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ストーリー|2024.12.20

環境・社会にポジティブなイノベーションを!ケリング・ジェネレーション・アワードの11社がファイナルピッチに挑む

グッチ、サンローラン、ボッテガ・ヴェネタ等を傘下に持つグローバル・ラグジュアリー・グループのケリングがスタートアップ支援チームCIC Instituteのサポートのもと「ケリング・ジェネレーション・アワード」を日本で初開催。120 社以上の応募の中から、書類選考とピッチ選考を経て計 11 社がファイナリストに選出され、先月11月8日(金)にファイナルピッチが行われた。

原稿:白石 綾

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ケリング・ジェネレーション・アワードとは?

ケリングのビジョンである「Crafting Tomorrow’s Luxury(未来のラグジュアリーを創造する)」に基づき、2018年12月に中国で「ケリング・ジェネレーション・アワード」を発足。本アワードは既に3回実施され、代替原材料、サプライチェーンの改善、サーキュラーエコノミーといった分野の課題に取り組み、環境および社会にポジティブな影響を与える企業を表彰・支援している。なお、近年では中国に続き日本、サウジアラビアやイタリアでも同様のアワードプログラムが発足されている。

応募社数120社以上!日本初開催となったプログラムの内容とは?

今回初開催となった日本では、サステナブル・ファッションとビューティ業界において環境と社会にポジティブなインパクトをもたらす持続可能なイノベーションの発掘を目的とし「代替原材料・素材 / 製造工程(グループA)」と「リテール / 消費者エンゲージメント(グループB)」のサブテーマで参加企業を募集。120社以上のスタートアップや研究者から応募が寄せられ、その中から、書類選考とピッチイベントを経て、上位11社が選出された。

製造プロセスのデジタル化により衣服の型紙設計工程で出てしまう布の廃棄を最小化するデザイン・スタートアップ Synflux 代表取締役CEO  川崎 和也 氏のプレゼンテーション
EC 事業者向けに繰り返し使える梱包「シェアバッグ®︎」を展開する株式会社comvey 代表取締役 / 梶田 伸吾 氏のプレゼンテーション

ケリングのサステナビリティプログラムディレクター ジェラルディン・ヴァレジョ氏は、開会の挨拶で「ケリングはラグジュアリーグループですが、私たちにラグジュアリー(贅沢)な時間は残されていません。サステナブルな未来に向け、今すぐ行動する必要があります。ラグジュアリーグループとして、私たちには特別な役割があり、業界を先導すべき責任がある。なぜなら、私たちはファッションにおけるトレンドを設定する立場にあるからです。ビジネスモデルを変革し、さまざまな業界を巻き込む責任があると考えている。ファイナリストの皆さんは、スタイルとサステナビリティを融合させることが可能であること、ファッションとビューティは、人々を魅了するものであると同時に、責任を果たすことができることを実証してくれた。」と語ってくれた。

ケリングのサステナビリティプログラムディレクター ジェラルディン・ヴァレジョ氏

また、CIC ジャパン会長の梅澤 高明 氏は「リテール / 消費者エンゲージメントのグループではファッションやコスメ産業における最大の課題の一つである「廃棄」の問題について、消費者側からはCtoCソリューションやクローゼット管理といった新しいアイデアで解決を目指す提案が示されました。また、代替原材料・素材 / 製造工程では、製造や物流工程における廃棄問題、温室効果ガス排出、大量の水消費といった課題に対し、日本の強みである製造技術や素材技術を活用した力強いブレークスルーの提案が多く出されました。これらの提案をどれだけ世界に発信できるかという点で、ケリングのネットワークを活用できることは、エントリーしたスタートアップにとって大きな期待です。日本のディープテックが世界のサステナビリティ課題の解決に寄与する未来を強く願っています。」と今後の日本のスタートアップの世界進出への期待を語った。

本アワードの結果は 3月13日のセレモニーにて発表される。

以下は、ファイナリストに選出されたスタートアップ

グループ A:代替原材料・素材 / 製造工程

株式会社アルガルバイオ
https://algalbio.co.jp
アルガルバイオは、多種多様な藻類を保有し、その実用化を一気通貫で手がける研究開発型バイオベンチャー。藻類は森林・農地・食物生産に影響を及ぼさず培養でき、面積当たりの CO2 固定能に優れた、サステナブルな原料。藻類は光合成で CO2 を固定し、アンチエイジング、UV 吸収、保湿などに役立つさまざまな機能性成分と天然色素を含有する。エシカルで持続可能な代替原料として技術開発を進めており、ビューティー、ファッションの分野での活用が期待される。


AMPHIBIO LTD ( Trading as AMPHICO )
https://www.amphico.uk
AMPHIBIO LTD (通称 AMPHICO )は英国と日本に拠点を持つ材料系スタートアップであり、アパレル産業に起因の環境問題解決のため様々は材料ソリューションを開発。特に、アメリカと欧州における有害化合物 PFAS の規制を背景に、従来 PFAS が多用されていたアウトドアアパレル向けの機能性透湿防水テキスタイルを PFAS フリーで実現する技術や、水汚染などの環境汚染を大幅に削減する無水着色技術を開発している。


Synflux 株式会社
https://synflux.io
Synflux は、人工知能や 3D シミュレーション、アルゴリズミックデザインを活用し、持続可能なファッションの実現を目指し活動するデザイン・スタートアップ。独自のデザインエンジン「 Algorithmic Couture 」の応用を通して、環境配慮を重視するアパレル・ファッションブランドとのアライアンス事業を推進する。製造プロセスのデジタル化により、衣服の型紙設計工程で出てしまう布の廃棄を最小化し、CO2 と材料コストの削減を達成することが可能。


FiberCraze 株式会社
https://www.fibercraze.com/ja
「ミクロな技術で、人類と地球のミライを織りなす」をビジョンとし、岐阜大学の基礎研究から生まれた繊維・フィルム素材の多孔化技術を使った高機能性素材を開発。世界の社会課題に対し、目に見えないナノテクノロジーを駆使して解決していく。岐阜の地域を中心とした技術力を集結させて新たな価値を創造し、生活や産業の発展を担うインフラとなる素材の確立を目指す。


株式会社ファーメンステーション
https://fermenstation.co.jp
独自の発酵技術を有し、未利用資源を機能性のある素材や製品にする事業に取り組み、サーキュラーエコノミーの実現を目指すバイオテクノロジースタートアップ。規格外の農産物や飲料・食品工場で排出される製造残さ等の未利用バイオマスを、各種フレーバー、高機能化粧品素材などへ転換する共同開発や自社工場での製造事業を展開している。 2022年よりB Corp 認証を取得。


マイクロバイオファクトリー株式会社
https://microbiofactory.co.jp
化学品製造の脱化石資源化を目指して、バイオマス由来の原料を活用した微生物発酵での化学品生産に取り組むスタートアップ。現在複数の開発パイプライン化合物を有しており、サステナブルな化学品製造の事業化を目指している。

グループB:リテール / 消費者エンゲージメント


株式会社 ARCHIVESTOCK
https://archive-stock.com
「文化的価値の高いファッションアイテムの保全と継承」をミッションに、ファッションアイテムを記録・保存・売買できるリセールプラットフォーム「 ARCHIVESTOCK 」を開発、運営。パーソナル機能や AI 技術を駆使し、リユースファッションを通じた環境的・経済的な世界的コミュニティを創出する挑戦を行なっている。


株式会社 comvey
https://comvey.jp
「美しい物流をつくる」をビジョンに、EC 事業者向けに繰り返し使える梱包「シェアバッグ®︎」、およびそれらを運用するためのオペレーションシステムを開発・展開している。


株式会社 STANDING OVATION
https://www.s-ovation.jp
「クローゼットを持ち歩く、循環型のファッション体験を創る」ビジョン実現を目指し ① AI スタイリストが「持っている服」からコーデを提案してくれるオンライン・クローゼットの BtoC アプリ「 XZ(クローゼット)」② お客様の「持っている服」と「商品」の相性を確認でき、サステナブルな買い物体験を OMO で提供する BtoB サービス「 XZ – biz(クローゼットビズ)」 を開発・運営。


株式会社 Spacewasp
https://spacewasp.net
様々な産業から排出される植物廃棄物から植物由来の内装空間(内装、家具、建材)を製造・販売。作れる人がいない内装業界において、自動で空間を作れる仕組みと、何度も作り変えられる循環型内装で、未来の内装インフラを創出し、ホテル・オフィス・店舗等の内装を必要とする事業者に内装空間を提供する。


株式会社モーンガータ
https://man-gata.com
大手化粧品企業 16 社と協業し、化粧品の中身をアップサイクルするスタートアップ。
BtoB(素材開発・企画運営・IP ビジネス)だけでなく、BtoC(プロダクト開発)も手掛ける。同社のみが保持する余剰化粧品資源と自社特許技術を駆使し、化粧品中身から多岐に渡る工業素材を開発。現在、物流効率化とトレーサビリティ提供や認証サポートのためのシステム開発なども手掛け、化粧品業界全体の再生利用スキームのハブとなっている。



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