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ストーリー|2024.12.04

小さな種から、服ができるまでに思いを馳せて。俳優・松井愛莉が福島コットンの収穫を体験

福島県の南相馬市で育てられたオーガニックコットンを使った「M.INAMI」のシャツやパーカー。Shift Cの取材でその魅力を知った松井愛莉さんがこの秋、実際にコットン畑に行って収穫を体験した。「人生で初めて!」というコットン摘みの様子をご紹介。

写真:目黒智子 ヘアメイク:清田 仁 キャスティング:高岡英里子 原稿:浦田庸子

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前編:「福島コットンの優しさを着る。松井愛莉が出合うM.INAMIのシャツ」はこちら

コットンの木って、どんな木?

「わー、ふわっふわ! ずっと触っていたい」

両手いっぱいに白いコットンを乗せて、大きな笑顔を見せた松井愛莉さん。子どものように顔をほころばせたのは、幼少期を過ごした福島の大自然のなか、ゆったりと流れる時間のせいかもしれない。

松井さんが訪れたのは福島県南相馬市にある「みさき未来」オーガニックファーム。絶滅危惧種も生息するという自然豊かな農園では、お米や野菜に並んでオーガニックコットンも栽培されており、ここで収穫されたコットンを使ってM.INAMIのパーカーやシャツなどが作られている。今日、松井さんが着ているのは、昨年ここで収穫されたコットンを使って編み上げられたパーカーだ。

今年収穫されたこのコットンが、糸となり、布に織られ、来年のパーカーやシャツになる。パーカー¥55,000(M.INAMI)

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「コットンって毎日着ているし、なくては困るものだけれど、どんな風に生えているのか……今まで想像したこともありませんでした。こんなにふわふわで、可愛いなんて!」

そう、コットンの木ってどんな木?と聞かれて、的確に思い描ける人は少ないかもしれない。大人の腰丈より低いコットンの木に実った綿花は、秋の収穫期を迎えてポップコーンのようにはぜる。ふわふわの「コットンボール」を引っ張ると白いワタがするすると出てきてこれを集めていくのだが、ひとつのコットンボールに思いの他ぎっしり詰まっていることに、最初はみんな驚くという。
ワタの中にある種は大切に取り出され、来年の春にこの畑に植えられ、また次のシャツとなる。

「南国で育つものというイメージだったので、日本でも取れるんだということがまず驚きでした。コットンボールから『まだまだ出てくる~』という作業も面白いし、ふわふわの触り心地も愛おしい。この楽しさを、みんなに知ってほしいです」

栽培、縫製、「メイド・イン・福島」にこだわって

M.INAMIの南祐太さんが、福島でのオーガニックコットン栽培に関わり始めたのは5年前のこと。ビスポークのシャツ職人としてコットン畑を見ておきたいとこの地を訪れたのと時を同じくして、福島の魅力にはまっていき、福島コットンを使った商品を作り始めた。みさき未来に栽培を委託し、自身も毎月のように畑に通って農作業を行いながら「メイド・イン・福島」に挑戦している。最初の年は700グラムしか収穫できなかったというが、その後の試行錯誤を経て、今では10キロ以上収穫できるまでになった。

収穫量は増えているとはいえ、福島コットン100%で作るとなると数点しか作れないうえに、破格の値段になってしまう。そのため福島コットンは2~3%にして、最高品種のオーガニックコットン、アルティメイトピマをブレンドしている。シャツの縫製も福島県内で行われており、ゆくゆくは糸にする「撚糸」の部分も福島で行いたいという。

畑は1.5反。今年は10キロを収穫した。

一度は海に沈んだ畑を再生して。受け継がれる土地の力

この日のオーガニックコットンの収穫祭には、地元の人々だけでなく、東京や千葉からも家族連れなど30人近くが参加した。空が高く澄み渡った、暖かな小春日和。畑の上にはたくさんのトンボが舞い、子どもたちはあぜ道で見つけたカエルに歓声をあげて虫カゴに入れる。

絵にかいたような里山の風景が広がるこの地区も、東日本大震災の後は「海だった」。地震によって水門が壊れ、津波で入った海水が引かないまま警戒区域に指定され、だれも入れなくなってしまったのだ。海の底に沈んでいた故郷に人々が戻ってこられたのは、震災からおよそ1年半後のこと。ポンプで海水を汲み出すところから始めた復興だったという。

その後、みさき未来農園ではソーラーパネルを設置し売電収入も得ながら、基盤を整備し、緑肥をまき、農地を取り戻していった。今は生態系が豊かに調和するオーガニック農法を実践し、トキやチュウヒ(鷹の一種)などの希少な生物がやってくる動植物の楽園になっている。

「福島でこんなふうにものづくりがされているなんて、同じ福島出身として本当に嬉しいです。畑までさかのぼったことで、この一着にどれだけの時間と思いが込められているか、重みを感じます。それに、自分で収穫したコットンの服を身につけるって、最高の贅沢ですよね」

「カエルは平気!トンボは突然近くに来たらびっくりするかも」と楽し気に語る松井さんのフードにもトンボがとまる。

守り継がれてきた福島の大地は、松井さんのパワーの源でもある。

「ここに来ると時間がゆっくり流れていて、心が解放されるよう。小さい頃からずっと外で遊んでいたせいか、土に触れると元気になるし、幸せになれる気がします」
畑仕事も大好きで、ゆくゆくは自分の畑も持ってみたいという。
「次は6月の種まきの時に来たいですね」

松井さんの福島コットンを巡る旅は、次の季節へと続きそうだ。

松井愛莉
俳優・モデル。福島県いわき市出身。TBSドラマ 「西園寺さんは家事をしない」や舞台「Come Blow Your Horn~ボクの独立宣言~」など、さまざまな作品で活躍する。2023年には「美を醸すふくしまPR大使」として福島の発酵文化に触れる企画にも関わる。

UPDATER社とシャツの出会いについて
https://tadori.jp/note/cotton-minami/ 

「みさき未来発電所」について
https://portal.minden.co.jp/powerplant-info/MP000062
https://portal.minden.co.jp/powerplant-info/MP000058

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