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存在感を放つ真っ赤なスーツは「アレキサンダー・マックイーン」
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2023年1月、第76回英国映画テレビ芸術アカデミー賞(BAFTA)に出席したキャサリン妃。この日、ウィリアム皇太子とともに登場した彼女が選んだのは、「アレキサンダー・マックイーン」の鮮やかな赤のスーツ。パワーショルダーが印象的なジャケットにスリムなパンツを合わせ、「ジャンヴィト ロッシ」のパンプスと「ミュウミュウ」のクラッチバッグを同じ赤で統一。エレガントさと力強さを兼ね備えたスタイリングで、会場の視線を集めた。
同年5月、戴冠式の祝賀コンサートでもこのスーツを着用し、「ヴァン クリーフ&アーペル」のアルハンブラコレクションのネックレスとイヤリングでコーデを仕上げていた。キャサリン妃が「アレキサンダー・マックイーン」を愛用するのは、サラ・バートンのデザインだけでなく、ブランドのクラフツマンシップやストーリーに共感しているから。彼女の40歳の誕生日には、過去のコレクションを基に既存の素材を再利用したサステナブルなカスタムドレス3着を着用した。
リサイクル素材を用いた「ヴェジャ」のスニーカーでカジュアルに
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公務で美術館を訪れる際には、カジュアルなスタイルを取り入れることが多いキャサリン妃。2021年6月にロンドン自然史博物館を訪れた際は、「クロエ」の鮮やかなピンクのジャケットを主役に、「ローレン ラルフ ローレン」の半袖トップス、「アンド アザー ストーリーズ」のデニムを合わせたコーディネートに。「ヴェジャ」のスニーカーをプラスし、軽やかな印象に仕上げた。
「ヴェジャ」は、メーガン妃も愛用するサステナブルスニーカーブランド。23年5月にイギリスの「デイム・ケリー・ホームズ・トラスト」を訪問した際や、ロンドンスタジアムで開催されたイベントに参加した際など、さまざまな場面で着用しており、かなりお気に入りの一足と見られる。
「ヴェジャ」はフェアトレードに基づく透明性のあるサプライチェーンを持ち、リサイクル素材やエシカルに調達された素材を使用している。Shift Cでの評価は「良い」となっている。
また、H&Mグループのサステナブルコンセプトブランドとして誕生した「アンド アザー ストーリーズ」は、2030年末までに100%持続可能な素材の調達・リサイクルを目指している。持続可能な素材の調達については、すでに90%を達成しており、カシミアやアルパカなどの動物繊維は認証取得・リサイクル・非動物繊維への移行を進めている。さらに、環境負荷の少ない素材やパッケージを積極的に採用し、ファッション業界の持続可能な未来に貢献している。
繰り返し愛用する「ステラ・マッカートニー」のワンピース
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キャサリン妃が愛用するブランドの一つに、「ステラ・マッカートニー」がある。2017年7月、ロンドンオリンピック関連のイベントで着用したブルーのワンピースは、その後もたびたび登場。翌月以降、少なくとも5回は着用しており、お気に入りの一着であることがうかがえる。ジャケットを羽織ったり、シューズやアクセサリーを工夫したりと、着回しのセンスも光る。
アクセサリーには、五輪を象徴する「カルティエ」のトリニティネックレスを選び、シックな「プラダ」のネイビーパンプスを合わせることで、鮮やかなワンピースを引き立てている。
2001年にブランドを設立した「ステラ・マッカートニー」は、創業当初からサステナビリティとクルエルティフリーを掲げている。レザーや毛皮などの動物由来の素材を一切使用せず、環境負荷の少ない素材開発やサプライチェーンの透明性確保にも取り組む。こうしたエシカルな姿勢が評価され、Shift Cでの評価は「良い」となっている。
ホリデー気分を高める、「アレキサンダー マックイーン」グリーンとタータンチェックのスタイル
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2024年12月25日、ロイヤルファミリーが恒例のクリスマスのミサに揃って参列。キャサリン妃が選んだのは、「アレキサンダー マックイーン」のウエストがシェイプされたエレガントなコート。この一着は、2023年1月のリーズ旅行でも着用しており、お気に入りのアイテムの一つと見られる。
ホリデーシーズンに相応しく、「ジーナ・フォスター」のグリーンの帽子とタータンチェックのマフラーをプラス。足元は「ジャンヴィト・ロッシ」のブーツ、手元には「グレース・ハン」のワンハンドルバッグを合わせ、クラシカルな装いに。
サステナブルな輝きを纏うブランド、「キャサリン・ゾライダ」のジュエリー
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2024年10月10日の世界精神衛生デーに、ウィリアム皇太子とともにイギリス中部サウスポートをサプライズ訪問。同年7月に発生した事件で悲しみに包まれる地域を支援するための訪問だった。
この日、キャサリン妃は「ウィッスルズ」のポスカドット柄のワンピースに、「アレキサンダー・マックイーン」のコートを羽織り、クラシカルな装いを披露。実はこのコート、2022年12月にボストン・ハーバーを訪れた際にも着用しており、その時は「ガブリエラ・ハースト」の真っ赤なニットのセットアップとブーツを合わせ、冬らしい洗練されたカラーコーディネートを楽しんでいた。
耳元には、英国発のサステナブル・ジュエリーブランド、「キャサリン・ゾライダ」のリーフモチーフイヤリングをセレクト。彼女はこのブランドのジュエリーを愛用しており、2023年のチェルシーフラワーショーでも、地元の子どもたちとピクニックをした際に着用していた。彼女はジュエリーやバッグなどの小物を使い回すことも多く、洗練されたスタイルの中にサステナブルな視点を取り入れている。
キャサリン・ゾライダのジュエリーは、すべてリサイクルされた銀と金を使用し、新たな採掘による環境負荷を抑えた持続可能なものづくりを実践。また、フェアトレード認証のゴールドを採用し、小規模鉱山労働者の生活向上や環境保護にも貢献している。さらに、不要になったジュエリーの回収・リサイクルサービスも提供し、循環型のジュエリー業界の実現を目指している。
サステナブルな美しさを体現するキャサリン妃のファッション哲学
キャサリン妃のファッションは、単なる美しさにとどまらず、トレンドを取り入れつつもサステナブルなファッションの在り方を示している。エコフレンドリーな素材や技術を持つブランドを支持し、高級ブランドと手の届きやすいブランドをバランスよく取り入れながら、同じアイテムを何度も着回すスタイルは、多くの人々に影響を与え、エシカルファッションへの関心を高めるきっかけとなっている。
実際に、2022年12月のボストン訪問では、わずか1カ月前に着用したシャネルのヴィンテージブレザーを再び纏い、2023年2月の英国アカデミー賞(BAFTA)では、5年前と同じアレキサンダー・マックイーンのガウンを着用。その着こなしは、時を超えて洗練された印象を放ち、世界中の注目を集めた。
また、キャサリン妃は「Shaping Us」キャンペーンを立ち上げ、幼児期の重要性を訴える活動を行うほか、ウィリアム皇太子とともにメンタルヘルスに関するフォーラムを開催するなど、社会的な取り組みにも積極的に関わるキャサリン妃。公の場に姿を表すたびに、彼女のファッションと活動は大きな関心を集め続けている。今後もその動向に注目したい。