Contents
世界海洋デーとは
世界海洋デーの起源と意義
世界海洋デーは、1992年にリオデジャネイロで開催された地球サミット(環境と開発に関する国際連合会議)において、カナダにより提案されたことが始まりである。その後、海洋環境の重要性に対する認識が世界的に高まり、2008年12月の国連総会で正式に制定された。毎年6月8日を世界海洋デーとし、海洋とその資源の持続可能な管理と保護の推進を目的としている。
この日は、海洋の重要性を再認識し、地球規模での海洋保護活動を促進する日として、世界中で様々なイベントや啓発活動が展開される。世界海洋デーは、単なる記念日ではなく、私たちが海洋に対して責任を持ち、持続可能な未来のために行動するきっかけとなることを目指している。
なぜ今、海洋保護が必要なのか?海の重要性を知る
海洋は私たちの惑星とそこに住む生命にとって、計り知れないほど多くの、そして非常に重要な役割を担っている。地球の表面の実に約71%を覆っている海は、どれほど「すごい」のだろうか。
- 豊かな恵みをもたらす巨大な食糧庫: 約30億人(※1)が主に海から動物性タンパク質を得ている。
- 気候システムを安定させる調整役:
- 人間活動によって大気中に排出されるCO₂の約1/4~1/3(年間約25億トンに相当)を吸収し、温暖化の進行を緩和している。(※2)
- 地球温暖化によって大気中に蓄積された余分な熱の90%以上を吸収し、地上の急激な気温上昇を抑制している。(※2)
- 私たちが呼吸する酸素の供給源: 地球上で消費される酸素の約半分を、主に海の植物プランクトンが光合成によって作り出している(※3)。
- 経済活動と資源の宝庫:
- 国際貿易の大動脈である海上輸送、漁業、観光といった産業を支えている。
- 海底には石油や天然ガス、メタンハイドレート、鉱物資源など、重要なエネルギー資源や鉱物資源が眠っている。これらを合わせた海洋の経済価値は非常に大きい(例:2014年時点で年間2.5兆米ドルと試算されたこともある ※1)。
- 多様な生命を育む最大の生態系: 地球上で最も広大な生態系であり、確認されているだけで数十万種、未発見のものを含めると数百万種ともいわれる多種多様な生物が生息し、豊かな生物多様性を支えている。
海洋は、地球の生命維持システムにおいて極めて重要な役割を果たしている。前述の通り、地球上の酸素の主要な供給源であり、気候変動の緩和にも大きく貢献している。また、世界の何十億もの人々の食料源であり、経済活動の基盤でもある。
しかし、近年、海洋汚染、気候変動、乱獲などの問題が深刻化し、この貴重な海洋生態系は危機に瀕している。世界海洋デーは、これらの問題に対する私たちの意識を高め、解決策を見つけ、具体的な行動を促すためのプラットフォームとしての役割も担っている。
世界海洋デー 2025年のテーマ:「Wonder: Sustaining What Sustains Us」
2025年のテーマは「Wonder: Sustaining What Sustains Us(私たちを支えるものを大切にしよう)」だ。これは、海というかけがえのない存在への感動や畏敬の気持ちを呼び起こし、持続可能な関係を築く大切さを伝えている。6月9日から13日まで、国連主催の国際海洋会議がフランス・ニースで開かれ、世界中の専門家や活動家が集まり、持続可能な海洋保護について最新の知見や取り組みを共有する。
国際海洋会議で特に注目されるのは、①2023年に採択された「グローバル海洋条約」に基づく海洋プラスチックごみ削減のための国際協力と具体的対策、②気候変動がもたらす海面上昇や海水酸性化への対応としての海洋保護区の拡大や持続可能な漁業の推進、③そして各国が新たなコミットメントを示す行動計画の策定だ。
海洋生物多様性の保全や海洋資源の公正な利用、海洋に関わる先住民族の権利保護など、多様なテーマも議論される。
海洋が直面する課題
1.深刻化するプラスチック問題
海洋プラスチック問題は、現代社会における最も深刻な環境問題の一つである。私たちが使っているペットボトルやビニール袋などのプラスチックゴミが、毎年およそ900万トン〜1400万トン海洋に流出していると言われている(2016年時点)。
この量は、対策を講じなければ2040年には年間2300万トンから3700万トンに増加すると予測されている。
これらのプラスチックごみは、海洋生態系に壊滅的な影響を与えている。海洋生物は、プラスチックごみを餌と間違えて摂取したり、プラスチックに絡まって身動きが取れなくなったりすることで、傷ついたり命を落としたりしているのだ。
また、プラスチックごみは、紫外線や波の力によって細かく砕かれ、5mm以下のマイクロプラスチックとなる。マイクロプラスチックは、海洋生物の体内に蓄積されやすく、食物連鎖を通じて人間の健康にも影響を及ぼす可能性が指摘されている。さらに、マイクロプラスチックは、有害な化学物質を吸着しやすい性質があり、海洋汚染をさらに深刻化させる要因となっている。
海洋プラスチック問題において、私たちができる対策は何か。プラスチックごみの発生抑制(リデュース)、製品の再利用(リユース)、リサイクルの推進など、多岐にわたる対策が必要である。私たち一人ひとりが、プラスチックの使用量を減らし、適切に廃棄することで、海洋プラスチック問題の解決に貢献できるのだ。
2.気候変動が引き起こす海洋への影響
気候変動は、私たちの暮らしに欠かせない海に非常に深刻な変化をもたらしている。特に大きな問題が「海水温の上昇」「海洋の酸性化」、そして「海面の上昇」の3つである。
ー海水温の上昇。台風や雨が“極端化”
先に見たように海は地球の余分な熱の90%を吸収するという“冷却装置” の役割を担っている。そのため近年の温暖化により、世界の海水の平均温度も2023年に史上最高を記録してから、連日のように最高記録を更新しているという。(※4)この海水温の上昇が、近年私たちの暮らしを直撃している異常気象の原因のひとつとなっている。海水温が上昇して海から蒸発する水蒸気の量が増えるため、巨大台風や集中豪雨、冬の豪雪など異常気象が起こりやすくなるのだ。
また海水温の上昇は、海の生態系にも大きなダメージを与えている。その代表例が、美しいサンゴ礁で見られる「白化現象」だ。サンゴは動物だが、その体の中には「褐虫藻(かっちゅうそう)」という小さな藻類がたくさん共生していて、サンゴに栄養を与えている。しかし、海水温が高くなりすぎると、サンゴはこの大切な藻類を体から追い出してしまう。すると、サンゴの白い骨格が透けて見えるようになり、これが「白化」と呼ばれる状態だ。この状態が長く続くと、サンゴは栄養不足で死んでしまう。「海の熱帯雨林」とも呼ばれるサンゴ礁は、多くの魚たちの住処や隠れ家、そして産卵場所になっている。そのサンゴ礁が失われることは、そこに住む生き物たちが行き場を失い、海の豊かな生態系全体が崩れてしまうことを意味する。
ー海洋の酸性化:貝や甲殻類などがいなくなる?!
気候変動の原因である二酸化炭素(CO₂)は、海にも大きな影響を与えている。大気中のCO₂が増えすぎると、その一部が海水に溶け込む。CO₂が海水に溶けると、本来弱アルカリ性の水質は少しずつ中性に傾いていく。これが「海洋酸性化」だ。この海洋酸性化が起こると、カキなどの貝類、エビやカニなどの甲殻類など炭酸カルシウムを主成分とする生き物たちが、殻や骨格を作りにくくなったり、場合によっては溶けやすくなったりする。また、オキアミなどの動物プランクトンにとっても深刻な問題だ。プランクトンは、海の食物連鎖のいちばん下にいる、いわば「土台」のような存在。そのプランクトンが減ってしまうと、それを食べる小魚が減り、さらにその小魚を食べる大きな魚も減る…というように、海全体の生態系に影響が及ぶ可能性がある。
世界の科学者でつくる国連のIPCCが作成した報告書によると、このままのペースでCO₂が排出され続ければ、海洋表面の平均pHは今世紀末までに最大0.3低下すると予測。それが現実となれば、海の生態系に壊滅的な影響を与える可能性があると警告している。(※5)
ー海面の上昇:脅かされる人々の生活
地球温暖化は、海の水位そのものを上昇させている。海面が上昇すると、海抜の低い島国や沿岸部の地域では、満潮時や台風の際に浸水や高潮の被害が起こりやすくなる。砂浜が失われたり、大切な生態系が壊れたりするだけでなく、そこに住む人々の生活が脅かされ、移住を余儀なくされるケースもすでに出始めている。
これらの海への影響を食い止めるためには、根本的な原因である温室効果ガスの排出を、世界全体で大幅に削減していくことが不可欠である。
3.持続不可能な漁業と乱獲
持続不可能な漁業と乱獲は、海洋資源の枯渇を招き、海洋生態系のバランスを崩す深刻な問題である。国連食糧農業機関(FAO)によると、世界の海洋魚類資源の約3分の1以上が持続不可能なレベルで漁獲されている。乱獲は、特定の魚種だけでなく、その魚種を捕食する生物や餌とする生物にも影響を与え、食物連鎖全体を混乱させる。
例えば、ある特定の魚種が乱獲によって激減すると、それを餌としていた上位の捕食者の個体数が減少し、逆にその魚種が捕食していた下位の生物が異常繁殖することがある。このような食物連鎖の乱れは、海洋生態系全体の健全性や回復力を損なう。
また、トロール漁(底引き網漁業)の一部など、破壊的な漁法は、海底の生態系を物理的に破壊し、サンゴ礁や海草藻場といった重要な海洋生物の生息環境を奪う。持続可能な漁業を推進するためには、科学的根拠に基づいた漁獲量の設定と管理、混獲(対象外の生物が網にかかること)を減らす漁具の改良、生態系に配慮した漁法の選択、海洋保護区の設定と効果的な管理など、多角的な対策が必要である。
消費者は、MSC(海洋管理協議会)認証やASC(水産養殖管理協議会)認証など、持続可能性を担保する認証ラベルが付いたシーフードを選ぶことで、資源の保護と責任ある漁業・養殖業を支援することができる。
海のごみから生まれた、再生素材でできたサステナブルアイテム
アニエスベー×ヘリーハンセン「ミューロン」
アニエスベーとヘリーハンセンのコラボ製品には国内の漁港で回収された廃棄漁網を原料とした100%リサイクル素材「MURON(ミューロン)」が使われている。今回のコレクションでは、1990年代のセーリングジャケットをデザインソースにしたウインドブレーカーが登場。軽量でしなやかな生地感が特徴で、環境負荷の低減と機能性の両立を目指している。
モーメントオブオーシャン「Kesenmola」
今年新しく立ち上げられた、ライフスタイルブランド「Moment of OCEAN(モーメントオブオーシャン)」。廃漁網を回収・再生するamu株式会社のリサイクルナイロン素材「amuca® PA」を使ったアイウェアを発売。2つのラインアップ、「Kesenmola」と「Kesenray」はどちらも廃棄漁具60%と植物性樹脂40%を使用している。
エコアルフ「CONDEニットスニーカー」
エコアルフの人気定番モデル「CONDE」をさらにサステナブルに。海洋プラスチックをアップサイクルした、ブランド独自のアップサイクル糸「OCEAN YARN(オーシャンヤーン)」が使われている。ニット素材のため、軽やかで通気性に優れていて、心地よく足にフィット。
パタゴニア「ネットプラス」
パタゴニアの支援により、米国「Bureo Inc.(ブレオ社)」が開発した100%漁網由来のリサイクル素材、「NetPlus®(ネットプラス)」。パタゴニアの定番アイテム「バギーズ・ショーツ」や「ダウン・セーター」を始め、数多くの製品に使用されている。この素材は、第三者によるサプライチェーン監視によって、回収された場所までトラッキングすることも可能。
ロンハーマン 「RANGE OF LIGHT(レンジ オブ ライト)」コレクション
快適で上質なアクティブウェアを展開するロンハーマンのオリジナルレーベル「RANGE OF LIGHT(レンジ オブ ライト)」のいくつかのアイテムに「NetPlus®(ネットプラス)」を使用。NetPlus®を使用したすべてのアイテムには、素材の詳細がわかるQRコード付きのブランドタグが付いており、日本での製造を担うEllange(エランゲ)に関する情報も紹介するなど、製品の背景が消費者に伝わるよう工夫されている。
プラダ 「Re-Nylon」コレクション
プラダは、イタリアの素材メーカーAquafil社が開発した再生ナイロン「Econyl®(エコニール®)」を採用し、独自のサステナブル素材「Re‑Nylon」として展開している。Econyl®は、海洋に漂う漁網などのプラスチック廃棄物を原料とし、バージンナイロンに劣らぬ品質を持ちながら、繰り返しリサイクルが可能である。現在、プラダはすべてのバージンナイロン製品をRe‑Nylonに切り替えている。
海を守るために私たちができること
プラスチック消費を減らす
プラスチック消費を減らすことは、海洋プラスチック問題の解決に向けた個人ができる最も重要な行動の一つである。日々の生活の中で、使い捨てプラスチックの使用をできる限り減らすよう心がけたい。
例えば、マイボトルやマイカップ、エコバッグを常に持ち歩き、レジ袋やペットボトル飲料、使い捨てカップの使用を避けることができる。また、過剰包装を断ったり、シャンプーや洗剤などは詰め替え製品を選んだりすることも有効である。プラスチック製のストローやカトラリーの使用を控え、繰り返し使えるステンレス製や竹製のものを選ぶようにする。
歯ブラシやヘアブラシなどの日用品も、竹製や木製などの代替素材の製品を選ぶことができる。プラスチック製の食品保存容器の代わりに、ガラス製やステンレス製の容器を使用することも良い選択である。これらの小さな心がけの積み重ねが、海洋へのプラスチック流出量を減らし、海洋環境の保全に大きく貢献する。
サステナブルなシーフードを選ぶ
サステナブルなシーフードを選ぶことは、海洋資源の保護と持続可能な漁業・養殖業を支援する上で非常に重要である。前述のMSC(海洋管理協議会)認証やASC(水産養殖管理協議会)認証などのエコラベルは、その水産物が環境に配慮し、適切に管理された漁業または養殖業によって生産されたものであることを示している。
MSC認証は、天然の水産物を対象とし、資源の持続可能性、生態系への影響、漁業管理の有効性の3つの原則に基づいて評価される。ASC認証は、養殖された水産物を対象とし、環境への負荷低減、社会的な責任(労働環境や地域社会への配慮など)に関する基準に基づいて評価される。
これらの認証マークが付いたシーフードを積極的に選ぶことで、消費者は資源の枯渇を防ぎ、海洋生態系への負荷を軽減する漁業者や養殖業者を応援することができる。また、地元の漁師や小規模な生産者から直接購入することも、トレーサビリティ(追跡可能性)が高く、輸送距離が短い(フードマイレージが小さい)ため、持続可能な漁業を支援する方法の一つとなり得る。さらに、資源量が比較的豊富で、生態系への影響が少ないとされる「旬の魚」や、食物連鎖の下位に位置する小型の魚を選ぶことも、賢明な選択と言えるだろう。
ビーチクリーンに参加する
ビーチクリーン(海岸清掃)活動に参加することは、海洋ごみの現状を目の当たりにすることで、参加者自身の環境意識を高め、ごみ問題に対する理解を深める効果もある。
多くの環境保護団体、地域コミュニティ、企業などが、定期的にビーチクリーン活動を企画・開催しており、個人でも気軽に参加することができる。参加する際は、安全に配慮し、主催者の指示に従い、必要であれば軍手やごみ袋などを持参する。拾い集めたごみは、適切に分別し、処理することが重要である。
ビーチクリーン活動を通じて、どのような種類のごみが多いのか、それらがどこから来たのかなどを考えることは、私たち自身の消費行動や廃棄習慣を見直すきっかけにもなる。家族や友人と一緒に参加することで、楽しみながら環境保護について学び、連帯感を育む機会にもなるだろう。
世界海洋デーとSDGs目標14「海の豊かさを守ろう」
SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」との関連
世界海洋デーは、SDGs(持続可能な開発目標)の目標14「海の豊かさを守ろう(Life Below Water)」の達成に大きく貢献する国際的な啓発デーである。SDGs目標14は、「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」ことを目指している。
具体的には、あらゆる種類の海洋汚染の防止と大幅な削減、海洋及び沿岸の生態系の持続的な管理と保護、海洋酸性化の影響の最小化と対処、持続可能な漁業の実現、海洋保護区の拡大、開発途上小島嶼国や後発開発途上国への経済的便益の増大、海洋に関する科学的知識の向上と海洋技術の移転などをターゲットとして掲げている。
世界海洋デーは、これらの目標達成に向けた一般市民の意識を高め、政府、国際機関、企業、市民社会、研究機関など、あらゆるステークホルダーによる具体的な行動を促すための重要なプラットフォームとしての役割を果たす。毎年設定される世界海洋デーのテーマは、SDGs目標14が取り組むべき喫緊の課題に光を当て、国際社会全体での協調行動を促すものである。
企業による海洋保護の取り組み
近年、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営への関心の高まりとともに、多くの企業が海洋保護に向けた様々な取り組みを積極的に展開している。これらの取り組みは、環境に配慮した製品やサービスの開発、サプライチェーンにおけるプラスチック使用量の削減、海洋プラスチックごみの回収・リサイクル技術の開発、海洋保護活動を行うNPO/NGOへの資金的・技術的支援、従業員の環境意識向上プログラムの実施など、多岐にわたる。
例えば、漁業関連企業が持続可能な漁業認証の取得を推進したり、食品メーカーが海洋プラスチックを削減した包装材を導入したりする事例がある。また、ファッション業界では、リサイクルされた海洋プラスチックを原料とした衣料品を開発する動きも見られる。さらに、企業が主体となって、あるいは市民団体と協力して、ビーチクリーン活動やサンゴ礁保全プロジェクトを実施するケースも増えている。
企業が海洋保護に取り組むことは、地球環境への貢献という社会的責任を果たすだけでなく、企業価値の向上、ブランドイメージの強化、新たなビジネスチャンスの創出、そして従業員のエンゲージメント向上にもつながる。消費者は、環境に配慮した製品やサービスを提供する企業を選び、その取り組みを支持することで、企業の海洋保護活動を後押しすることができる。企業と消費者が一体となって海洋保護に取り組むことで、より健全で豊かな海の実現に貢献できるだろう。
まとめ
未来の海を守るために
世界海洋デーは、私たちにとってかけがえのない海洋の重要性を再認識し、その保全に向けた行動を世界全体で考えるための大切な機会である。海洋は、地球上の生命を支える基盤であり、私たちの暮らしや経済活動と深く結びついている。しかし、本稿で見てきたように、海洋汚染、気候変動、乱獲といった深刻な問題に直面し、その生態系は急速に劣化している。
未来の世代に豊かで美しい海を引き継ぐためには、私たち一人ひとりが海洋環境に対する意識を高め、持続可能な社会の実現に向けて具体的な行動を起こす必要がある。プラスチック消費を削減する、サステナブルなシーフードを選択する、ビーチクリーン活動に参加するなど、日々の生活の中でできることから始めることが重要である。
また、海洋保護に積極的に取り組む企業を応援し、環境に配慮した製品やサービスを選ぶことも、間接的に海を守る行動につながる。世界海洋デーを一つのきっかけとして、海洋が抱える問題について学び、私たちに何ができるのかを考え、そして行動に移していこう。未来の海を守るために、今、私たち一人ひとりの選択と行動が求められている。
※1 世界経済フォーラム (World Economic Forum) の記事 “Three ways we can save the world’s oceans” (2014年6月10日発行) より。(https://www.weforum.org/stories/2014/06/three-ways-can-save-worlds-oceans/)
※2 タラ オセアン ジャパン(一般社団法人)ウェブサイト「海洋と気候変動」ページより。 (https://jp.fondationtaraocean.org/news-education/ocean_and_climatechange/)
※3 National Ocean Service, NOAA (アメリカ海洋大気庁) “How much oxygen comes from the ocean?” ページより。 (https://oceanservice.noaa.gov/facts/ocean-oxygen.html)
※4 BBC https://www.bbc.com/japanese/articles/cqvn6e9gdl0o
※5 日本財団 https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/91843/ocean_acidification