この記事は、Why Good On You Only Uses Publicly Available Information to Rate Brandsを一部抜粋し、日本語訳したものです。
一般公開された情報にこだわる理由
消費者は、自分たちの関心のある問題に対してブランドが与えている影響を知る権利がある。そこでGood On Youの評価方法では、地球、人、動物という3つの主要な軸に基づいてブランドを評価している。一般に公開されている情報のみを使用するこの評価基準は、最大1,000の項目を用いて、十分な取り組みを行っていない企業を明らかにするだけでなく、業界がより良くなるための指針も示している。
Good On Youがブランドに対して「他の選択を」と「まだまだ」という2つの低い評価をつけるのは、単にその企業を非難しているのではなく、改善を促すためだ。そして、一貫してブランドを評価し、レビューすることで、問題のある慣習を取り除く意欲を高め、消費者が最新の情報を元に選択できることを目指す。
情報公開に関するファッション業界の現状
残念ながら、ファッション業界が情報を一般公開するのが当たり前になるまでには、まだ長い道のりがある。最も収益性の高いブランド40社のうち「素晴らしい 」の評価を受けているのは0社である。これは業界最大手ブランドに、透明性とリーダーシップが欠如していることを示している。
Good On Youのディレクトリで評価された6,000以上のブランドのうち、61%の大手ブランドが水資源の管理に関する情報を開示しておらず、54%が化学物質の使用について何も報告していないことがわかった。環境問題に関しては、状況は若干改善されているものの、改善の余地はまだある。
もうひとつの問題は、温室効果ガス排出削減目標を掲げている大手ブランドの81%が、その達成状況を明言していないという事実だ。情報開示は目標や方針の公表にとどまるべきでない。真にブランドの責任を問うためには、目標達成にどれだけ近づいているのか、あるいは達していないのか、定期的に報告される必要がある。
「2023 Fashion Transparency Index(2023年ファッション透明性指数)」による統計の中には、サプライチェーンで生活賃金を支払っている労働者の数を公表している大手ファッションブランドはわずか1%に過ぎないという結果や、サプライヤーの排水に含まれる有害化学物質の検査結果を公表している大手ブランドはわずか7%にとどまるという結果がある。
Good On Youのレーティングアナリスト、ジェシカ・オワノが説明するように、サステナビリティ情報の公開は、ブランドにとって障壁が伴う。「一部の大手ブランドは、社内の承認が必要なため、すべてのサステナビリティ・イニシアチブの情報を開示できないと述べています。承認を得るプロセスが情報の公開をより困難にしていると理解しています」と彼女は言う。
「とはいえ、ブランドにとって透明性を確保することは重要であり、説明責任を果たすことにつながると強く信じています。また、消費者やステークホルダーは、ブランドの取り組みに関する情報が誤解を招いたり、間違っていたりする場合に、それを指摘することができます。大手ブランドが情報開示に慎重になる理由のひとつは、そこにあると思います」。
小規模ブランドが抱える情報公開への課題
小規模なブランドにとって、自社のサステナビリティに関する洞察や影響を報告することは、資金や人脈、リソースが豊富な大手ブランドよりも難しい場合が多くある。
Good On Youは、欧州委員会の定義に従って、ブランド(またはその親会社)の年間売上高で大手ブランドと小規模ブランドを区別し、異なるレーティングを行っている。具体的には、小規模ブランドが直面する制約や特有の状況を考慮し、大手ブランドにはより詳細な情報、特に方針や目標の公表を期待している。
Shift C上での評価に対して懸念のあるブランドに対しては、より良いサステナビリティ情報発信のためのガイダンスも提供している。多くの場合、最新かつ具体的で誠意のある情報を開示しているか、また、最も影響のある課題を優先して対応しているかどうかが重要なポイントとなる。
もしブランドが十分な取り組みをしていなかったり、データを公表していなかったりしたら?そのような状況を隠し、消費者を誤解させるリスクを取るよりも、不足している点を説明する方が印象が良いだろう。
グリーンウォッシュに対処するために、情報公開より高い透明性が必要だ
グリーンウォッシュは、ブランドが実際の取り組みについて真実を隠し、具体的な説明を避けて、サステナビリティに関する一般的なコミットメントや大げさな声明だけを提供することで発生する。グリーンウォッシュへの問題提起や圧力がかからなければ、ファッション業界はポジティブな方向へシフトしないだろう。
そして、いわゆるグリーンハッシングもある。取り組みが十分でないと指摘されたり、グリーンウォッシングだと非難されたり、あるいは世界中の機関によるサステナビリティに関する規制が強化されるのを避けるために、ブランドの取り組みについて何も語らないという動きのことを指す。
しかし、一般に公開されているサステナビリティ情報を削除してしまうことは、むしろ業界全体の大きな後退を意味する。Good On Youの共同設立者であるサンドラ・カッポーニは、「複雑なサプライチェーンを持つ業界にとって、完全な透明性を確保することは容易ではないかもしれませんが、私たちが期待すべき最低限のことです。データと情報開示の一貫性は、消費者が十分な情報を得た上で意思決定を行うために不可欠です。
だからこそ私たちは、ブランドが誰でも閲覧できるようにしたデータのみをレーティングに使用することに妥協することはありません」。