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ストーリー|2025.05.09

国産のオーガニックコットンを着る未来を、一緒につくる。参加型プロジェクト「コットンバンク」がこの春スタート

オーガニックコットンを日本に初めて輸入した企業が、今、国内での綿栽培に挑戦している。もし、自分の育てた綿が服になったら?そんなワクワクする体験ができるプロジェクト「コットンバンク」がこの春、スタート。

原稿:上杉沙樹

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日本の大地で綿を育てる、アバンティの挑戦

「国産のオーガニックコットン」と聞いて、ピンとくる人は少ないかもしれない。オーガニックコットンといえば、インドやアメリカといった海外産のイメージが強く、実際に日本で使われている綿花のほぼ100%が輸入品だ。「そもそも日本でコットンって育つの?」と疑問に思う人もいるだろう。そんな常識を覆し、日本でも綿花が育つ未来を見せてくれているのが、オーガニックコットンブランド「PRISTINE(プリスティン)」を展開するアバンティ。

かつて日本では、明治時代初期まで各地で綿花栽培が盛んに行われていた。国内需要をある程度まかなえるほどだったという。その国産綿をもう一度取り戻したいという思いから、アバンティは全国各地の人たちと連携し、コットンづくりに挑戦している。今回スタートした「コットンバンク」は、そうした国産綿復活の取り組みに、消費者自身が参加できる新たな仕組みだ。

日本の繊維自給率を0%から1%に引き上げる

株式会社アバンティは、オーガニックコットンを通じて持続可能なライフスタイルを提案する企業であり、日本で初めてオーガニックコットンを輸入した草分け的存在だ。今年で創業35年を迎える同社は、次なる挑戦として「国産綿の復活」と「繊維自給率の向上」に取り組んでいる。

2011年の東日本大震災をきっかけに、被災地の耕作放棄地で綿花を育てることからスタートした「国産綿復活プロジェクト」。 私たちが日頃手にする一枚の服が気候変動や地球の未来とつながっていることに向き合い、健康な土壌を取り戻しながら綿を育て、その綿から纏う服をつくることを目指す。

さらに、日本の繊維自給率を0%から1%へと引き上げることも大きな目標の一つ。そのために、全国の農家と連携して国内で綿を育てる「アバンティコットン倶楽部」を立ち上げた。2024年度は全国37の圃場で綿花の栽培を行い、2025年度はその数が40圃場に拡大する予定だ。

2024年の収穫量は498kg。Tシャツに換算すると約2500枚(目安:約200g前後)に相当する量だ。記録的猛暑など自然環境の影響を受けながらも、収穫量を安定して確保している。アバンティは、2030年までに自社製品の2%を国産綿でまかない、2050年までに国産綿と再生繊維の使用比率を50%に引き上げるという明確な目標を掲げている。

2024年に栃木県の畑で収穫されたコットン

誰もが参加できる「コットンバンク」

そんな国産綿回帰への動きに誰もが関われる仕組みとして、2025年5月に始動したプロジェクトが「コットンバンク」。自宅の庭やプランター、畑などで育てた綿を指定店舗に預けると、重さに応じてスタンプがもらえ、集めたスタンプは国産綿を使った特別な製品と交換できる仕組みだ。集まった綿は、PRISTINEの服の一部として生まれ変わる予定。「自分の育てた綿が服になる」——そんなワクワクする体験を通じて、日々着ているコットンの背景にも目を向けてほしいという思いが込められている。

綿の栽培は意外と身近で、プランターでもOK。根を深く張る特性があるため、大きくて深めの鉢を選ぶなど、丁寧な育て方のガイドも用意されている。参加には農薬不使用や有機肥料による栽培といった栽培ルールもあるので、事前にチェックしておこう。

▶綿の栽培方法

 ▶ 綿花栽培に関するお約束書

2025年時点では、東京・京都・熊本・高知にある全国6カ所のショップでスタート。育てた綿だけでなく、着なくなったプリスティン製品の回収でもスタンプを貯めることができる。

2023年のコットン収穫祭の様子。地域の人が集う憩いの場となった。

DoCoTToN」やクラフトビールなど、新たな展開も

2025年からは、国産綿を一部使用したコレクション「DoCoTToN」がスタート。Tシャツや靴下などで、実際に日本各地の畑で栽培された綿が製品化されている。さらに副産物である綿の花から酵母を採取し、クラフトビールの醸造に活用するなど、地域と循環型経済を結ぶ新たな試みも進行中だ。コットン畑で汗をかいた後に、コットンからできたクラフトビールで乾杯、そんな未来が待ち遠しい。

5月はコットンの種まきシーズン。そして、5月10日は「コットンの日」。
今年の春は、自ら綿を育て、未来の衣服に関わるという新しい循環に、参加してみては?

コットンバンク特設ページ
https://pristine.jp/blogs/feature/cotton_bank

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