ストーリー|2024.11.22

この11月サステナファッションについて知るべき7つのこと

またしてもウルトラファストファッションのテムが違法商品問題で調査対象に。さらに、EUの森林伐採規制の延期や、ヨーロッパでの服の廃棄による財政負担が懸念されている。一方で、リーバイスが労働者保護に向けた国際協定に署名するなど、ポジティブな進展も。2024年11月、持続可能な未来に向けた最新トピックをチェックしてみよう。

翻訳:上杉沙樹 写真:Pixabay

Share :
  • URLをコピーしました

※この記事は、9 Things to Know in Sustainable Fashion and Beauty This Novemberを一部抜粋し、日本市場向けに翻訳し公開しています。

長年の働きかけを経て リーバイスがパキスタンの労働者保護にコミット(クリーン・クローズ・キャンペーン)

2022年、リーバイスのサプライヤー工場のひとつで4人の労働者が死亡したことがリーバイスに対する批判の発端となり、長年の働きかけを経てついに同社は「繊維・衣料産業における健康と安全のための国際協定」に署名した。この協定は、サプライヤー施設の健康と安全の検査と改善を義務付ける法的拘束力のあるものである。アパレル産業における労働者の権利や労働環境の改善を目的とする国際的なNPO団体クリーン・クローズ・キャンペーンは、この事件がリーバイスの労働者保護体制の不十分さを浮き彫りにしたと指摘。今回の合意はパキスタンに限定されており、運動家たちはバングラデシュへの拡大も求めている。

EU森林伐採規制の延期は「法律を根こそぎ破壊する口実になりかねない」と活動家が懸念(モンガベイ)

欧州委員会は、森林破壊規制(EUDR)を12ヶ月延期すると発表した。2025年1月に施行される予定だったこの法律は、ゴム、木材、パーム油などの商品が、2021年以降にプランテーションや農業のために新たに伐採された森林から調達されたものではないと証明することをサプライヤーに義務付けるものである。活動家たちは、この延期によって反対派が法案の影響を弱める機会を得るのではないかと懸念している。

EU、ショッピングサイト「テム」に対し、違法商品に関する措置を開始(ガーディアン紙)

今月もまた、テムが調査を受けているとの報道があった。今回は欧州委員会が、テムがEUのデジタルサービス法に違反していないかを調べており、違反が見つかれば多額の罰金が科される可能性があるという。調査の焦点は、禁止業者の再登録防止の実効性、偽造品の販売防止策、過度にゲーム化された販売戦略など、いくつかの懸念点にあるようだ。

ヨーロッパの繊維リサイクル部門が「前例のない危機」を警告(ビジネス・オブ・ファッション)

ヨーロッパの繊維リサイクル業界は、現在、深刻な危機に直面している。リサイクルにかかるコストが急増し、2024年春以降、中古衣料の売値が処理コストを賄えない状況が続いている。この背景には、ウルトラファストファッションによる廃棄物の急増がある。短期間で使い捨てられる安価な衣類が市場に溢れ、リサイクル施設の処理能力を圧迫している。

ヨーロッパの産業市場情報を提供するEUWIDによると、国際関係の緊張や物流問題が原因で、非EU諸国との中古衣料取引量が2022年の約46.5万トンから2023年には43万トンに減少したことも業界の打撃となっている。また、リサイクル素材の需要が低迷しており、リサイクル綿の生産量が31.9万トンと低い一方で、新しい綿は2,440万トンも生産されている。

これらの要因が重なり、選別業者の多くが経営難に陥り、倉庫も満杯状態だ。このままでは、販売先が確保できない衣類が焼却処分されるリスクが高まっており、業界は緊急の支援を求めている。

イーベイ、2025年までに120万ドルの投資でサーキュラーファッション基金を拡大 (ファッション・ユナイテッド)

世界最大級のネットオークションサイトイーベイは「サーキュラーファッション基金(CFF)」を通じて、循環型のビジネスモデルを持つファッション企業を支援している。この基金は、2025年末までに総額120万ドル(約1憶8400万円)を拠出している。加えて、傑出した1社には最大30万ドル(約4,600万円)の「サーキュラーファッション・イノベーター・オブ・ザ・イヤー」賞を授与する予定だ。また、参加企業にはメンタリングやネットワーキングのプログラムも提供される。

「良い」そして「素晴らしい」 ニュースを

毎月、新しく評価されたブランドからのニュースや製品のハイライトを紹介。

Dedicated、プラント・フライデー・イニシアチブを復活


Dedicated(Shift C評価:素晴らしい)がブラックフライデーに対抗するために創設した「プラント・フライデー」は、11月28日から12月1日までの注文1件につき1本の木を植えるというもので、One Tree Plantedと提携している。これまではブラックフライデーにのみ実施されていたが、2024年は週末の数日間に渡って開催される。「買い物を促すのではなく、本当に必要なときだけ、あるいは気に入ったものが見つかったときだけ、心を込めて買い物をすることを忘れないでください」とブランドは言う。

アウターノウンがリサイクルウールメーカーと提携

アウターノウン(Shift C評価:良い)は、イタリアのManteco社と提携して、100%リサイクルウールを使った衣服を提供している。このリサイクルウールは、既存のテキスタイルから回収、選別、加工、再紡績のすべてをManteco社の施設で行うことで生まれたものである。Manteco社によると、MWoolは、バージンウールの特性を保ちながら、資源やエネルギーを抑えて製造できる優れものだ。

Share :
  • URLをコピーしました

Learning他の記事を読む

絞り込み検索