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ファッション|2025.11.25

今が始めどき。かぎ編みのニット小物から広がる編み物の世界

去年あたりから大ブームの編み物。季節に関係なく楽しめるが、まだトライしていない人にとっては、そろそろ良きタイミングなのではないだろうか。
今回は、ファッションディレクター小林あつこさんに編み物の楽しみ方を聞いてみました。長年ファッションの最先端を見て、多くのものに触れてきた彼女が、編み物に求めるものは何なのでしょうか?

原稿:横山佐知

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きっかけは友人から誘われた編み物のワークショップ

ファッションディレクターの小林あつこさんが編み物を始めたのは2022年のこと。かつて学生時代にやってはいたものの、長い間離れていたそう。

「中学生の時とかに、好きな人にマフラーを編んだりしてました。そういう世代なので(笑)。もともと、チクチクと作業をするのは好きだったんですよね」(ファッションディレクター・小林あつこさん、以下同)

そんななか、仕事仲間から「かぎ編みのワークショップをやるから来ない?」と声がかかったそう。教えてくれたのは、仕事を通して知り合いだった中田クルミさん。可愛い小物などを編んでSNSに投稿しているのを見て、小林さんも関心を持っていたのだ。

中田クルミさんのインスタグラム@nakata_kurumiより。プロフィール欄にある#CLM_HANDMADEをクリックすると、めくるめく編み物の作品が見られる

「え、行く行く〜!! って参加しました。その時は、“モチーフを編む”っていうテーマで、かぎ編みでグラニーモチーフというのを3つ作りました。繋ぎ方を教えてもらって、紐の作り方はYouTubeで検索すると出てくるよって聞いたので調べて、完成させたのがこのポシェットです。これが面白くて、その後も自分でやってみようって思ったんです」

小林さんが最初に作ったポシェット。片面にモチーフを4つ使用。完成品はお嬢さんが使っているそう

久しぶりの編み物なのに、クオリティが高いです! 小林さんは棒編みではなく、かぎ編みを選んだのはなぜでしょうか?

「たぶん私、完全な右利きなんだと思います。両手を使う棒編みは綺麗に編めないので。そして基本的にまっすぐなものしか作れません(笑)」

自分が使えるもの、欲しいものを編む。そして時々友だちにプレゼント

PCケース

「最初のポシェットを作ったあと、実際に使えるもの、欲しいものを作ろうと思ったんです。それまでパソコンケースがなくてずっと欲しかったので、極太の毛糸で作ってみることにしました。
PCケースって大きいとバッグに入らなかったりするんですよね。あと、バッグからすぐ取り出せるようにジッパーや蓋のないものにしました。ちょっと小さめに作ってパツパツにさせるんです。クッション性もあります。
これが調子よくって周りの友だちからも好評で、編んで何人かにプレゼントしました。
それから自分が好きなもの、欲しいを作るようになったんです」

バブーシュ

「最近人気のバブーシュも作ってみました。
練習がてら編んで、欲しいっていう友だちにプレゼントしてます。あと、スタイリストの友だちに撮影用に作ってと言われて作ったこともありますね」

マフラー

「エンジとオレンジ×ピンクの2種類の毛糸を使って編みました。糸の色も不規則になっていて、しばらく編んでいるとオレンジが多めに出て、そのうちエンジが出てきて、という感じです。
出来上がりの色合いを考えるのも楽しいですね。

実はこれは棒編みです。ピーコートに合う細長いマフラーを作りたくて編んだのですが、当時はこの一目ゴム編みの感じが棒編み出ないとできないと思っていたので…。
似たような編み目をかぎ編みでも作れることがわかったので、今年はかぎ針で作っています」

友だちのスタイリスト・菅沼志乃さんにプレゼントしたマフラーは大きなリボン風に巻くのが可愛い

ソファーカバー

みっちりとキレイな編み目。この編み方は、人生山あり谷あり、を表しているという説も

「これは作りかけなのですが、スパイシーブランケットと呼ばれているもので、いろんな編み目や色を組み合わせて編んでいくもの。ちょっとこれは寝かせてます。まだまだ時間がかかりそうです」

編み物は一種のメディテーション

前述のとおり、ワークショップに参加したことで、編み物に目覚めたという小林さん。

「編み物は自分に向いてるなと再発見しました。
夜、家でワインを飲みながらやるのが楽しいです。編んでいる間はこのことしか考えないから、ちょっとしたメディテーションになります。仕事が忙しい時も、あえて1列だけ編んだりすると、気持ちがリセットできる感じですね」

ファッションディレクターとして、さまざまなファッションアイテムに囲まれてきた小林さんが、自分が欲しいものや使いたいものを作るために編み物をやっているのが面白い印象です。

「編み物は好きなものが作れるし、やり直しができるのがいいですね。以前作ったものの糸を解いて再使用できますし。

先シーズンのmiu miuのアイテムに、多色使いの毛糸でできたバッグやシュシュがあったんです。いろんな色が混ざっていたので、余った毛糸をつなぎ合わせて作ったんじゃないかなと思っています。リユースっていうメッセージが込められているんじゃないかと勝手に解釈しました(笑)。

先ほど紹介したスパイシーブランケットも私はわざと毛糸を替えてますが、余った糸を使っても可愛いと思います。寄せ集めじゃないですけど、繋いで結んで編めばいいって思っています。編み物をずっとやっている人ならば、余った糸や以前使った糸を解いて使ってもいいわけですから」

自分の感性に合う“先生”を見つけることが大切

「私は中田クルミちゃんを“先生”と呼んでいるんですけど、自分にとっての“先生”を見つけるのが大事だと思います。こんなアイテムが作れるんだって思わせてくれたり、自分の好きな配色で作っている人を見つけると参考になるし、やる気が出ます」

小林さんがおすすめのSNSは以下のとおり。

@ellaemhoffより

アーティストella emhoffのアカウント。アイテムを一から作ったり、既存のセーターに毛糸でモチーフを加えたりと自由。
「アイデアが可愛いので見て楽しんでいます」

@Hooked by Robin

かぎ編みに特化したYouTubeチャンネル。初心者向けから上級者向けまで幅広い動画があり、プレゼント用のユニークなモチーフの編み方の紹介もある。
「作りたいものが決まった時にかわいい編み方がないか調べるときに見ます。配色もかわいいなと思いながら」

@Crochet Knitting art

こちらもかぎ編みのYouTubeチャンネル。さまざまなレベルに向けた動画があり、美しい編み目が特徴。比較的大判のアイテムが多い印象。
「これも同上で、上のRobinさんのと、これをチェックすることが多いです。これを見ていると大判ものが作りたくなります」

東京生まれ。出版社勤務を経て、2018年にフリーランスに転身。ELLE
JAPON、Harper’s Bazaarなどのファッション誌で活躍中。

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ライター/エディター
横山佐知
出版社勤務を経て2022年にフリーランスに転身。趣味は旅とランニングと登山とお笑い鑑賞。

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