Contents
※この記事は、Thrift Stores Are Filling Up With Fast Fashion, But Should You Buy It?を翻訳し、日本市場向けに公開しています。
古着市場にあふれるファストファッション
ZARAからSHEIN、H&MからBoohooまで、ファストファッションの服が古着屋やヴィンテージマーケットに溢れ、棚はこれらのブランドの服でいっぱいに。ファストファッションでない服を見つける方が難しくなっているかもしれない。
この現象は、ファストファッションの直線的なライフサイクルを象徴している。流行が過ぎれば着られなくなり、次の新しい服が欲しくなることを前提に作られているため、まだきれいなうちに手放され、古着屋にどんどん溜まっていくのだ。
しかし、このようなアイテムに出会ったとき、あなたはどうする?
これは意外に難しい。古着だとしてもファストファッションを購入することは使い捨ての文化を助長しているのか?それとも捨てられるはずだったものに新たな命を与える行為なのだろうか?
このジレンマは、私たちに正解のない問いを突き付けてくる。明快な答えはないが、この問題を解決するために、古着屋でファストファッションを購入することの長所と短所を考えてみよう。
古着のファストファッションを買うことのメリット
グローバル・ファッション・アジェンダの2017年版「Pulse of Fashion report」レポートによると、2015年には推定9,200万トンの繊維廃棄物が発生し、10年後、この数は大幅に増加していると思われる。衣料廃棄物の削減が喫緊の課題であることは明らかだ。
ファストファッションの対極にあるのは、服を長く着ることや古着を選ぶことだ。そして、その選択肢がたまたまファストファッションブランドによって作られたものであるなら、その方が良いのではないだろうか。
また、アイデアとしての 「お古 」は、ファストファッションのイデオロギーを覆し、サーキュラーな消費を取り入れる良きスターティングポイントになり得る。
古着を買い、直し、持ち続けたり、誰かと服を共有する。これは、製造過程における人々や地球、動物への負荷をなかったことにするものではないが、「奪う」「作る」「捨てる」のサイクルを終わらせることにつながる。
古着のファストファッションを買うデメリット
多くのファストファッションは安価で大量生産できる合成繊維に依存している。合成繊維は洗濯時にマイクロプラスチックを放出し、海洋汚染の原因となり、海洋生物や水環境に悪影響を及ぼす。
欧州環境庁によると、海に流れ込むマイクロプラスチックの16~35%が合成繊維由来だ。
さらに、SHEINやTEMUの一部製品からは鉛などの有害化学物質も検出されており、着る人の健康へのリスクも指摘されている。
また、古着のファストファッションを選ぶ場合でも、もとの製造過程で生じた環境負荷や労働問題は消えない。過剰生産や急速なトレンド循環が根本的な課題であることに変わりはない。
まとめ:古着のファストファッション買ってもいい?
結局のところ、古着のファストファッションを買うかどうかは、あなたの価値観次第だ。たとえば、合成繊維で作られた衣服は避けたいが、ファストファッションだとしてもより低負荷の素材や、植物由来の素材で作られた衣服ならばOKと線引きするのも1つの方法だ。
ファストファッションは、そもそも大量生産・大量廃棄という構造のもとに成り立っており、環境汚染や生態系への悪影響といった深刻な問題を引き起こしやすい。だからこそ、すでに存在する衣服を廃棄せずに循環させることは、その構造を肯定することではなく、むしろその負のサイクルから抜け出すための一歩となる。
古着のファストファッションを選ぶことは、ファッションにおける責任ある選択とは何かを考える機会にもなる。問題を直視し、変化を促すために声を上げるアクションのひとつとして捉えることができるだろう。
その服を選ぶかどうかに、明確な「正解」はない。重要なのは、どんな選択であっても、その背景や未来への影響を意識して向き合うことだ。
この世界には、すでに無数の衣服が存在している──それらを無駄にすることこそが、過剰生産がもたらす問題の連鎖をさらに加速させてしまうのである。