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進取の気性に富んだ韓国初のヴィーガンブランド「ヴィーガンタイガー」
24SS COLLECTION RE:WILDINGにて登場したイム・セミ
2015年に設立された韓国初のヴィーガンブランド「ヴィーガンタイガー」。その名の通り、「クルエルティーフリー(動物実験を行わない)」というスローガンを掲げながらも、トラのように力強く情熱的な服作りを目指す。特に、ファーやレザーの代わりとなる非動物由来の素材開発にも力を入れ、ペットボトルをリサイクルしたファーや、韓国伝統の手すき紙が作られる「韓紙レザー」を取り入れている。
韓国では、ドラマ「女神君臨」で活躍したイム・セミが、同ブランドのショーやキャンペーンフィルムに出演。彼女は日ごろから、ゼロウェイストやヴィーガン食について個人のSNSやyoutubeチャンネルを通じて発信をしている。
日本ではソーシャルグッドでモードなセレクトショップ「BREATH BY DELTA」にて一部取り扱われている。
Jurasil Print TUBETOP (Blue Gray)
BTSの国連スピーチにアップサイクルスーツを提供「RE;CODE(リコード)」
国連スピーチのためにリコードが制作したアップサイクルスーツ。クローズアップすると、ジャケットの左下のタグには「唯一無二」の製品であることを表す「1」がプリントされている。
「RE;CODE(リコード)」は、韓国のアップサイクルファッションの先駆者で、廃棄予定の衣料品を再構築して新しいデザインに生まれ変わらせている。ファッション在庫の解体と再構築を通じて、デザイナーと職人がコラボレートすることで、創造性と想像力が詰まったユニークなアイテムを生み出している。ファッション業界の労働環境を改善するために、服の生産者に焦点を当て消費者に問いかけるキャンペーン「#WHO MADE MY CLOTHES」にも参加しており、サステナブルでありながらアートのような洗練されたデザインも特徴だ。2021年9月に行われたBTSの国連スピーチは当時エンタメ界でも話題になったが、その際に彼らが着用していたスーツもリコードがアップサイクルで特別に造ったものだった。また、2022年には、BTSメンバーが実際にステージで着用した衣装をアップサイクルしたバックパックを事務所HYBEとコラボ販売。ファン同士が購入したバッグの柄部分をシェアして楽しんでいる様子が見受けられた。
2025年春夏のコレクションでは、ダイナミックなレイヤーテクニックを再解釈したRecord’s Layers Collectionを展開。生地を組み合わせることで新しいシルエットやディテールを生み出しつつも、余計な装飾は取り除き、洗練されたスタイルに仕上げている。
25SS COLLECTIONから
見ているだけでワクワクするバッグ「PLEATS MAMA(プリーツママ)」
ペットボトル16本分をリサイクルして作られたバッグは、ブランド名にあるプリーツを施したポップなデザインが特徴で、さらに環境への配慮も行き届いている。Shift C評価で「良い」を得ており、サステナビリティを追求しつつデザインにも妥協しないその姿勢が支持されている。さらに、韓国コスメ「イニスフリー」の使用済みパッケージを再利用して作られた「ナノバッグ」や、済州島で回収されたペットボトルを素材に、ブルーボトルコーヒー済州島店のバリスタ制服を製作するなど、サステナブルな取り組みを軸とした多彩なコラボレーションも展開している。2024年9月には日本の伊勢丹でポップアップを開催し、日本向けのInstagramアカウントも立ち上げており、今後日本でも目にする機会が増えそうだ。サステナブルでユニークなアイテムが、ますます注目を集めるだろう。
車の廃材を使って、定番に新しさを与える「Continew(コンティニュー)」
車の頑丈な素材を生かしたアップサイクルを行うこのブランドは、環境とデザインを同時に考慮し、資源の循環に貢献している。2022年2月には、社会や環境への配慮が評価され、公益性の高い企業に与えられる世界的認証B Corp認証を取得。Shift Cでも評価「良い」を得ている。具体的には、自動車の生産過程や廃車から集めた天然皮革シート、シートベルト、エアバッグなどをアップサイクルし、バッグや靴、アクセサリーなど多様な製品をデザイン・製造している。ブランドの哲学は、「新しい製品の『新しさ』ではなく、見慣れたもの、忘れ去られたものに『新しさ』を与えること」。廃棄された素材に新たな命を吹き込み、サステナブルでありながらもスタイリッシュなアイテムを生み出している。
官能とサステナビリティが出会う「nueahmik(ヌアミック)」
一見対極にありそうな「官能」と「サステナビリティ」。「nueahmik(ヌアミック)」は、「セクシーさ」とヴィーガンファッションを融合・両立させることをポリシーにしている。」ソウルで製造され、職人たちの技術と情熱が込められた製品は、環境への配慮と美しさを兼ね備えている。動物由来の素材を使わず、再生資源を積極的に活用している。シーズンレスで、長く愛されるデザインを追求し、修理キットを通じて衣服のライフサイクルを延ばしている。サプライチェーンの透明性を大切にし、国際的なキャンペーン「#WHO MADE MY CLOTHES」にも参加。
デザイン性×サステナビリティでK-POPスターを虜にする「UL:KIN(オルキン)」
2023年3月に行われたソウルファッションウィークにてNewJeansのハニが着用したのは、廃ペットボトル由来の素材を使用した「ロゴ ロング スリーブ タートルネック」と「カーゴジッパースカート」
「UL:KIN(オルキン)」は、サステナビリティをコンセプトにしたデザイナーズブランド。2023年3月に行われたソウルファッションウィークでは、NewJeansのメンバーがオルキンのアイテムを着用し、注目を浴びた。これまでには、TOMORROW X TOGETHERのヨンジュンやiKONのドンヒョクとのコラボレーションも実現している。リサイクル素材を中心とする環境負荷の素材を一部使用していることなどから、Shift C評価は「ここから」となっている。オルキンは、新人作家への支援や、韓国内でのダンス業界での就職機会不足を解決するためのプログラムも提供し、サステナブルな創造を通じて芸術分野へのポジティブな影響を広げている。
AESPA ウィンターが楽曲「マイワールド」で着用したのはULKIN LSD collection [Artisanal Upcycling Camouflage Dress]
男女問わず私服で着る有名人が続出「MÜNN(ムン)」
NCTのテンはMöbius MA-1を着用。他のNCTメンバーの着用も「ムン」公式インスタグラムにて着こなしを披露している。
MÜNN(ムン)は、2013年にクリエイティブディレクターのヒョンミン・ハンによって設立され、従来の画一的な生産方法から「DEFAMILIARIZATION(分離)」した、革新的な方法で衣服を製造している。60年代のオーダーメイドにインスピレーションを得て、縫製方法を革新し、新しいシルエットを生み出した。また、ファッション業界の環境への負荷を認識し、持続可能性を最優先に考えている。使用する生地の50%は環境に優しい方法で製造され、動物虐待にも反対している。
ジェニのソロデビューアルバム「ルビー」を飾る「LEJE(レジェ)」
新アルバム「RUBY(ルビー)]のために提供された「レジェ」によりカスタムルック
LEJE(レジェ)は、韓国出身のデザイナーによって2018年にパリで設立されたブランド。伝統的な手工芸と持続可能な素材を融合させ、革新的なデザインを展開している。大胆なカッティングとモダンなシルエットを特徴とし、アジアのファッション概念に挑戦。Artisanalコレクションでは、シーズンごとに1つのアイテムで独自の芸術哲学を表現し、数量限定で生産されている。
代々木上原のセレクトショップ「BREATH BY DELTA」にて行われたソウル発のブランドをテーマとするポップアップにも参加。レジェと岡山県のデニムメーカー「<ITONAMI>(イトナミ)」が手がける再生デニムを使用したコラボ企画では、アーカイブから選ばれたダンガリーシャツとデニムパンツが、2種類の再生デニム生地で限定アイテムとして登場した。
ポップアップイベント「SEOUL SLOW FASHION CASE STUDY」にて披露されたコラボアイテム クロップド丈のダンガリーシャツとデニムパンツ
ブラックピンクのMVで人気に火が付いた「Danha(ダンハ)」
韓国の伝統衣装「韓服(はんぼく)」をベースにしたサステナブルブランド。4回程度着られたら廃棄されてしまうという、韓服のウェディングドレスに着目し、それらをアップサイクルして日常で着られる服や美しいドレスを作っている。ブラックピンクのMV「How You Like That」でメンバーが着用し、ショートパンツやロングブーツと合わせたモードな着こなしが話題になった。また、メンバー自身も環境課題についてスピークアップしている。COP26の開催中に発表した動画では「気候変動への対応は、現代において最も重要な課題」としたうえで行動を起こすよう世界に呼びかけた。