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ファッション|2026.10.01

【Shift C ミューズ】一ノ瀬メイが出会った手仕事と、幸せが循環するファッション

Shift Cのミューズ・一ノ瀬メイさんとともに、ファッションからサステナビリティを考える連載。第2回のテーマは「CRAFT」。手仕事やヴィンテージの再構築など、さまざまなものづくりに触れた一ノ瀬さん。服の背景を知ることで広がる、サステナブルファッションの楽しさを探る。

Photographer:大塚三鈴 Model:一ノ瀬メイ Stylist:佐藤里沙 Hair & Make:外山友香 Writer:藤井由香里

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〈プロフィール〉
一ノ瀬メイ|パラリンピアン、モデル、スピーカー
1歳半から水泳を始め、13歳で史上最年少となるアジア大会に出場。2016年リオデジャネイロパラリンピックでは、日本人女子最多となる8種目に出場し注目を集める。2021年に現役を引退後は、モデルやスピーカー、俳優、企業やブランドとの協業など国内外で幅広く活躍。23年には「TEDx」に登壇。25年には映画「The Edge」に主演。Instagram:@mei_ichinose

一ノ瀬さんは、今回のファッションシュートを「すごく幸せな時間だった」と振り返る。

「モデルとしての自分にとっても幸せだったし、普段サステナビリティのことを考えてファッションを選んでいる自分にとっても、ただただファッションが好きな自分にとっても幸せな時間でした。自分のいろんな側面が、ひとつになったような感覚があったんです」

一ノ瀬さんが、服のつくられ方やその背景にも目を向けるようになったのは2020年。コロナ禍をオーストラリアで過ごすなかで、環境問題やファストファッションに関するドキュメンタリーを数多く観たことがきっかけだった。

「それまで私は、社会がつくる障壁を取り払う側に回りたいと思って、水泳や発信を続けてきました。でも、いろいろなことを知るなかで、自分の日々の選択も、知らないうちに誰かや環境に影響を与えているんだと気づいて。もっと広い視点で、自分の行動を見直したいと思うようになりました」

そこから、食や暮らしだけでなく、ファッションにも目を向けるようになっていった。デザインだけでなく、誰が、どこで、どのようにつくっているのか。その背景を知ることも、服選びの大切な要素になっていった。

手仕事が生む、一着ごとの表情

そんな一ノ瀬さんが新たに出会い、特に心を動かされたのがTADOのドレス。インド・ラージャスターン州で女性たちの経済的自立やジェンダー平等の推進に取り組むNGO「Saheli Women」と共同で製作されたものだ。

手織りの柔らかなシルク100%の生地に、花びらや自然由来のパウダーなどを使い、一着ずつ手作業でプリント。今回着用したドレスも、手仕事だからこそ一着ごとに柄や色の出方が異なる。染めの工程で生まれる細かなシワも含め、それぞれに違った表情を持つ一着だ。

Saheli Womenのアトリエには約100人の女性職人が在籍し、日々技術を学びながらものづくりに携わっている。TADOはこうした協業を通して女性たちの自立を支援するとともに、「作り手の顔が見える物作り」を目指している。ドレス¥49,500/TADO

こうしたものづくりの背景を聞きながら袖を通した一ノ瀬さんは、手仕事ならではの魅力を実感したという。

「まず着心地がすごくよくて、気持ちよかったんです。スタイリストの佐藤さんからブランドの背景やストーリーを聞かせていただいて、人の手が加わり、大切につくられているものにしか出せない温かみってあるんだなと思いました。自然が出す色ってこんなにきれいなんだなって。見ていても美しいし、着ていても心地がよかったです」

自然から生まれる色や、一着ずつ異なる表情、その背景にある人の手。どのようにつくられているのかを知ることで、デザインだけを見ていたときとは違う魅力が見えてくる。

着ている自分だけでなく、関わるすべての人がハッピーである服がいい

自分では知らなかったブランドや、これまで触れたことのないものづくりに出会う。自然が生み出す色や、人の手によって生まれる一着ごとの違い、そして、その服ができるまでに関わってきた人たち。新しい背景を知ることは、一ノ瀬さんにとって、服を見る視点を広げることにもつながっている。

「着ている自分がハッピーなだけじゃなくて、その服が自分と出会うまでに関わってきた、すべての人がハッピーであるというのが一番いいなと思うんです。作ってくれた人も含めて、関わったすべての人に幸せがちゃんと循環している服。そういう服を着られたらいいなって、すごく感じました」

伝統的なクラフトを現代のデザインへと落とし込むGUNIA Projectのブラウスに、ヴィンテージ素材を再構築したMALION vintageのレーススカートをコーディネート。ブラウス¥92,400/GUNIA Project(H3Oファッションビュロー)、スカーフ/一ノ瀬さん私物、レーススカート¥52,800/MALION vintage、シューズ¥14,300/メリッサ(メリッサ シューズ ジャパン)

知らなかった素材や技術に出会うこと。どんな人が、どんな思いでつくっているのかを知ること。それによって目の前の服がもっと面白く見え、愛着が深まっていく。そのプロセス自体が、ファッションを楽しむことにつながっている。

好奇心から始まる、サステナブルファッション

一ノ瀬さんにとって、服の背景を知ることは、サステナブルかどうかを判断するためだけのものではない。むしろ、気になったものをもっと知りたいという好奇心の延長にある。

彼女は服の背景を知る楽しさを、音楽に重ねる。

「音楽も、最初はメロディーに惹かれて、そこからアーティストのことを知っていくと、『こういう思いでつくられたんだ』『だからこういう歌詞なんだ』と、もっと好きになることがありますよね。服も、それと同じだと思うんです」

「デザインだけを見て惹かれることもあるけれど、デザイナーの思いや、ブランドがどういうブランドなのかを知れば知るほど、その服の魅力も増していく。だから、好奇心を持って、いろいろと知る姿勢をずっと持っていられる自分でいたいなと、改めて感じました」

服は見た目だけでなく、どんな素材で、誰がどのようにつくったのかを知ることで、好きになる理由が増えていく。気になった一着について、もう少し背景を知ってみる。そんな好奇心から始めれば、サステナブルファッションはもっと身近で、楽しいものになるのかもしれない。

次回のテーマは「BASIC」。自分に本当に必要なものを知り、長く付き合える一着をどう迎え入れるのか。一ノ瀬さんの日々の買い物やワードローブから、彼女なりの「定番」の見つけ方を紐解いていく。

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ライター/エディター
藤井由香里
ファッションメディアのライター/エディター、アパレル業界での経験を経て、2022年に独立。現在は、ファッション、美容、カルチャー、サステナビリティを中心に執筆・編集を手がける。Webや紙媒体のコンテンツ制作に加え、広告制作、コピーライティング、翻訳編集など、多岐にわたるプロジェクトに携わる。

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