています。

結婚式を行うにあたって、同じプロセスで、必要なアイテムを探しはじめました。温泉宿で式を挙げたので、メインは白無垢をレンタルして着させて頂きました。白無垢のあとにお色直しで着るドレスは、自分の中でこんなデザインがいい!というのが明確に決まっていたので、レンタルではなく、自分で用意して持ち込みをさせていただくことに。

いつものプロセスで、まずはヴィンテージやセカンドハンドのドレスショップから探していました。ヴィンテージって、出会いが全て。デザインも、状態も、サイズも、全部がピッタリ合ってはじめて買うことが出来ます。普通のお洋服でも、そんなぴったりなものに出会うのは宝探しのよう。それが楽しさでもあるけれど、その条件でウエディングドレスを探すのは超難関!タイムリミットもあるから、なおさら難しい。残念ながら私は今回は出会えなかったのですが、とても素敵なヴィンテージショップを知ることが出来ました。ドレス探しをされる方にお勧めの二つのサイトをご紹介します。

Call me the breeze
オーストラリアのオンラインヴィンテージショップ。ウエディングドレスのセレクトが豊富で、毎週新しいヴィンテージが追加されます。Instagramでの紹介の仕方も素敵で、見ているだけでも心華やぎます。ドレスにもよりますが、相場に比べてとても良心的な価格です。

Farmer’s Daughter
ドラマチックでユニークなアンティークのドレスが揃うオンラインのショップ。ここには欲しいなあと思うドレスがいくつかありましたが、それはもうソールドアウトだったために泣く泣く断念。今改めて見てもとっても素敵!

環境負荷の低いもの、というサーチ条件を一度外してみた

ヴィンテージで見つからないのなら、次はサステナブルなブランドのウエディングドレス、という条件で探しはじめました。しかし、どうしてもどのデザインにもピンとこず、、!
その中で、一番好きだと思えるものにするか?とも一瞬思ったのですが、やっぱり、この特別な日に少しも妥協したくない!という葛藤と向き合うこと数ヶ月。

「環境負荷の低いもの」を自分のサーチ条件に追加していることで随分苦戦したので、一度思い切って諦めて、「自分の着たいもの」だけを条件として、もう一度新たな気持ちでドレス探しをはじめました。

私がドレス探しや会場の装飾のイメージ探しに一番利用したのは、Pinterest。頭の中に思い描いていたまま、Long sleeve classic satin wedding dress(長袖のクラシカルなサテンのウエディングドレス)という検索をして、眠れなかった真夜中にドレスの画像を見ていたら、はじめて心からビビビとくるドレスに出会うのです。
デザインを見て、もう絶対にこのドレスにする!という気持ちで、その画像からブランドサイトに行くと、初めて知るイギリスのブランドOne Addingtonのもの。更に調べていくと、女性デザイナー二人が全てハンドクラフトで作っていて、受注生産のみで、在庫をいっさい持たずに、二人で作れる分だけのオーダーを受けているということ。
結婚式は3月後半。この時点ですでに2月でしたが、まだ3月納品分の受注を受け付けていたのです。

サステナブルである、ということの判断基準は、様々なレイヤーがあると思います。例えばこの場合も、その生地はどこから来ているのか、ということまで考えることもできます。
でもそのときの私にとって、何より、「このドレスのデザインが大好き!絶対にこれが着たい!」という気持ちで出会った、受注生産のみでハンドクラフトで作られたドレス、というのは、十分にサステナブルで、私も心から満足して心地よく着られる背景でした。
その葛藤のバランスを保つには、十分でした。

ブランドの背景について知ったときも、心躍ったなあ(ドレスを見たときは、どんな背景を持つブランドだってこのドレスを着る!と思ったくらいに気分は上がっていたけど、いざそのブランドが、とてもひどい生産背景を持っていたら、きっと実際には選ばなかったと思うから)。

ファッションのサステナビリティについて考えるとき、デザインが好きだと思えることは、とても大事なファクターだと思っています。デザインを見て「これが着たい!」と思った服が、蓋を開けたら生産背景も心地良かった、ということが私にとっては1番の理想。
ウエディングドレスも、そんな道順で出会えたことがとても嬉しかった。
クラシックでタイムレスなデザイン、大胆にあいた背中の美しいドレープ、全てがとっても素敵で、大切な一日を心から楽しむことが出来ました。

畳の部屋で披露宴が行われたので、靴は必要なかったのですが、その代わりにタイツを合わせました。写真には写っていませんが、ヴィンテージライクなレースの白タイツを合わせました。動くとドレスのスリットから覗くのが可愛くて、密かなお気に入りでした。レースのタイツは、サステナブルなファッションブランド、Reformationで購入しました。ちなみにReformationもオリジナルのウエディングドレスラインがあって、そちらも候補として見ていました。

人の手でつくられた、あたたかい喜びを纏う

このドレスには、太い白のカチューシャと、パールのピアスを合わせたい!と思っていました。ピアスは、元々持っていたUchaのものを。スペインのブランドで、デッドストックやヴィンテージの素材を使った、美しいハンドクラフトのブランドです。1年ほど前から愛用しているこのピアス、結婚式にもぴったりでした。

カチューシャは最後の最後まで悩んだものの一つ。当日付けたのは、私の大好きなブランドのrippmonsterのデザイナー、みかさんが手作りして下さったもの。ヴィンテージのシルクを使って、幸せが重なるように、と願いを込めて、そして和の会場に合わせて朝露に濡れたような小さな桜たちを、耳元に合わせてくれました。
手で作られた想いと願いと愛のこもった、一生の宝物です。
一つ一つ、全て人の手で作られるrippmonsterのジュエリー。白無垢のときに付けた髪飾りも、こちらのブランドのものでした。ハンドクラフトのあたたかみは何にも代えられない。

渋くてレトロな会場に合わせた、二次会のドレス探し

二次会は、宿の中のレトロなカラオケルーム「クラブ夢二」で行われました。その名の通りの、渋くてイケてる内装。赤いベロアのソファーにシャンデリア。そんなレトロな雰囲気に合わせて、私も華のある艶やかなドレスに衣装替え。
ここでもかなりドレス選びに苦戦しましたが、日頃から好きなReformationで、会場にぴったりなドレスを見つけることが出来ました。パートナーも、白いシャツから黒いシャツに着替えて、2人でムードを合わせて。このとき彼は、私にも秘密で、私のおじいちゃんが生前にいつも付けていて、私の家族が彼に贈ったボータイを付けてきてくれました。
二次会のドレスのときに合わせていたイヤリングとネックレスも、前述のrippmonsterのもの。こちらも手で作られた美しいピース、特別な夜に、輝く煌めきを与えてくれました。

履き慣れた靴で、心から楽しむ夜

この会場では靴が必要だったのですが、靴はもう10年以上(!)愛用している、TSURU By MARIKO OIKAWAのキラキラのシューズを選びました。もともとハイヒールが苦手なので、思い切り楽しみたい夜に足が痛くなるのは嫌で、フラットかローヒールにしようと決めていました。それでいてドレスと会場にも合うキラキラしたパワーを持つものが良くて、クローゼットの靴たちを見ていたら、なんともピッタリ!な、こちらの靴に目が留まりました。さすがに10年も履いていると、履き慣らしたクタっと感はあるけれど、その履き慣れた靴は、夜を全力で楽しむ味方になってくれました。結婚式ってなんだか全てを新しく揃える印象があるけれど、ピアスやシューズなど、元々愛用していたものも取り入れました。愛着あるものって心強い。あのときこの素敵な靴を購入した10年前の私、グッジョブ!

会場を華やかに彩る装飾にも、心地良い循環を

生きたお花の華やかなエネルギーは会場に欲しい、でもたくさんの廃棄を出すことはしたくないなあと、会場のお花の装飾について悩んでいたとき、私の想いを知ってくれていたプランナーさんたちが、フラワーロスの対策に取り組むフローリストさんを紹介してくれました。農家で廃棄されるはずだったお花を使ったり、一度装飾に使用したお花をキャンドルに生まれ変わらせる活動を行っていたり、とにかく無駄を出さない、無駄にしない、サステナブルフラワー協会のフローリストmoani wedding
その背景がとても嬉しかったのはもちろんのこと、素晴らしいセンスで、会場の装飾も、私のブーケも、お伝えしていたイメージよりはるかに素敵にしてくれました。温泉宿という会場に合うように和風に、レトロに、でも華やかに、赤やオレンジや白を基調に、グリーンや黄色も入れて欲しいとオーダーしました。このお花たちが本当に美しくて、会場をより華やかに彩ってくれたことは言うまでもありません。

大好きな友人の大好きな友人の中田みのりさん(後列左)、信太美月さん(同右)と

受け継ぐことと、ストーリーのあるものが大好きな私たち夫婦の、婚約指輪と結婚指輪

婚約指輪は、パートナーの家族に代々受け継がれている大切な指輪をプレゼントしてくれました。アートデコなデザインは、色褪せない輝きを放ち、歳を重ねていくにつれて、年代ごとに異なる魅力を増していくんだろうと思います。ピカピカの新品のものよりも、想いやストーリーのこもったものが好きな私のことを想って選んでくれたことが、とても嬉しかった。

photo: Elisa Baker

結婚指輪、パートナーは、彼の大好きなおじいちゃんが60年以上も付けていた結婚指輪を受け継ぐことに。サイズもなんとピッタリだったよう。(私たち、受け継がれるのが大好きな夫婦)
そのクラシカルでシンプルな指輪に合わせて、私はオーダーメイドでつくってもらうことに。今住んでいるエリア、ハドソンバリーで人気のジュエリーデザイナーであり、大好きなお友だちでもある、atsukojewelryでオーダーしました。毎日付けるものだから、彼の指輪と合わせてシンプルに、そして私の好きな、少し丸みを帯びたデザインにしていただきました。
いつものカジュアルなスタイルにもマッチするし、何より、大好きなお友だちがその手で作ってくれたということが一番嬉しい。私の幸せを願って願って願いながら、制作してくれたそう♥️その愛を受け取って、毎日身につけています。

photo: Elisa Baker

大きなサポートに愛と感謝を込めて

最後に、こんなにも理想の結婚式を挙げることができたのは、本当に素晴らしい皆さまのサポートがあったから。そんな皆さまをご紹介させてください。

ゲストのみんなと一泊して旅館で結婚式がしたい!なんていうアイディアが浮かんでから、たくさん調べてたどり着いたのが、湘南プレミアムウェディングさん。
プランナーの池田さんと山崎さん、私たちらしい結婚式となることを何より大切に、私たちの想いを理解してくれて、本当に最後まで寄り添ってくれました。心から皆さまにお勧めしたいです。

結婚式を挙げた旅館は、プランナーさんがお勧めしてくれた、あたみ石亭さん。歴史ある重厚な美しさ、その中にあるスタイリッシュなモダンさ、お部屋とお風呂、お料理の素晴らしさ、そしてスタッフの皆さまのあたたかいおもてなし、これ以上望むことはできません。
これから毎年、彼と訪れたい、大切な場所になりました。

ヘアメイクはクラークゆかりさんにお願いしました。私の叶えたいことを全て汲み取って理解してくれて、願っていた以上のヘアメイクをしてくれました。白無垢のときのレトロなスタイルも、ドレスのクラシカルなスタイルも大好き!

そして最後に、この記事にも載せている写真を撮ってくださったNOREN MUSEさん。結婚式当日の写真と動画をお願いしたのですが、私たちが結婚式を挙げたい理由を一番に理解してくださって、ゲストの素晴らしい表情や想いを、写真と動画にぎゅっとおさめてくれました。この記事にはなるべくゲストの顔が写っていないものを選びましたが、見るたびにあの日の気持ちが蘇る、大好きな家族と友人とのドラマチックな瞬間と表情を捉えてくれたこと、本当に感謝しています。
前撮り写真や、結婚式の写真、家族写真を撮りたいと思っている方たちに、心からお勧めしたいです。

それでは、わたしの結婚式ジャーニーにお付き合いいただきありがとうございました。
これを読んでくださっている方が、もしこれから結婚式を控えているのなら、どうか素晴らしい一日となりますように!

その瞬間瞬間のスペシャルな気持ち、どうか目一杯楽しんでください♥️

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