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ブログ|2025.04.04

【Shift Changer】財前 雅が、大好きなブランドDOKKA vividに会いに行った!

Shift Cの公式アンバサダー「Shift Changers」として活動する現役大学院生の財前 雅による連載。ときに気になるサステナファッションの発信地に足を運び、ときに注目しているブランドを紹介していく。第3回は友人のデザイナーユニット「DOKKA vivid」の夏 明豊&菅内のど佳がちょうど原宿でポップアップを開いていると聞いて、会いに行った。

撮影:山下陽子 原稿:吉野ユリ子

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財前 雅
早稲田大学大学院在籍、学校心理学専攻。2024年11月、Shift C公式アンバサダー「シフトチェンジャー」就任。ビーチクリーンを行う学生団体「NAMIMATI」アドバイザー。「コーチトピア」コミュニティメンバー。

DOKKA vivid
夏 明豊と菅内のど佳によるデザインユニット「DOKKA vivid」。幼馴染のふたり。ともに大阪文化服装学院在学中にブランドを設立。翌年Asia Fashion Collectionにてグランプリを獲得し、2022年のNYコレクションに参加。‍その後スタイリスト向けプレスルーム「SPICE ROOM powerd by OIF」も運営。https://dokka-vivid.webflow.io

DOKKA vividは日本生まれ中国籍で、5歳まで日中間を行き来していたという夏 明豊と、日本人ながらインターナショナルスクールや中華学校に通うという国際的なバックグラウンドをもった菅内のど佳による、ミックスカルチャーな背景からファッション的インスピレーションを生み出すアップサイクルブランドだ。ヴィヴィッドな民族柄と近未来的なデザインが人気で、古着のアップサイクルを得意とする。たとえば、他ブランドの余剰品、スリーピングバッグやスニーカーといった意外なアイテムまでも衣装製作に活かし、再生ペットポトル素材を3Dプリンターで造形したアクセサリーなども手がけている。

「コロナ禍で授業がなくなって、アップサイクルのマスクを作りました」

左からShift Changersの財前 雅、Dokka Vividの菅内のど佳、夏 明豊

財前 雅(以下 財前) ふたりとは「コーチトピア」でも「RUMORME」(クリエイティブインフルエンサープロジェクト)でも一緒でしたよね。最近は水曜日のカンパネラの詩羽ちゃんの衣装とか、去年の紅白のSuperflyさんの衣装を作ったりもしていて、大活躍ですよね! 今日は改めて、もっとふたりのことを多くの人に知ってほしいと思って招きました!

夏 明豊(以下 夏) チェックしてくれてるのうれしい(笑)。Superflyさんの衣装は、過去の衣装からアップサイクルしたドレスなの。最近では先日アカデミー賞で土屋太鳳さんがレッドカーペットを歩いた振袖のデザインもDOKKAでさせていただいたんです。

財前 見ました!ほんとにきれいだった。早速だけど、まずはふたりがユニットを組むことになったきっかけを改めて聞かせてください。

菅内 私たちは神戸の小学校のときからの幼馴染で、一緒にファッションデザイナーになろうと話していたの。それでふたりで大阪の服飾学校に進み、1年生のときに、神戸を盛り上げようと、ふたりでファッションショーを開いたんです。

財前 自分たちで企画したんですか?

 そう。服飾学生になったから、もう服作れる、イェイ!服作ろう!と。それでメリケンパークの植物レストランを貸し切ってファッションショーをしたんです。ブランド名もそのとき、マックで考えました。のどかの「DO」と夏の「KA」をくっつけて、ふたりともヴィヴィッドなファッションが好きだったので「DOKKA vivid」に。

財前 それを服飾学校1年生のときに実現したっていうのがすごい。

菅内 そう。まだSNS集客の時代じゃなかったから、フライヤーを1000枚くらい刷って、いろんなところに置いてもらって。

財前 でもそれも全部実費ですよね? モデルやヘアメイクさんは?

菅内 やりたいという学生を募って、お金は企画書を作って協賛を募って。いろんな大人の方たちに協力していただきました。

財前 その行動力が素晴らしかったから。

菅内 その後、学業との両立が難しくて一度活動はストップしたんですが、3年生のとき、コロナ禍で授業がなくなったこともあり、また将来のことを真剣に考えなくてはいけない時期になって、派手なマスクを作る活動をスタートしました。無料で販売できるアプリ「BASE」が登場したので、2020年は1年間、ずっとマスクを作ってBASEで売って。

財前 マスクって、時代に合ったプロデュースですよね。

 実はその頃ふたりで、オンラインのビジネススクールで、マーケティングやブランディングの勉強をしたの。自分たちの作りたいものを作る方法は手にしたけれど、ブランドをやるなら、それをどうやって届けるかを学ばなくてはと。毎日4時間くらい授業があって、その後もふたりでディスカッションして。

財前 これも初情報!

 ファッションが好きな気持ちをどうやったら皆さんに届けられるかという、クリエイティブとビジネスを考える時期でしたね。「Spice for your Life」というコンセプトを作ったのもその頃。マスクはもちろん、ビジネス的戦略もあったけれど、それよりも当時は世の中が暗いから、口紅が塗れない代わりにアクセサリー感覚でつけられる楽しいマスクを作ろうと考えたんです。そこにちょうど「サステナブル」っていうキーワードも出てきて。

財前 2020年くらいになるとSDGsがあらゆる所で聞かれるようになりましたね。

菅内 私たちはファストファッションが出てきて、それが衰退するのも見た世代。そこにマスクが貴重な時代になったのも加わって、アップサイクルのマスクを始めたんです。

 服飾学生になってからファミリーセールに呼ばれるようになって、売れ残ったファッションがゴミ山みたいになっているのを見るようになって、これって本当に自分たちが目指す未来なの? っていう疑問が湧いたんです。ファッションは大好きだけど、こういう未来じゃない、新しいものを作ろう、と。

鮮やかな色のアイテムを組み合わせるのが得意なDOKKA vividのふたり。色合わせの参考にしたい。

「ファッションコンテストで優勝しても、そこはゴールじゃなかったんです」

財前 そこから今回のSPICE ROOMに進んだのは? SPICE ROOMはDOKKA vivid以外のブランドも扱うスタイリスト向け衣装リース業ですよね。

菅内 マスクのあと、卒業を控えてもう一度服を作ろう、という話になったんです。それでアップサイクルのコレクション。それを若手ブランドの登竜門「Asia Fashion Collection」に応募して、グランプリをいただいたんです。それで副賞としてNYコレクションにも出させていただいて、それをきっかけに楽天ファッションウィークにも出て…。

財前 すごい華のある卒業ですよね?

菅内 そこまでは良かったんだけど、ふと現実的に、私たちこれからどうするの?ってなって。私は発信を学びたくてマーケティングの会社に入りました。楽天ファッション・ウィークの4日後に東京に出て、黒髪に染めてスーツ着て、会社員に。

財前 会社員してたの、全然知りませんでした!

菅内 今までいたクリエイティブの世界とは真逆の人に囲まれてマーケティングの部署に入ったのですが、何をやってもうまくいかずで。あっという間に心と体がおかしくなって、3ヶ月後くらいに辞めたんです。都心にあったその会社のすぐそばに部屋を借りていたのにどうしよう、と焦りました。幸い東京コレクションの発表直後で、服のリースの依頼はきていたので、手探りで貸し出しをしたり、スタイリストの方に見ていただくというのを始めたんです。

 一方私は卒業後、この先の人生をどうしようかな?となってしまい、ニートをしていたんです。コレクションに出したらファッションデザイナーとして食べていけるのかと思ったら全然そうじゃなかった。今まで自分が出たコンテストもショーも全部大人が用意してくれた舞台だったと気づいて。そんななか、DOKKAとして7月に伊勢丹でポップアップをするというのが決まって。

財前 うわ、すごい。向こうから声がかかったんですか?

菅内 4月にバイヤーさんとお話する機会があったのですが、私はもう会社員として悩んでいたので、このチャンスを掴み取らなくては、と全力でプレゼンしました。

 私もその頃、上京するために就活したんだけど、最終面接で「うちの会社で何をしたいですか?」って聞かれたときに答えられなくて。それは自分のやりたいことは全部DOKKAでできるからだと気づいたから。それで翌日、役所に個人事業主届を出しました。

財前 行動力が、素晴らしすぎる。

 でも、伊勢丹は伊勢丹で大変だった。初めて、高品質・安定供給できる生産ラインが必要になって、工場に依頼したんです。うちのコレクションは古着で1点物だからその柄をプリントしてレプリカを作って売ったのですが、不慣れな部分もあって、かなりの手間とコストがかかる生産方法をとってしまって、何がしたいんだっけ?っていうもやもやも生まれて。

菅内 一方、その頃リース業は安定的に数字が出ていたんです。伊勢丹出店資金も、リースのお金で賄っていた。だからこれをきちんと仕組み化しよう、とSPICE ROOMを立ち上げました。学校を卒業してちょうど1年後でしたね。

「リースというスタイルはデザインも消費されず循環する。それが嬉しい」

財前 じゃあ狙って立ち上げたというより、必要から始まっていたんですね。

 切羽詰まって、自分の身近なところにあるヒントを拾い上げていたんです。ただ、伊勢丹ではお客様に届けられる喜びと同時に、届けたら終わっちゃう寂しさも味わったんです。一方リースは、届けても返ってきて、また違う方にお届けしてまた戻って来るっていう、その循環が自分たちのやりたいスタイルだな、と。それでDOKKAだけじゃなく他の子も入れて、5ブランドでスタートしました。リースを始めたときに少し違うテイストのものを求められることも多かったので、それなら他の子を巻き込むのもいいんじゃないかと。働きながらブランドをやっている子も多かったから、新作をどんどん作れなくてもブランドを知ってもらえる機会をシェアできたほうがいいな、って。

財前 みんなでシェアしようという仕組みが素敵。

菅内 SPICE ROOMは、業界と、新星の若手クリエイターたちとをつなぐハブスポットにしたい。ここに服を置くことでいろんな人に見てもらえて世界に飛び立てる場所、となったらいいなと思うし、業界にもSPICEを与えられる場になる。「絶対行ける!」っていう謎の確信がありました。それで母校に相談して、卒業生の作品を中心に置けば学校のPRにもなるから、と出資もしてもらったんです。

SPICE ROOMで取り扱うロリータブランドMorphoとのコラボ作品は、古着を素材にDOKKA vividのプリントを施したもの。甘くなりがちなロリータをかっこよく着こなせると反響を呼んだ。

財前 後輩たちにも、すごく目標になりますよね。ファッションデザイナーとしての生き方にも、「こういうやり方があるんだ」っていう事例を見せられるのはすごいと思う。

 みんな卒業展示で作った渾身の一作が、押し入れに眠っているんです。そういう服を大人は「日常で着られないから売れない」って言うけど、リースなら、尖っていれば尖っているほど喜ばれる。そこなら需要と供給がマッチするっていうことがわかって。今回の東急プラザ表参道5階LOCULで開催したSPICE ROOMのイベントも、お披露目することで、実際にこういうふうにやってるんだ!と何かヒントになればいいなと思っています。

菅内 水曜日のカンパネラの詩羽ちゃんとか、去年の紅白のSuperflyさんの衣装など、衣装製作という仕事も広がっています。またそこから派生して着物の柄のお仕事もいただいて、先日アカデミー賞で土屋太鳳さんがレッドカーペットを歩いた振袖のデザインもDOKKAでさせていただいたんです。衣装製作はDOKKAへの依頼もあるし、SPICE ROOMを通して他のブランドさんへの依頼が来ることもあります。こういうお仕事の還元もちょっとずつできていますね。

過去のライブ衣装を分解・アップサイクルし、「すべての色を混ぜたら黒になる」というコンセプトのもと生まれた一着。Superflyが紅白で「Beautiful」を歌唱した際に着用。左からstylist:@eieioieie DOKKAvivid designer:@nodoka_0809 superfly:@superfly_shiho DOKKAvivid desiner:@akiho2312

財前 服自体がアップサイクルであるだけでなく、さらにリースというスタイルや、クリエイターと業界をつなぐという仕組みが組み合わさって、いろんな点で循環ができてるんですね。

菅内 これは全部、会社のパーパス、「LOVEの気持ちをもってHAPPYな循環を作り世の中に新しい選択肢を提案する」というのにつながっているんです。 “サステナファッションやらなきゃ”でも“売らなきゃ”でもなく、まずLOVEがあって、そのうえでみんながHAPPYになるものでなくては。

財前 素敵! 今日は改めて詳しく聞けて良かった!すごく刺激になりました!

リースだけではなく、販売用のアイテムも。プリントの工程では水を必要としない方法を採用している。

【インタビューを終えて…】

サステナブルとファッションとビジネスのどこにも妥協しない姿勢に拍手!

「今までブランドの経緯は聞いていたけれど、アイテムもふたりも明るくて華やかだから、なんとなくずっと楽しくやってきたのかと思っていたら、すごく苦労してしんどい思いをしてここまで来たんだとわかりました。ファッションとして尖っていること、サステナブルであること、ビジネスとして成立することの3つを妥協せずに頑張ってきたんだということが伝わって、改めてとても楽しいインタビューの時間でした!」(財前)

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