※この記事は「Organic For the Planet: Have You Cottoned On Yet?」を日本市場向けに翻訳し公開しています。
Contents
ファッションが招く水不足
世界中で、耕作地の2.5%が綿花の栽培に使われていて、綿花の栽培には世界の淡水の約3%が使用されています。ジーンズ1本とTシャツ1枚を作るには、およそ1kgのコットンが必要です。そのため農地では何千リットルもの水が綿花の栽培に使われ、大量の農薬や肥料が希釈されて水路に流されています。また、現在世界中で販売されている殺虫剤のうち10%が、なんと綿花だけに使われています。
綿花は地球上でも特に水不足の国々で栽培されているため、想像以上に大きな問題です。気候変動に直面した今、天然資源の危機である水不足は今後10年間の社会的リスクのトップ10に入ると予想されています。
オーガニックコットンはこんなに違う
オーガニックコットンは、自然に逆らうのではなく、むしろ自然の摂理に従っています。オーガニック農場では、自然そのものを技術として活用することで、貴重な水を節約し、気候変動と闘い、家族に食糧をもたらし、遺伝子組み換え作物や有害な農薬を避けているのです。
オーガニックコットンが、人と地球にとってより良い選択肢である6つの理由をご紹介します。
1. わたしたちと共に気候変動に立ち向かう
オーガニック農場では化石燃料を使用した肥料ではなく、自然の摂理に沿った技術を利用しています。人工的な肥料に頼らないオーガニックコットンの栽培は、より良い土壌を作るため従来のコットン栽培に比べ、温室効果ガスを46%削減することが示されています。
2. 大切な水を節約してくれる
オーガニックコットンの栽培では、従来生産されているコットンよりも水の使用量を削減できます。地球へのダメージが強い合成農薬や化学肥料が禁止されているため、河川や湖、飲料水も保護されています。また、土壌を保護することで土はスポンジのような役割を果たすため、洪水や干ばつに直面してもより回復力があります。これは、気候が急速に変化する中で重要な鍵となります。
3. 農家とその家族の生活を守ってくれる
オーガニック農家は常に、綿花と並行して他の作物も栽培しています。さまざまな作物の栽培をすることで農家とそのコミュニティに豊富でより安定し、入手しやすく、豊富で多様な食糧供給と追加の収入減を提供することができます。
4. 遺伝子組み換え企業ではなく、農家自体が主導権を持って栽培できる
オーガニック農家は種子の所有権を持ち、「遺伝子組み換え綿花」が引き起こしかねない致命的な悪循環を避けることができます。遺伝子組み換えは、さまざまな問題や失敗により、インド全土の農家で負債が膨らみ、何千人もの農家が命を絶つ選択をしてしまいました。オーガニック農業では遺伝子組み換えは禁止されています。その代わりに、農家は毎年種を保存し、長期的に持続可能な方法で自然環境と共存することができます。オーガニック農業とは、一握りの遺伝子組み換え企業にではなく、農家の手に選択肢を委ねるものなのです。
5. 有害な化学合成農薬を排除してくれる
オーガニック農家は自然の摂理に沿った技術を用い、害虫や病気の防除のために化学薬品に依存することはありません。その代わりに、輪作などの方法で健全な土壌を作り、健康な作物を育てます。これとは対照的に、従来の綿花栽培では、世界中で販売されている殺虫剤の16%が使用されています。有毒性のある農薬は生態系を傷つけ、水源にも悪影響を与え、必要な安全装備を買う余裕のない労働者をリスクに晒してしまいます。もしすべての農業がオーガニックであれば、農薬の使用量は98%減少するという調査結果もあるのです。
6. 最高基準にはGOTSを
Global Organic Textile Standard (グローバルオーガニックテキスタイルスタンダード=GOTS)のロゴが付いたアイテムは、畑のその先も視野にいれ評価されたオーガニック商品です。このロゴは、
・厳しい社会的・環境的基準を満たした工場でオーガニック繊維を使用して製造されたこと
・労働条件が安全で、労働者の権利が保護されていること
を示すものです。
世界の水質汚染の20%は、繊維製品の染色と仕上げに起因していると言われています。GOTSオーガニックでは、悪影響の少ない化学物質のみが許可されているほか、水とエネルギー使用がモニタリングされ、排水は放出される前に適切に処理されなければなりません。これは、がんや先天性欠損症、その他の深刻な病気を引き起こす原因となる化学物質が禁止されていることを意味します。
オーガニック認証はブランドが一線を画した取り組みをしている証拠
多くのファッション、テキスタイル関連の企業が透明性を重視していますが、生産と労働条件に関する真実を隠している悲しい現実が見受けられます。
ラベルに記載されているロゴを探せば、その商品が第三者機関の厳しいチェックに合格していることが一目瞭然です。
Global Organic Textile Standard (GOTS)
GOTS認証は、サプライチェーン全体を通して、厳しい環境的・社会的基準が満たされていることを保証しています。畑から製品に至るまでオーガニックであることを見極めるためのベストな方法です。
Organic Content Standard(オーガニックコンテントスタンダード)
OCSは、あなたの洋服がオーガニック栽培された繊維を含んでいるかどうかを確認できるというものです。化学薬品の使用や、生産における社会的・環境的側面には言及せず、オーガニック素材のトレーサビリティのみを対象としています。
オーガニック商品のニーズをブランドに伝えよう
商品がオーガニックであることが私たち消費者にとって重要であるとブランドに伝えることができれば、コットンやその他の繊維製品の調達方法を再考するかもしれません。一緒にオーガニックコットンの利点を伝え、企業やブランドにオーガニックコットンへのニーズを訴えかけてみましょう。
オーガニックファッションに関する詳しい情報は、ソイルアソシエーションや、Shift Cが日本語版を提供しているオーストラリアのエシカル評価機関Good On Youでも見つかります。今日のお買い物から、GOTSやOCSの認証ロゴを探して、オーガニックであることを確かめる生活を始めませんか?
筆者について。本記事の筆者Sarah JuppはSoil Association のオーガニックファッション&テキスタイル事業開発マネージャーです。消費者、小売業者、インフルエンサー、プレス、パートナー企業にオーガニック繊維の認知度を高め、オーガニック繊維市場の成長に携わっています。
Shift Cが日本語版を提供するオーストラリア発のエシカルファッション評価機関Good On Youは、ファッションブランドが人間や地球、動物に与える影響について、世界で最も包括的な評価を公表しています。ブランドの評価を検索するには、Shift Cをぜひ活用してみてください。なお、オファーコードやアフィリエイトリンクを使用し、売上に応じてGood On Youがコミッションを得ている場合があります。記事翻訳:スパロウ眞奈&UPDATER編集部 Photo: Shutterstock