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ニュース|2025.06.11

【グローバル・ファッション・サミット2025 リポートVol.1】世界規模のサステナファッション会議の全貌に迫る! 

6月4,5日に行われたサステナビリティ会議「グローバル・ファッション・サミット」。世界からキーパーソンが集まりファッションの現在と未来を語り合う、サステナビリティに関わる人なら動向が無視できない重要カンファレンスだ。そこで今回、2日間に渡る白熱の議論から、Shift Cが「社会」「環境」「人権」の重要テーマを選んでポイントを紹介。まずはVol.1の全体ハイライトからお届けする。全3回のリポートを見逃さないで!

原稿:白石 綾

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グローバルファッションサミットとは?

Global Fashion Summitは、デンマークを拠点とする非営利団体Global Fashion Agendaが主催するファッション業界のサステナビリティに特化した世界中から関係者が集まるイベントだ。2009年の設立以来、ファッション業界におけるサステナビリティの最前線を担うフォーラムとして、48カ国 1000名を超える世界中のファッション業界を代表する意思決定者たちが集い、環境・社会・倫理に関する重要な課題について議論を交わす場となっている。

主要セッションや注目トピックが展開されるステージに加え、インタラクティブな事例紹介やワークショップに特化したアクションステージ、さらにブランドとソリューション提供者の効率的なマッチングを促進する展示スペース、周辺の飲食店で開催されるネットワーキングの機会など、多彩な場が設けられ、活発な意見交換と交流が行われている。

エレン・マッカーサー財団のファッション&フード統括責任者 レニエラ・オドネルが登壇したトークセッション Enabling Circularity: Fashion’s Transitionの様子

社会の転換期に、私たちの前に立ちはだかる障壁は新たな社会に向けた架け橋となるのか

今年のサミットのテーマは「Barriers and Bridges(障壁と架け橋)」対照的なこの2つの言葉は、大きな転換点にある今の時代に、私たちが向き合うべき課題と可能性を象徴している。ファッションを取り巻く気候変動や人権問題、世界の不平等といった複雑な課題は、今まさに向き合うべき緊急のテーマであると同時に、新たなイノベーションや仕組みを生み出す好機でもあるからだ。

変動の激しい経済環境の中で、企業が持続可能な取り組みを優先し続けるためには、ビジネスとしての説得力とメリットを明確に示すことが欠かせない。業界が抱える課題を乗り越えるための具体的な事例や未来を見据えた対話を通じて、環境アクションと経営のレジリエンス、規制順守と革新、短期的な実践と長期的な展望のバランスを探る2日間となった。サミットを主催するGlobal Fashion Agenda代表 フェデリカ・マキオーニ氏は開会の挨拶で「“架け橋”という言葉は、この2日間で何度も耳にすることになるでしょう。それは、私たちの今と、これから目指す持続可能なファッションの未来をつなぐ象徴です。どうか皆さん一人ひとりが、その未来を築く推進力となってくださることを願っています」と語りかけた。

開会挨拶をするGlobal Fashion Agenda代表 フェデリカ・マキオーニ

ファッション業界の現在と未来の架け橋となる、新たな取り組みが続々!

会場では、以下のようなファッション業界の持続可能性を前進させる素晴らしいニュースが発表された。

  • 持続可能な工場設計──Fashion for GoodとArvind Limitedの新プロジェクトが始動
    Fashion for GoodとArvind Limitedは、インド・グジャラートにて「Future Forward Factories(未来志向の工場)」プロジェクトを立ち上げた。この取り組みは、持続可能なテキスタイル製造のためのオープンソース型の設計ガイドを開発し、それを実際の商業規模で実装できる施設として具現化するものだ。理想論にとどまらず、業界全体が活用できる「実践モデル」としての役割を目指すとしている。
  • 循環型ビジネスの実装に向けて──エレン・マッカーサー財団の最新ガイドが公開
    エレン・マッカーサー財団は、The Fashion ReModelの発表から1年を経て、Scaling circular business models: a guide for fashion leaders(循環型ビジネスモデルを拡大するためのガイド)を公開した。ファッション業界のリーダーが戦略に循環性を組み込み、ビジネス的・気候的利益を実現するための知見とツールを提供する。

  • 繊維から繊維へ──RE&UPが「完全循環型」の認証を業界で初取得
    繊維メーカーRE&UPは、リサイクルコットンとポリエステルを使用した製品で、Cradle to Cradle Certified®(製品の循環認証)を世界で初めて取得した。


サミットへの来場者は約1000人。2日に渡るサミットの会場は多くの参加者が集まった。

ソリューション提供者と出会えるイノベーションフォーラムや、ネットワーキングイベントも

イノベーション・フォーラムでは、大小さまざまな企業が30のソリューション提供者と出会う機会が提供され、世界で初めて循環認証を取得した繊維メーカーRE&UPや、日本を本拠地とする世界最大のファスナーメーカーYKKなどが出展。ガイド付きツアーやカスタマイズされたマッチメイキング・プログラムを通じて、関係者とイノベーターの間では400件以上の紹介やビジネスミーティングが実施され、活発な交流が生まれた。

その他、米サンフランシスコ発スタートアップunspunによる非公開の業界関係者向けディナーや、SOLKによる革新的なバイオサーキュラースニーカーのお披露目など、限定イベントも多数開催。NIKEによる早朝ランニングなどのアクティビティも行われた。

参加者が食事や飲み物を楽しみながら交流し、新たなビジネス関係を築くGFS ソーシャルの様子
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Stories behind 代表/鎌倉サステナビリティ研究所 スタッフ
白石 綾
アパレルブランドで販売や商品企画に携わる中で業界の課題を実感。イタリア在住をきっかけに、特に環境問題との関係に強い関心を抱く。2020年にMilano Fashion Instituteでサステナブルファッションを学んで以来、強い当事者意識を持ち、業界の問題解決に向けた活動を続けている。

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【グローバル・ファッション・サミット2025 リポートVol.2】企業の「利益を生むサステナ」と消費者の「正しい選択」のジレンマ

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