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ブログ|2025.01.16

ジモトから始める気候変動対策とは? パタゴニアで開かれたトーク&セッションイベントに参加してみた

昨年2シーズンに渡って気候変動に関する市民コレクティブを開いたパタゴニア。多様な参加者がコーヒーを片手に、気候変動対策について知り、語り合うイベントです。パタゴニア二子玉川店で開かれた「地方自治という解決策。暑くなりすぎた地球。日本の気候政策と生活のゆくえ」の様子をご紹介。

原稿:浦田庸子

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この市民イベントについて知ったのは、昨夏のパタゴニアの展示会でのこと。通常ファッションブランドの展示会はずらっと並んだ新作商品についての説明を受けるのですが、パタゴニアの展示会はひと味違う。地域での活動や、新作ドキュメンタリー、「洗濯」というテーマや、パタゴニア・プロヴィジョンズの試食など……服を買う“消費者”というよりも、地球に生きる一人として「あなたは何をする?」と問われる感じなのです。なかでも力が入る気候変動の市民イベントということで興味津々だったのですが、全国の直営店で12回に渡って行われるということで、二子玉川での回(2024年11月)に参加してきました。

集まったさまざまな40人。私たちが気候変動政策に参加するには

この日お店に集まったのはおよそ40人。だれでも参加可能な市民イベントとあって、近隣に住む人、働く人、アウトドアが得意な人もそうでない人も、実にさまざま。分け隔てなく市民みんなが参加する場になっています。コーヒーを片手にアウトドアチェアに座って、フェスのようなリラックスムード。

さて、私たちが地域の未来に影響を与え、政策決定に参加していくにはどんな方法があるのか? アクティビストの2人のトークが始まりました。

まず登場した鈴木かずえさんは、自治体のゼロエミを目指して活動するゼロエミッションを実現する会のメンバー。「自分の住む町から気候危機を止めたい」というジモト起点の活動をサポートしています。

鈴木さんが紹介してくれた、市民の声で地域が変わった最近の例としては

  • 2022年  東京都の新築住宅等の太陽光パネルの設置義務化
  • 2023年 川崎市の新築住宅等の太陽光パネルの設置義務化
  • 2024年 神奈川県の学校屋上の断熱
  • 2024年 港区で区の施設の電力を再生エネ

などなど。

確かに、国の政策となると壮大だけれど、ジモトの話となると一気に心理的距離感が縮まります。港区区施設の再エネ切り替えは、市民から出された請願の力が大きかったそうですが、「ゼロエミッションを実現する会」では請願を書く際のサポートなども行っているそう。サイトにあるマンガの説明もとってもわかりやすい。

知ってる? あなたの住む町の削減目標

次に登場したのはJYC(日本若者協議会)」の室橋祐貴さん。「日本版気候若者会議」のメンバーとして、日本のNDC(温室効果ガス削減目標)について政府や政党への提言をがんがん行っているという頼もしきアクティビストで起業家。

ちなみに昨年末に政府が発表した「2035年までに60%削減」案に対し、室橋さんたちは「60%は不十分」と訴え、署名活動を行っています。さらに当サイトShift Cを運営するUPDATER社も参加するJCLPは「75%以上の削減」を求めています。

「日本では国のトップは選べないけれど、地域のトップは選べる」と室橋さん。「同様に温室効果ガス削減目標も、地域なら私たち市民で高く設定することも可能なんです。例えば国の目標である2030年までに46%削減に対し、東京都は50%、長野県や神戸市は60%。世田谷区だったら57.1%です」

そう言われてみれば!と、日々通勤している世田谷区の目標を知らなかったことに反省しつつ、「自分の住む地域も調べてみてください」との室橋さんの言葉に目黒区をチェック。53%と初めて知りました。

「例えば世田谷区では、この目標を決めているのは公募で決まった環境審議会の区民です。区民が目標を決め、それに従って計画が作られ、予算が組まれるという流れです」

なるほどこれが区民税の使い道と思うと、最初の目標設定が肝心なのも納得です。若者の意見を政治に反映させるため政策提言を行い、しっかりと実現させてきた室橋さんならではの体験談を紹介してくれました。

顔を見合わせて話し合う、私たちの気候変動対策

後半は参加者が5つのグループに分かれ、「あなたが生活の中で目にした気候変動対策は?」と「気候変動対策として地域で取り組めるアクションとは?」を話し合う時間です。

グループには二子玉の商業施設で働く人や、区職員の人や、アウトドアのインストラクターなどいろんなバックグラウンドをもつ参加者がいて、それぞれが「気候危機」の瞬間を体験しています。世界気温が遂に「1.6℃」を超えたという2024年、みんな共通して思っているのは、夏の異常な暑さと災害で仕事や学校など社会活動がままならなくなっている、ということ。

「地域で取り組めるアクション」案では

  • 自転車が走りやすい街にする
  • 子どもと参加できる農業体験、自然体験を企画する
  • 地域のお祭りを知識やモノの交換の場にする
  • 二子玉のイルミネーションを再生可能エネルギーにする
  • 二子玉にあるお店がみんなで参加してノーショッピングバッグDAYをつくる

といった案が出て大盛り上がり。うん、どれもやってみたい! 「楽しみながら続けられるアクションが大事」「システムを変えれば日々意識しなくても環境活動に参加できることに気づいた」「こんなに真剣に話せる場があってよかった、今後も開催してほしい」と声があがっていました。

2024年末に新しいGHG削減目標や第7次エネルギー基本計画の素案が発表され、1月26日まで各所でパブリックコメントの募集も始まっています。


国への意見はもちろん、それに加えてより暮らしに直結したジモトの気候変動対策のために何ができるのか? 隣の人とどんな地域を作っていくのか? 今回のイベントのように顔を見合わせて話すと、一気に自分ゴトとしてアクションを考えるな、と実感しました。
みんなの力を合わせて変化を起こす、ミュニシパリズムの第一歩。2025年を実践の年にしたいです。

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