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数ヶ月前のこと。筆者のSNSのタイムラインに、無印良品のコスメの推し情報に関するポストが多く流れてきた。何事?と思うとそれは、会員になると全商品が10%オフになる無印良品週間に合わせてのことだったようで、自称・他称の美容のエキスパートたちがさまざまな商品に関するおすすめポイントを説明してくれていた。
え?無印良品にこんなコスメ商品があったの?と思いながら、店舗に足を運んでみたところ、いつの間にか(失礼!)驚くほど品数が多くなっており、気になっていた商品の中には品切れのものもあった。
なぜ、これほどまでに魅力的なアイテムが増え、人々の心を掴んでいるのか。無印良品のコスメ・ヘルスケアにおける昨今の動向と開発の裏側について、株式会社良品計画 生活雑貨部 ヘルス&ビューティ担当 カテゴリーマネージャー 中野倫弥さんに話を聞いた。
2023年にコスメ・ヘルスケア商品の売り場を拡大

「無印良品では2023年に、全店舗でコスメ・ヘルスケア商品の売り場を広げました。多くの方に手に取ってもらうチャンスを広げるためです。
以前は当社では、基本的に広告などは打たないという方針を取っていました。ですが口コミ評価サイトやSNSが盛り上がり、一般のお客様が高く評価してくださることで、口コミで情報が広がっていきました。
そこで、より多くの方に手に取ってもらうために売り場面積を広げたという流れです。そしてその年に、敏感肌用シリーズのテレビCMを、翌2024年には発酵導入美容液のCMを開始し、より認知度が上がりました」(株式会社良品計画 生活雑貨部 ヘルス&ビューティ担当 カテゴリーマネージャー 中野倫弥さん、以下同)

―――そのCMを覚えています。無印良品がテレビCMを?と新鮮に感じました。ラインナップもだいぶ増えましたよね。
「今は敏感肌用、エイジングケア、薬用リンクルブライト、薬用ブライトニング、薬用クリアケアの5シリーズあります。以前は“ハーバル”や“オーガニック”など、成分で括っていたのですが、何を使ったらいいかが分からないというお客様からの声もあり、肌質や目的別でシリーズを分けるようにしました。
スキンケアシリーズでロングセラー、かついちばん人気があるのは敏感肌用シリーズですね。できる限り成分をシンプルにしています。『敏感肌の人でも使える』という意味なので、もちろん敏感肌ではない方にも使っていただけるものです。

全商品、天然由来成分*を使っています。鉱物油フリー、パラベンフリー、アルコールフリーなのも全商品共通で、敏感肌用シリーズは無香料でそれ以外のシリーズは精油で香りをつけています」
*天然成分を化学的に反応させた成分を含む
値段を設定する時に大事にしているのは、生活者目線
―――値段が手頃なのも評価されている理由だと思います。値段設定に関して何か決めていることはありますか?
「明確なルールは設けていませんが、開発者もいち生活者であるという考え方を大事にしています。自分たちも買いやすいと思える価格っていくらだろう?というのは一つの基準で、生活者視点というものを大事にしています。開発者にならないようにしています。
無印良品全体で言えることなのですが、私たちが商品を開発するときに大切にしているのは、お客様が毎日使い続けたい商品であることです。
我々はさまざまな商品を作っていて、化粧品もそのうちの一つ、日用品の一つとして考えています。スキンケア商品は積み重ねていかないと体感は出ないと思うので、日々使っていただきたいですし、肌への負担や使用感、手に取りやすい価格感といったところをトータルして毎日使ってもらえるものをと考えています」
―――他社の方から聞いた話なのですが、せっかく良い美容液を作って価格を安く抑えても、1万円を切る美容液は“効かないんじゃないか?“と思われて期待したほど売れなかったとか。高くない=効かない、と思われることはないですか?
「消費者の皆さんの価値観が変わってきているのかなと思います。以前はデパコス(デパートコスメ)じゃないと効かない、と思われていた方が多かったようですが、最近では値段と効果をシビアに考える人が増えてきている印象があります。
だから当社の商品を買ってくれる人も増えてきたんじゃないかと思います」
過度な包装はせず、できるだけ容器のまま販売
―――パッケージもシンプルで、シリーズに合った色を使っている印象です。
「基本的には色をつけずに、素材のそのままの色を使うというポリシーがありますが、中身の劣化を防ぐために遮光性を高めたりシリーズの識別のために色はつけていて、社内のデザイナーと全体のバランスを見て整理しています。
パッケージに関しては、ものづくりの基本となる考え方=3つのわけにも「包装の簡略化」というのがあるのですが、過剰包装はしないようにしています。
コスメ商品もできる限り箱に入れずにボトルのままにしていますね。必要に応じて箱やシンプルな包装など、品質に問題が出るようでしたらつける場合もあります。
コスメ商品は法規の関係で全成分を記載しないといけないため、一般的に、コスメ商品はそれらを印刷した箱に入っているものが多いと思いますが、当社ではボトルに直接印刷しています。
クリームなど、記載しきれないものはパッケージに印刷して包装することもありますが、携帯用の小さいボトルにも直接印刷しています」
再生PETを利用したボトルを使用。店頭では容器の回収も行っている

「容器に関しては、2023年秋冬から化粧水、乳液のボトルは再生PET素材を使っています。敏感肌用化粧水のボトルなどはやや黄味がかってて分かりやすいですね、飲料水のペットボトルにも使われています。
ゆくゆくは自社で回収した化粧水ボトルを、新しいボトルに戻したいと考えています。
店頭に回収ボックスを設置していて、PET素材の化粧水、乳液、シャンブーのボトルを入れてもらうようにしていて、回収キャンペーンなども行っています。
なかなか空いたボトルを店頭に持ってきてもらうのは難しいのかも知れませんが、皆さんのご協力がないとできないことですからね。
他社さんでも化粧品のボトルの回収は増えているので、当たり前になっていくのではないかと期待しています。
クリームの容器はPP(ポリプロピレン)を使っているのでまだ回収して再生ができない*のですが、樹脂量が少ない容器の採用しています。そのあたりも素材を変えられたらなと思っています」
回収するアイテムは店舗によって異なる。詳細はこちらで確認を。
*編注:PP容器は、クリーム特有の油分が容器に残りやすく洗浄が困難なこと、また、化粧品レベルの品質に再生するインフラが社会全体でまだ整っていないことなどから、現時点でのリサイクルは技術的にハードルが高いとされている
開発担当者のおすすめコスメ・ヘルスケア10選
発酵導入美容液

無印良品が独自開発した、うるおい成分米ぬか発酵液を成分の65%以上使用した、コクのある導入美容液。化粧水の前に使用し、保湿成分が角質層まで浸透しやすいなめらかな肌に整える。
敏感肌用化粧水 高保湿

低刺激性で子どもから大人まで、年齢・性別問わず使える無印良品の定番の化粧水。ベースとなる水には岩手県釜石の天然水を使用。
薬用クリアケアふき取りローション

ニキビや肌荒れを防ぐ、天然由来成分*100%にこだわった薬用ふき取り化粧水。古い角質や毛穴の汚れを拭き取り、肌にうるおいを与える。ジュースを絞った後の残渣を活用したリンゴエキスを配合。
*天然成分を化学的に反応させた成分を含む
エイジングケアトリートメントオイル

うるおい成分として米ぬか発酵液と11種の植物エキス、ビタミンC誘導体、レチノール誘導体を配合。肌なじみのよい2層オイルがハリのある肌に整えます。オイルだけどベタつかず、さらっとした使い心地が人気。
ホホバオイル

ホホバの種子から搾ったオイルを化粧用に精製したシンプルな全身用オイル。肌なじみが良くさらっとした使用感なので、保湿やマッサージ、頭皮の手入れに適している。
肌の天然水 全身用ミスト

釜石の天然水を使用した、低刺激性のミスト化粧水。髪、顔や体など、1本で全身にうるおいを補給する。背中に使いやすいように、逆さまにしても使える仕様。赤ちゃん*から大人まで使える。
*赤ちゃんへの使用は生後6ヶ月くらいからが目安
マイルドジェルクレンジング

無印良品の定番アイテム。メイクや毛穴汚れをすっきり落としながら、肌本来のうるおいを守ります。天然由来成分*100%にこだわった低刺激性のジェルクレンジング。
*天然成分を化学的に反応させた成分を含む
パックもできるマイルドクレイ洗顔フォーム

毎日の洗顔としてだけでなく、パックとしても使える2WAYタイプのクレイ洗顔パック。4種のクレイ(カオリン、タナクラクレイ、ベントナイト、モロッコ溶岩クレイ)ともみ殻由来の炭を配合し、毛穴の汚れや過剰な皮脂、古い角質をすっきり落とし透明感のあるなめらかな肌に整える。
植物発酵液 薬用エイジングケアエッセンス

植物の根から得られる2つの有効成分タマサキツヅラフジアルカロイドとグリチルリチン酸2Kを配合した育毛エッセンス。頭皮を整えて健やかな髪の発毛を促進する。
植物発酵液 ヘッドスクラブ

健やかな頭皮に導く、シャンプー前に使うヘッドスクラブ。天然由来のスクラブで頭皮の古い角質やにおいの元となる皮脂、汚れを取り除く。好みに合わせて選べる3種の香り(グレープフルーツ、ラベンダー、ミント)を展開。