ブログ|2025.04.10

サステナブルファッションは、お金持ちのもの?

 

環境や人にやさしいファッションに興味はあるけれど、「ちょっと手が出ないかも」と感じたこと、ありませんか? サステナブルファッションが高級に感じるようになった背景をふりかえりながら、環境負荷も低く、お財布にもやさしいサステナブルファッションの楽しみ方を探ってみよう。

一般社団法人unisteps

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物価高の中、出費が気になる今日この頃。今回は、サステナブルファッションにかかる「お金」について考えてみます。

服の値段はここ30年で急降下、結果「高い」サステナブルファッションに?

まず、服の値段が今までどのように変わってきたのかみてみましょう。

産業革命以前、服は手作りが主流で、材料や労働時間に見合った価格が設定されていました。綿畑の世話から始まり気の遠くなるような作業を経て形になった服は当然、価格も高く大切にされるものでしたが、20世紀に大量生産が普及し、服の値段は下がります。

そして1990年代後半にファストファッションの登場です。これにより服の平均価格はさらに劇的に低下し、それに伴い短期間での買い替えが一般的になりました。結果、90年代に比べ現在では服の単価は半分以下になっています。

出典:総務省 ”家計調査”

サステナブルファッションの存在意義の一つは、ファストファッションの様々な問題ーたとえば低価格化によって気軽に捨てられるようになったことで発生したゴミ問題などーを解決すること。ですので、ほとんどの場合、注ぎ込まれた資源や労力に対して安すぎる価格設定にはなっていません。もちろん高すぎると買える人が限られてしまいますので、微妙なバランスをとりながらの値段ぎめとなりますが、ひとつひとつのアイテムの価格で比べると、サステナブルと呼ばれるブランドの商品は、今多くの世代にとって主流となっているファストファッションに比べれば当然高くなるでしょう。

アイテムを買うだけじゃない、サステナブルファッションの実践

ただ、それでサステナブルファッションは高いと決めつけてしまうことは、サステナブルファッションを実践すること=自然環境や人権に配慮がされたアイテムを購入することという、一面だけを見た前提に基づく考え方です。

サステナブルファッションの実践には、そのようなアイテムを購入することももちろん含まれます。しかしそれよりも、手持ちの服を長く着る、古着を買う、服をケアし、壊れたらリペアやアップサイクルをして愛着を育むなどといった「服との関わり方」を変える方が、かかるお金も少なく済む上に、実はインパクトが大きいのです。*

想像力とアイディア次第でおしゃれはもっと楽しめる

そういった服との関わり方や意識の変革は、新品の服を買うのに比べて安上がりなだけではなく、暮らしへの満足感を感じさせてくれたり、お直しやアップサイクルアイディアといった、自分でも気づかなかったクリエイティビティを発揮させてくれたりすることも。

もちろん、余裕のあるときには素材や生産背景にこだわりがつまったサステナブルなアイテムに投資をするのも、毎日を豊かにしてくれるでしょう。(なお、値段が高かったとしても、愛着をもって長く着れば着用あたりのコスト(Cost per wear)は結局安くなるかもしれません。)でもそれが難しいからと言って、「サステナブルファッションはお金持ちのもの」と諦めてしまうのはもったいない。

どうしたら服をもっと愛せるか、今なんとなく出番がないのなら、どうしたら1軍復帰するかなど「服との関わり方」を柔軟に考えるということは、衣服というだれもが避けて通れない題材を、日々の暮らしの中で楽しみつくすことなのかもしれません。サステナブルなアイテムを買うだけじゃないサステナブルファッションは、お金をかけなくてもできるおしゃれの楽しみといえるのではないでしょうか。

*”Unfit, unfair, unfashionable” Hot or Cool Foundation レポートによると、自然環境への負荷を減らす策として1着を長く着る、洗濯や乾燥を控える、より良い捨て方をする、または古着を買うなどがありますが、「そもそも新品の服を買わない」ことで達成されるメリットは、他の策をすべて実施した合計の2.7倍ものインパクトを持ちます。

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本記事は日本のユーザーの方のために、「多様で、健康的なファッション産業をつくる」ことをミッションに活動する一般社団法人unistepsが執筆しています。

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マルティン メンド 有加
「多様で、健康的なファッション産業をつくる」をミッションに掲げる一般社団法人unisteps理事。元INHEELS代表。サステナブルファッションをライフワークに、ファッション・自然・社会の交差点で気になる問いを言葉にしている。いちジャズファンとして、グルーヴとスウィング感のある文章を目指す。

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