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ティップス|2025.12.30

カラフル防災士まこぴさんに聞く、私らしい「サステナブルな防災」の始め方

「防災」と聞くと、大事だと思いつつも腰が重くなってしまう。そんな時に「もっと自由に、自分らしく備えていい」と語るのは、カラフル防災士のまこぴさんこと古島真子さん。都市部ならではのリスクから、サステナビリティに配慮した防災アイテムまで。今日から取り入れられる、防災アクションを聞いた。

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古島真子(まこぴ)

「10人10色のカラフル防災」をコンセプトに、日常に溶け込むポジティブな防災を届ける防災士。茅ヶ崎での海辺の暮らしをベースに、一人ひとりに寄り添った備えのあり方を発信中。一般社団法人unistepsではサステナブルファッションの推進に携わるなど、衣食住のあらゆる視点から「未来を守る選択」を提案している。趣味はサーフィン。

首都直下地震の最新想定「3日以上とどまれる備え」

2025年12月19日、政府は30年以内に70%の確率で発生するとされる「首都直下地震」の被害想定を12年ぶりに更新。今回の報告書では、最大震度7、死者数は約1万8000人にのぼると想定されている。特に犠牲者の3分の2にあたる約1万2000人が「火災」によるものとされ、経済被害も約83兆円と甚大な規模だ。インフラ復旧には1か月以上を要し、最悪の場合は大規模停電(ブラックアウト)の恐れもあるとしている。

この事態を受け、政府は「自分ごと」としての対策を強く呼びかけている。耐震化や感震ブレーカーの設置、備蓄はもちろん、最大約840万人の帰宅困難者による混乱を防ぐため「職場等で3日以上とどまれる備え」が不可欠だ。また、避難所の不足も予想されるため、住まいの安全を確保した上での「在宅避難」への準備が重要となる。

意外と知られていない「在宅避難」の実態

パナソニック ホームズ株式会社が2025年8月に行った『暮らしの防災対策に関する意識調査』によると、「在宅避難」という言葉と意味を、約7割がの人が「知らない」ことがわかった。

防災といえば避難用リュックを思い浮かべがち。しかし、上記の最新の被害想定では、避難所の不足も深刻な課題として挙げられている。そのため、避難所へ向かうことだけが正解とは限らない。自宅の安全が確保できているのであれば、住み慣れた場所に留まる「在宅避難」を選択できる可能性も高い。

在宅避難時に備えておきたいものの一つは、カセットコンロ。

「カセットコンロがあれば、普段と変わらないごはんが食べられます。ポリ袋を使った「パッククッキング(湯煎調理)」もおすすめ。洗い物を減らして水の節約にもなります。停電や断水は台風や大雪などでも起こり得るため、地震以外でも備えておいて損はありません」(まこぴさん、以下同)

防災リュックに入れるものに迷ったら、「体温」を優先して

緊急時にサッと持ち出すべき防災リュックには、何を優先して入れるべきか。まこぴさんは、生存の目安となる「サバイバル3の法則」を提唱している。

空気は3分、体温は3時間、水は3日、食料は3週間。これを失うと、命が危険な状態に陥ります。優先順位で考えると、水や食料よりも、意外と防寒グッズなど『体温維持』に必要なものが大事だったりします。

防災用にわざわざ新しく買わなくても、要らない服や着古した靴下、下着などを捨てずに活用してリュックに入れておくのもお金をかけずにできる防災としておすすめです」

都市部に潜むリスクを知る、ハザードマップの活用術

都市部には、一目では判別しにくい複合的なリスクが潜んでいる。地震と並んで特に注意すべきは、水害だ。

「特に最近は気候変動の影響で、都市部特有の『内水氾濫』のリスクが高まっています。暗渠(あんきょ)による浸水など、注意が必要な場所は都心にも多く存在します。また、人が多いこと自体もリスクであり、災害時には深刻な混雑や支援物資の不足も想定されます」

知っておきたい防災用語

  • 内水氾濫:大量の雨で下水道などの排水能力を超え、マンホール等から水が溢れ出すこと。大きな川が近くになくても発生する。
  • 暗渠(あんきょ):かつての川に蓋をして道路や遊歩道にしたもの。地形的に水が集まりやすく、大雨の際は非常にリスクが高まる。一見、川だと認識されにくいため注意が必要だ。

こうしたリスクを知るためにおすすめなのが、国土交通省の「重ねるハザードマップ」だ。

「『地震用』『水害用』『土砂災害用』など、種類が分かれているマップを一画面で重ねて見ることができます。例えば『中目黒』を検索すると、川沿いやそれ以外の地域に浸水リスクが示されていたり、意外な場所に土砂災害警戒区域が隠れていることが分かります。

暗渠のように、今は川が見えずに浸水リスクに気づきづらい場所であっても、自然災害の種類ごとにどのようなリスクがあるかが地図上で一目で判別できるのです」

まずは自宅や職場の周辺を検索してみてほしい。何らかの色がついている場所は、そこがかつての川筋だったり、揺れやすい地盤だったりと、リスクが隠れている証拠だ。

「重ねるハザードマップ」で中目黒を検索した際のスクリーンショット。右上の「災害種別で選択」からハザードマップを重ねることができる。濃い黄色とオレンジ箇所は、急傾斜地の崩壊の「警戒地域」と「特別警戒地域」を表す

サステナビリティに配慮された防災アイテム13選

まこぴさんが提案する、サステナブルな防災のためのポイントは3つ。

  1. フェーズフリー:普段使いできるものを、そのまま防災に活用する。
  2. 伝統の知恵:「梅干し」や「切り干し大根」「干し芋」などの乾物・保存食は、そのまま優れた防災食に。また、こうした特産品を「ふるさと納税」で選び、地域に還元しながら備蓄するのもおすすめ。
  3. 自宅の耐震対策をする:例えば、食器棚に滑り止めを敷く、家具を固定するといった対策をしておけば、地震が起きても大切なものが壊れず、生活をそのまま維持できる。

これらの視点を取り入れた、まこぴさんおすすめの防災アイテム13選を紹介する。

ブイエイドパン

5年間の長期保存が可能ながら、無添加・ヴィーガン対応で体に優しい安心なパン。何より驚くのはその美味しさで、備蓄用であることを忘れるほどしっとりとした味わいだ。

ピープルツリードライフルーツ

避難生活で不足しがちなビタミンを手軽に補給できるのが、ドライフルーツ。賞味期限は1年間と長く、素材の甘みが凝縮されている。

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ロス旅缶

「ロス旅缶」は、規格外野菜をホテルシェフのレシピで商品化した、食品ロス削減に貢献するアイテム。チリコンカンやガパオライスなどの本格的な味わいを楽しめるだけでなく、長期保存が可能な缶詰のため防災食としても重宝しそう。

ウォッシュユー-マルチクリーナー

 洗浄・除菌・消臭がこれ一本。環境負荷の低いマルチクリーナー。「アウトドアの食器をふき取るだけで油もきれいになるし、居酒屋に行った後のニオイが気になるアウターにかけたりと日常でも大活躍。無香料なのも良いです」

※第三者機関による 各種ウイルスや細菌の除菌のテストを行っています。

エッフェ-救助笛

まこぴさんが普段からアクセサリー感覚で身に着けている笛。眼鏡の聖地・鯖江の熟練した職人技が宿る、国内製造の美しい高音ホイッスルは、人間の耳にはもちろん、救助犬にも聞こえやすい周波数を含むように設計されている。カラーも豊富でかわいい。

むす美-ふろしき

ふろしきは荷物運びや防寒など多用途なアイテム。アクアドロップRe-Freeは、人体や環境への負荷を考慮して、非フッ素化合物を使わないPFASフリーの撥水加工を施したシリーズ。従来と同じリサイクルポリエステル55%の生地を使用している。

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パタゴニア-ウィメンズ・ロングスリーブ・キャプリーン・クール・メリノ・ブレンド・シャツ

通気性を備えたメリノウール混紡のテクニカル・トップ。天然の防臭機能に加え、洗濯後もすぐに乾く速乾性を備えているため、長期間着替えが難しいシーンでも快適に過ごせそう。

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ソネングラス-ソーラーランタン

太陽光で充電できる、ソーラーランタン。フタが太陽光パネルになっていて、スイッチを入れると光る仕組み。南アフリカの失業率の高い現地で健康保険や社会保険を完備したフェアトレードの雇用を生み出している。

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ソーヤー-ポータブル浄水器

有害な細菌やエキノコックスなどの寄生虫を99.99999%除去するポータブル浄水器「ソーヤー」。

多摩川の水を浄水・水質検査した結果、日本の水道法基準をクリアし「飲用水」として適合されたことから、災害時に有効で安全な製品の証である「防災製品等推奨品」に認証。アウトドア好きは持っていて損はない。

エコな非常用簡易トイレ

プラスチックの一部にホタテの貝殻を再利用することで、環境負荷とプラスチック使用量を抑えたサステナブルなアイテム。必要なときにはすぐに便器として組み立てられるため、自宅での備えはもちろん、持ち運びにも適している。

BOSの非常用トイレセット

避難所や断水時の自宅で、深刻なストレスとなるのは「排泄物の臭い」。医療用素材から生まれた「臭わない袋BOS」は、臭いだけでなく菌も漏らさない。この袋に加え、尿を固める凝固剤、使いやすい特注サイズの汚物袋、暗がりでも見分けやすい便器カバーがセットになっている。

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ライムライム-パンティライナー

パンティーライナーは、水が自由に使えない状況では女性は特に備えておきたいものの一つ。ライムライムのパッドやパンティーライナーは、竹繊維を使ったプラスチックフリー設計。洗濯ができず下着が替えられなくてもライナーだけでも替えことができると気分が全然違う。防災リュックにも是非入れておいてほしい。

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メルーナ-月経カップ 

ゴミを減らす選択肢として広まりつつある月経カップ。メルーナの月経カップはPFASフリーなのが安心。普段は防災リュックにしまっておいて、毎月生理のたびにリュックから取り出して使用するのがおすすめ。

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「カラフル防災」は、一人ひとりに寄り添うこと

まこぴさんの提唱する「カラフル防災」とは、個人のライフスタイルや嗜好に合わせて防災をカスタマイズすること。

  • 「アウトドア好き」なら、趣味をそのまま活用
    キャンプ道具選びに防災の視点も入れて考えてみる。
  • 「グルメ好き」なら、お気に入りの味をストック
    「もしも」の時こそ、美味しいものは心の支え。事前に味見をして「これなら食べたい!」と思えるものを見つけておく。
  • 「避難所生活を避けたい」なら、家の備えを万全に
    不特定多数との生活をする必要がある避難所。そうした環境が苦手だったり物理的に不可能な人もいる。リスクのない限り、自宅で安全に過ごせるよう、家具固定や備蓄を徹底する。
  • 「外出が多い」なら、家以外の備えも
    車や職場にも防災グッズをおく、退出先で充電切れしないようモバイルバッテリーを持ち歩くなど。

「万人に合う防災パッケージは存在しません。人それぞれ個性や生活習慣が違うからこそ、自分に合った備えを実践することが、本当の意味で『生きるため』の防災に繋がります」




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