筆者は数年前、あるブランドの魅力にハマり、できることならワードローブに取り入れたいと思うようになりました。とはいえ、今まで1枚の服に使ってきた価格から考えると、買う時には結構な勢いがいる価格帯でした。
もちろん、素材の希少性や関わった方々への報酬という意味では適正価格であるとはいえ、購入時のわたしにとっては勇気のいる値段。それでも何年も経った今は、やせ我慢ではなく、安い買い物だったと思っています。
というのも、デザインだけではなく着心地やケアのしやすさまで考えられた「良い服」は、何年にもわたってシーズン中大活躍するからです。朝、ボタンをとめる時にその滑らかさに「良い作りだな」と思い、コンビニから外に出た瞬間、風に吹かれた裾の揺れ方に「やっぱりきれいだな」と、何年経っても思えるのは「良い服」の底力です。
このお得感の正体は、Cost Per Wear(着用1回あたりの価格)。この夏物ワンピース、Cost Per Wearでは、他の安い服に比べて、なんと割安になることもあるのです。仮に購入価格を5万円、6~9月の夏の間4日に1回、年間約30日、8年間着用したとしましょう(着用合計約240日)。そうすると、1日あたりに換算した価格は約208円(5万円÷240日)となります。3千円のTシャツでも、10回着用して手放すのであればCost Per Wear=300円。5万円のワンピースよりも割高という計算になります。
値札についた値段で高い・安いを比べるのは簡単ですが、服を長く着ればその分Cost Per Wearは下がっていきます。そんな「時間」の視点も持って、買う服の値段と量のバランスを考えてみてはいかがでしょうか?
なにも高い服ばかりを買おうとおすすめしているわけではありません(そんなお買い物ができるなら私もしたいのですが)。多くの安い服をもつスタイルと、少しの高級な服を持つスタイルの間のグラデーションがあるとしたら、今自分がどこにいて、将来的にはどこを目指したいのかを考えるのもいいかもしれませんね。
本記事は日本のユーザーの方のために、「多様で、健康的なファッション産業をつくる」ことをミッションに活動する一般社団法人unistepsが執筆しています。