ファッションアイテムの中でも生産過程での環境負荷が高くなってしまうデニム。しかし、改善に向けて努力しているブランドは多数ある。今回の記事では、Shift Cの評価データから、どのブランドがよりサステナブルなジーンズを製造しているのか見てみよう。
この記事はAre the Biggest Denim Brands Sustainable? We Rated Them All to Find Outを日本語訳したものです。
Contents
1本のデニムを作るのに約3800ℓの水が必要
なぜデニムはサステナブルでないのか。
ブランドの取り組みや紹介に入る前に、まずは現在デニム界が直面しているサステナビリティの課題に迫っていこう。
本来、高い耐久性をもつデニムなのだから、サステナビリティの面では優秀なのではないかと思うかもしれない。しかし残念なことに、ファストファッションや過剰消費によって、環境、サプライチェーンに大きな負荷を与えている。正確な統計は情報源によって異なるが、2015年、リーバイスは501ジーンズ1本の生産に3,781リットルの水が使用されていると発表した。
産業全体では、生地の特徴であるインディゴカラーを実現するための化学染料の使用と(天然インディゴ染料を使用するには栽培に莫大な資源が必要)、デニムの製造に使用される混紡糸のリサイクルに関わる課題、アイテムの寿命を延ばすリペアや衣服の手入れを行わず着て飽きては捨ててしまうビジネスモデルの問題が挙げられている。
果たしてデニムブランドは、どんな取り組みを行っているのか。大手デニムブランドの評価を検証し、その答えを探ろう。評価は、「We Avoid(他の選択を)」から「Great(素晴らしい)」までの5段階で採点されているが、残念ながら、多くのデニムブランドが最低の2段階評価を受けていることがわかった。
- Wrangler – まだまだ
- Lee – まだまだ
- Diesel – まだまだ
- Calvin Klein – まだまだ
- Tommy Hilfiger – まだまだ
- A.P.C – 他の選択を
例外なのはLevi’sの「ここから」という評価だ。それでは一体Levi’sはどんな取り組みをしているのだろうか。
最新のレーティングによると、いくつかの前向きなステップを踏んでいることがわかった。たとえば、日本のブランドホームページのサステナビリティのページに集約されているように、Waterlessプロジェクトやリペアなどが挙げられる。
ラナプラザ事件を教訓に生まれた縫製職人の雇用を守る「国際アコード」への署名が未だ確認されていないこと、一部アイテムにレザーやウールを使用しているため、動物福祉の観点から改善を求める声もあるかもしれない。それでも、世界で最もよく知られたデニムブランドと言っても過言ではないLevi’sが前進していることは、他のブランドの改革を促すのに大きなメッセージになっていること間違いないだろう。
今すぐ応援したいサステナブルなデニムブランド
現実は、デニム業界を変える最も大きな力を持っている人たちが、その力を発揮できていないということである。以下に、持続可能なデニム業界を促進するための活動を行なっている、私たちの世界最先端の手法に照らして「Good」と「Great」と評価されたデニムブランドをいくつか紹介しよう。
E.L.V. Denim
Shift C評価:素晴らしい
もっと知る
E.L.V. Denimはサステナブルデニムブランドのパイオニア的存在で、古くなったデニムや中古のデニムを洗濯して再カットし、新しいスタイルを生み出す。輸送による環境への負担を軽減するため、ロンドン東部の本社で製造し、サイズに合わせたカスタムメイドのジーンズを提供している。
Outland Denim
Shift C評価:素晴らしい
Outland Denimは、「サステナブルジーンズは、作った人々の生活を豊かにし、地球を尊重し、守る方法で作られ、何世代にも受け継がれるものでなければならない」と考えている。より低負荷の生地を使用し、サプライチェーンのすべてを追跡、定期的にサプライヤーを訪問している。
Nudie Jeans
Shift C評価:素晴らしい
「明日のヴィンテージを創造する」を哲学に、より低負荷の素材を使用して長持ちするジーンズを作っているNudie Jeans。リペアサービスを提供している。埋立地へ廃棄される衣料品や素材を最小限に抑えるために実施している、リユース、リサイクルプログラムにも注目だ。
SLVRLAKE
Shift C評価:良い
ロサンゼルス生まれのSLVRLAKEは、地元にインスパイアされたデニムを作り、生産の最終段階も一部地元で行われている。認証されたオーガニックコットンを含む、環境負荷の少ない素材を使用している。
MUD Jeans
Shift C評価:素晴らしい
MUD Jeansは、2013年にジーンズをリースするという画期的なプログラムを編み出し、10年以上にわたってサステイナブルデニムのリーダーであり続けてるブランドだ。現在では、すべての製品のライフサイクルが循環型になるように仕組み化されている。サプライチェーンのほとんどがトレーサブル(追跡可能)、認証されたオーガニックコットンを含むより環境負荷の低い素材を使用し、リペアプログラムも実施している。
non
Shift C評価:素晴らしい
イギリスを拠点とするnonは、洗いにかけない生セルビッチデニムを専門に扱い、PETAの認証も受けている。環境により低負荷の素材を使用し、繊維の端材もリサイクルしている。包装は再生パッケージを使用していて、家庭でも簡単にリサイクルできるようデザインされた優れものだ。
Reformation
Shift C評価:良い
Reformationのデニムには、テンセル・リヨセル、オーガニックコットン、再生栽培コットンなど、サプライチェーンにおける化学物質、水、廃水の削減に貢献する素材が使用されている。